転職で役立つ「業界研究」のススメ
「業界研究」といえば、新卒での就活時におこなうものだとイメージされている方が多いでしょう。しかし転職でも、この業界研究は大いに役立つ要素を持っています。特に若手・第二新卒だったり、異業界へ転職を目指したりするならばなおさらでしょう。転職活動で業界研究をおこなうべき理由、そして進め方などをご紹介します。
情報力が選考通過へのカギを握る
業界研究とは、その名の通り、特定の事業分野に関する情報収集です。たとえ同じ業界内での転職であっても、いざ詳しく研究してみると「知らなかった」ということは多く、これまで常識と思っていたことが、前職の会社内だけで通用するルールだったということも少なくありません。市場動向や国内外における各企業のシェア、具体的なサービス、技術トレンド、消費者動向など、面接で業界理解を試されるような質疑応答をすることも一般的ですので、転職時にも改めて志望する業界について調べることが重要です。
もちろん、異業界へ転職するならば、より業界研究の重要度は増すでしょう。業界研究によって情報力を身につければ、面接官からの質問に受け答えしやすくなるでしょう。「しっかり業界を理解している」という点は、採否を判断するうえでも大きなポイントになります。
志望動機にしっかりと根拠ができる
業界研究によって得た情報は、志望動機を語るうえでの基盤となります。例えば、Web・インターネット企業に応募する際の志望動機を、業界研究あり・なしで比べてみましょう。
・業界研究なし
「今や人々の生活に欠かせないインターネットに関わる仕事に魅力を感じています」
・業界研究あり
「インターネットはWeb検索やオンラインコミュニケーションだけでなく、IoTなど人々にとってどんどん身近で欠かせないものになっています。自動車や家電製品、自動販売機までがネットにつながる現代において、貴社の取り組みに大きな成長性を感じるとともに、そのようなインターネットの発展に関わる仕事に魅力を感じています」
業界の成長やIoTといったトレンドを踏まえることで、その業界・仕事に魅力を持っているという気持ちがより強く伝わるでしょう。また、業界研究によって得た知識は、志望動機に深みを与える根拠となってくれます。
また、異業種転職の場合、ただイメージやあこがれで入社しても、現実とのギャップに驚いてしまうかもしれません。場合によっては思うように活躍できなかったり、すぐに退職したりという結果に繋がりかねません。業界研究にはそうしたギャップを防ぐ役割もあり、だからこそ、「それでも入社したい」という意思が伝わるのです。
業界研究の方法と注意点
業界研究といっても、その手段はさまざまです。雑誌などから最新の情報を学んだり、志望業界で働く方から話を聞いたりなどなど……。もちろん現在は、インターネットによる情報収集も業界研究に役立ちます。特定業界への転職希望者に向けた転職フェアなども開催されているため、興味のある方は調べてみると良いでしょう。実際に調べる際には、志望する企業と業界内での立ち位置、業界全体のビジネスの動き、直近3~5年の市場規模と消費者動向などは特に詳しく把握しておくように努めましょう。
ただし、インターネットを活用する際は、情報の選別がとても大切です。例えば業界で働く方のつづったブログは、一見すれば“生の声”として魅力ある情報でしょう。しかし、あくまで個人の見解であるため、中にはかたよった意見が述べられることも少なくありません。
また、そもそも虚偽あるいは疑わしい内容もあります。それと知らず鵜呑みにしてしまうと、いざ面接となった際に「この人は誤った理解を持っている」などと、マイナス評価が与えられてしまうかもしれないのです。疑問あるいは疑わしく感じる情報の場合には、他にも類似した情報がないか調べてみましょう。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)