「給与」と「やりがい」、どちらを重視して転職先を選ぶ?
転職先に何を求めるか、その大きな基準として、「給与」と「やりがい」が挙げられるでしょう。もちろん両方を高い水準で得られればベストですが、実際にはどちらか一方を我慢しなければならないということがあります。「給与」と「やりがい」、どちらを重視して転職先を選ぶべきなのか。答えを求めることは難しい課題ではありますが、その判断基準として、いくつかのパターンを例に優先すべき選択肢をお伝えしていきます。
1. ひとり暮らしで「若いうちから稼ぎたい」という場合
体力・気力に自信があり、かつひとり暮らしで「とにかくお金を稼ぎたい」という若者なら、給与を重視するのも良いでしょう。たとえ仕事でプライベートな時間がなくなっても、自分の生活スケジュールは自分で決められます。「ガツガツ働けるうちに稼ぐ」と割り切って、仕事に没頭していたいという方がいるかもしれません。
さらに、時間など度外視して働くことで、お金だけでなくビジネスパーソンとしての経験値も一気に高まるはずです。やはり20代~30代前半の若いうちほど伸びしろがありますから、「頑張った(成果を出した)分だけ稼げる」環境に身をおくことは、将来に向けてプラスになります。そうした環境は、体力のある若者にこそチャレンジできる場といえるでしょう。まずは数年間稼いで貯金にも取り組み、土台ができてからやりがいを重視してキャリアを再検討するというのも1つの方法です。
2. 子どもが産まれて、これからお金がかかってくる場合
子どものいる家庭では、「給与」と「やりがい」の判断がとても難しいところ。これから子どもが大きくなれば、どんどんお金が必要になるでしょう。そのため、とにかく稼ぐことを優先させるべきと考えるかもしれません。確かに、子育てには多くのお金が必要です。大学までの学費を考えたり、部活動に入れば必要な道具などを買わなければいけなかったり。万が一に備えて、生命保険への加入を考える方もいるでしょう。
しかし一方、やりがいを感じない仕事では多くのストレスが溜まってしまいます。いくらお金が稼げても、毎日疲労困ぱいでため息をついて帰宅したり、憂鬱な表情で出勤したりする姿は、子どもに見せたいものではないでしょう。子育てに参加できなければ、パートナーから反感を買うかもしれません。特に残業や休日出勤が多い環境では、自宅不在ばかりで「子どもが親の顔を忘れてしまう」なんていう話も聞くほど。
そのため、まず給与については「いくら必要になるのか」を試算してみてください。それを最低ラインに維持できるという前提があれば、やりがいを求めて働くことを視野に入れてみましょう。そうすれば金銭面だけでなく、心理的な面から豊かさを感じられますし、子育てにも十分な余力を残せます。
3. 共働きで、家事・育児と両立させなければいけない女性の場合
家庭においては、まだまだ家事・育児の多くを女性に頼っているケースが多いでしょう。しかし「夫の給与では足りない」という理由で、共働きせざるを得ない場合があります。金銭面が働く理由なわけですから、もちろん給与は重要です。しかし家に帰れば家事・育児が待っているという状況では、やりがいを重視した仕事選びが適するかもしれません。仕事でストレスフルな状態では、家事・育児に取り組もうという意欲もわいてこないでしょう。また、子どもがいるのであれば、そのストレスを子どもにまで感じさせてしまうでしょう。「仕事における負担を減らす」という観点では、やりがいを無視してはいけません。
給与とやりがい。2つを天秤にかけることは非常に難しいことです。優先度を考える場合には、家庭環境を踏まえた上で、「どのような日々を送りたいのか」「将来どのようになっていきたいのか」という視点から検討すると良いでしょう。稼げているのに不満が多い、あるいは逆にやりがいは感じるけどお金がなくて辛いなどの状態に陥らないよう、ある程度のバランスを考えることも大切です。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)