“売り手市場”における転職の注意点
昨今は求人倍率が大きく改善し、多くの業界で人手不足が叫ばれています。そのため、転職市場は“売り手市場”と言えるでしょう。売り手市場ということは、もちろん転職しやすいと判断することができます。
しかしだからといって、必ずしも誰もが希望通り転職先を見つけられるわけではありません。見切り発車で安易に転職活動を始めてしまうと、思わぬ事態に陥ることもあります。売り手市場で転職する際に、気を付けるべきポイントを解説していきます。
売り手市場でも“必要な人材”は決まっている
売り手市場の状態では、多くの企業がこぞって求人を出します。例えば転職サイトを見てみると、想像以上にたくさんの求人情報が見つかることでしょう。すると「今ならどこでも転職し放題なのでは」なんて勘違いをしてしまうかもしれません。
もちろん求人数が増えているということは、転職できる可能性は高くなったと言えます。しかし注意したいのは、どれだけ人材不足でも、企業は“不要な人材は採用しない”ということ。企業が求めているのは、あくまで“自社にとって必要な人材”なのです。人手不足な状況を「誰でも採用されるんだ」と受け取ってしまうと、転職活動で何度も壁にぶつかり、思わぬ挫折に直面してしまうでしょう。
もちろん、中には未経験歓迎とする求人も少なくありません。他職種へキャリアチェンジしたいという方ならば、そうした求人は狙い目となります。しかし大勢募集しているということは、その分ライバルも増えますし、入社後の昇進など競争率が高くなる可能性もあります。自身のキャリアをしっかり考え、“今転職すべきなのか”を見極めてください。
人気企業はやはり狭き門になる
売り手市場では、大手企業でも求人を出すケースが少なくありません。もしかしたら、新卒採用で不採用となった憧れの企業で、採用が行われる可能性もあります。
しかしいくら売り手市場とはいえ、やはり人気企業は存在します。大手あるいは躍進中の企業なら、それだけ大勢の転職希望者が集まるでしょう。「売り手市場なら転職のチャンス」と考える人は多いため、通常より応募者数が多いことも考えられます。そうなれば、当然ながら採用は狭き門。いくら売り手市場とはいえ、厳しく採否を判断されるはずです。
チャンスと捉えて挑戦するのはもちろん良いのですが、「売り手市場だから採用されやすいかも」などと考えると、痛い目に合うかもしれません。売り手であるか否かに限らず、しっかり準備を怠らずに選考に臨むようにしましょう。
将来的な動向を見極めよう
企業は生き物だと例えられるほど、時代と共に大きく変化していきます。たとえ積極的に採用活動を行っている企業でも、数年後には業績が低迷して人件費が高騰、むしろ希望退職を募っている……なんていうこともありえるのです。
そのため売り手市場、特に大量採用を行っているようなケースでは、将来の動向をしっかり見極めましょう。今後、その業界・企業は伸び続けていけるのか。自社のみならず周辺の同業他社なども踏まえながら、仮説を立ててみてください。100%の未来は誰にも分かりません。しかし事業戦略などに疑問を感じる部分があれば、一度冷静に考えてみることも必要です。
売り手市場は、本当に「転職したい」と考えている方にとってチャンスです。しかし、そのチャンスが実を結び、将来まで含めた成功となるかは、自分次第で大きく異なります。売り手市場こそ冷静に、自身の目指すキャリアを考えながら転職活動を進めるようにしてください。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)