民間企業から公務員へ転職する際の注意点
一度は民間企業へ就職したものの、「会社勤めに疲れたから」「会社員が自分に合わないから」といった理由で公務員を目指す方は少なくありません。しかし民間企業と公務員では異なる点が多く、そのギャップから転職後に後悔することも珍しくありません。
また、そもそも公務員試験を受験・合格するまでのハードルは、決して低いものではないでしょう。民間から公務員への転職を目指す方々に向けて、あらかじめ留意しておきたい注意点を解説します。
公務員という仕事の難しさ
公務員と言っても、その種類は実にさまざまです。たとえば国家公務員には総合職と一般職、専門職があるほか、自衛官なども含まれます。また警察官や消防士、一部教職員などの地方公務員、さらには裁判所職員も公務員です。そのため、まず公務員の中でも「どの職種に就きたいのか」を考える必要があるでしょう。
これら各職種によって、仕事の内容は大きく異なります。しかし共通して、次のような難しさは念頭に置いておいてください。
・あらゆる仕事が法律・条例等に沿った公平かつ公正なものではければいけない
・上下関係は場合によって民間企業以上に厳しいことも多い
・民間企業と比較して仕事や業務環境に変化が乏しい
・事務系などはルーチン業務が多くなる
・市民、国民からのニーズやクレームに応えられないシーンが多い ……など
例えば公務員では鉛筆1本買うのにも申請が必要ですし、個人の良心にしたがって市民の要望に応えることもできません。無駄な業務フローや会議を見直すのにも、ゼロから根回しして承認を得ていく必要があります。書類仕事も多く、かつその様式は厳密に守る必要があります。残業も当然ありますし、市民からの批判にさらされやすい仕事でもあります。
公務員には、おそらく「安定性が高い」「仕事が民間より楽そう」などというイメージを持つ方も多いでしょうが、公務員には公務員なりの難しさがあることは心得ておくべきといえます。
公務員試験について理解しておこう
公務員に転職するためには、まず公務員試験を受験・合格しなければなりません。どれだけ民間で素晴らしい成績を残していても関係なく、すべての方にとって試験合格が第一関門となります。そのため、場合によって民間で働きながら、空いた時間をやりくりして試験勉強を行うこととなるでしょう。
公務員試験は、基本的に教養試験と専門試験で構成されます。前者は一般知能をはかるもの、後者は行政や法律、経済、語学など専門性の高い内容です。なお、このほかに論文や適性試験、体力検査など、目指す職種および試験によって受験科目が異なります。試験毎に合格ラインが決まっており、これを上回らないと合格になりません。
なお、試験難易度はさまざまですが、例えば地方公務員なら中級より上級といったように、職種・立場にほぼ比例します。また、試験合格後も採用人数はそれぞれ決まっていますので、合格すれば必ず公務員になれるというわけではありません。
民間も公務員も、中身は異なるものの何かしら大変さはあるものです。イメージだけで安易に転職を目指すと、採用までの過程、あるいは採用後に苦労するかもしれません。まずは就きたい仕事を具体的に決め、その実態をしっかり理解しましょう。そのうえで自分の思い描く働き方と照らし合わせ、本当に目指すべきか否かを判断してください。(ライター:ナレッジ・リンクス/三河賢文)