• 転職ガイド

    カテゴリーリスト

    民間企業から「国家・地方公務員」への転身 リスクと魅力を徹底解説

    2024年11月11日 転職の基本  -  はじめての転職

    民間企業などでの実務経験を通して専門的な知識・スキルを身につけた人材を獲得しようと、国や自治体が公務員の社会人経験者枠を拡大しています。安定した雇用やワークライフバランスを求める人にとって、公務員という選択肢は魅力的に映るかもしれません。

     

    しかし、公務員としての働き方には独特のリスクや挑戦も伴います。今回は、公務員への転職を検討する際に知っておくべき「留意点・リスク」と「魅力・メリット」について、国家公務員と地方公務員の違いを踏まえながら詳しく解説します。

    公務員になるために必要なこと

    公務員になるためには、試験合格が必須です。ここでは、試験の種類や準備、必要な資格について解説します。

    1.公務員試験の受験資格と種類

    国家公務員や地方公務員になるには、公務員試験に合格する必要があります。公務員試験には、主に国家公務員試験(総合職、一般職、専門職など)と地方公務員試験があります。

     

    それぞれの試験には年齢制限や学歴などの受験資格が設定されています。また、職務内容や求められるスキルに応じて異なる科目や形式で実施されます。自分が目指す職種に応じて、適切な試験を選択することが重要です。

    2.試験の準備と対策

    公務員試験には、一般知識(時事問題、社会、法律、経済など)や専門知識(法律、経済学、行政学など)、論文試験が含まれます。筆記試験に向けてしっかりとした学習計画を立てることが必要です。

     

    筆記試験の合格者は面接試験に進みます。面接試験では公務員としての適性や志望動機、対人スキルが評価されます。

    3.必要な資格や経験

    一部の専門職(例えば、技術職や福祉職など)では、試験に合格するだけでなく、特定の資格や経験が求められます。例えば、技術職であれば工学系の資格や経験、福祉職であれば社会福祉士などの資格が有利になります。

     

    なお、新卒採用以外でも、民間での経験を活かして中途採用されるケースも増えています。特定の分野での業務経験がある場合、それが公務員試験や面接で有利に働きます。

    公務員転職の留意点・リスク

    公務員の働き方や待遇などには、民間企業とは異なる特徴があります。ここでは、主な留意点とリスクを詳しく説明します。

    1.給与体系に関する懸念

    公務員の給与は、民間企業の給与水準を考慮して決定されるため、個人の成果が直接反映されにくい特徴があります。また、昇給やボーナスの幅は、民間企業に比べて小さいことが多いです。

     

    なお、国家公務員は、人事院勧告に基づいて国会で給与が決定されます。地方公務員は、各地方公共団体の議会で条例として定められますが、多くの場合、人事委員会勧告(小規模自治体では国の人事院勧告)を参考にしています。

    2.キャリアの専門性と異動

    また、公務員のキャリアは、定期的な異動(ジョブローテーション)があるため、特定分野での深い専門性を築きにくいと言われることが多いです。ただし、近年ではIT専門職や法務専門職などで、専門職制度を導入する動きもあります。

     

    なお、国家公務員は省庁間異動も含め、幅広い分野での勤務が一般的です。地方公務員は自治体内での異動が中心ですが、部署間の移動は頻繁です。

    3.業務の制約と柔軟性

    公務員の業務は、法令や規則に厳格に従う必要があり、個人の裁量で業務を大きく変更することは難しい特徴があり、民間企業で働いてきた人には違和感があるかもしれません。

     

    なお、国家公務員は法令や全国的な制度に基づく業務が中心で、地方公務員は地域の条例や規則に基づく業務が多いという相違点があります。

    4.採用試験の難しさ

    公務員の採用試験は、競争率が高く、特に人気職種や地域では非常に競争が激しくなっています。一般教養、専門科目、論文、面接など、幅広い準備が必要なのも特徴です。

     

    なお、国家公務員試験は、総合職、一般職など全国統一の試験。地方公務員は、各自治体が独自に実施する試験となっています。

    5.組織文化の違い

    公務員の意思決定プロセスは、民間企業より遅い傾向があります。また、階層的な組織構造や前例主義的な面があります。これはいわゆる「官僚制」の組織によるものですが、必ずしも問題ばかりでなく、物事を慎重に進めるうえで必要な部分もあります。

     

    なお、国家公務員の場合は、中央省庁の文化に適応する必要があります。地方公務員は、地域の特性や自治体の文化への適応が求められることもあります。

    公務員転職の魅力・メリット

    公務員には、民間企業にはない独自の魅力があります。ここでは、公務員の主なメリットについて解説します。

    1.雇用の安定性

    これは国家公務員・地方公務員共通の特徴ですが、身分が法律で保護されており、経済状況の変化による影響を受けにくいため、雇用の安定性が高いです。ただし近年では、非常勤職員や任期付き職員の採用も増加しており、一概には言えないところもあります。

    2.ワークライフバランス

    公務員は、通常時は定時退勤や休暇取得がしやすい環境であり、ワークライフバランスが確保しやすい傾向があります。

     

    ただし、地方公務員は地域や部署により状況が異なるものの、比較的規則的な勤務が多いのに対し、国家公務員は中央省庁では、繁忙期の残業が多い傾向があります。

     

    また、地方公務員であっても、災害対応や議会対応、選挙時など、状況によっては長時間・不規則勤務があり、その場合には長時間労働になります。

    3.公共の利益への貢献

    公務員は、社会全体や地域の発展に直接貢献できる仕事です。国家公務員は、国全体の政策立案や実施に関与し、地方公務員は、地域住民の生活に直接影響を与える業務に従事できる仕事です。

    4.福利厚生

    公務員には、各種手当(住宅手当、扶養手当など)が整備されており、休暇制度も充実していると言われます。ただし大企業や、福利厚生に特色あるベンチャーと比べてどうか、というと一概には言えない部分もあるかもしれません。

     

    なお、2015年10月から公務員や私学教職員も厚生年金に加入することになり、共済年金は廃止されました。これにより、公務員の年金はかつてのように特に手厚いという状況は大きく変わり、現在では民間企業の社員との格差は縮小されています。もちろん、給与水準や退職金制度の違いにより差が生じます。

    5.多様な経験

    公務員は、行政全般に関する幅広い知識を習得できる機会があるのが特徴です。国家公務員は省庁間異動を含む幅広い経験が可能ですし、地方公務員も自治体内の様々な部署での勤務経験を積むことができます。

    試験勉強の前に熟考を

    これまで書いてきたように、民間企業から公務員への転職には、魅力とともにリスクがあります。安定した雇用や社会貢献のやりがいがある一方で、給与体系や業務の柔軟性、組織文化の違いへの適応が必要です。

     

    また、国家公務員と地方公務員では、仕事の内容や環境に違いがあることを認識しておくことが重要です。

     

    そもそも公務員になるためには、採用試験が高いハードルとなるため、それ以外の要素は相対的にあまり重要ではない、と考えられがちです。

     

    しかし、実際に転職してみてから「あれ、こんなはずではなかったのに」とならないためにも、事前に準備段階での情報収集や熟考が必要です。

     

    同年代や類似職種の
    年収・口コミを見ることで
    自分の正しい市場価値に気付くきっかけに!

    60万社以上の本音の口コミを公開中

    失敗しない転職をするために
    無料会員登録して口コミを確認

    あわせて読みたい

    カテゴリーリスト

    キャリア情報館

    仕事図鑑

    差がつく転職ノウハウ

    転職の基本