ハローワーク経由で転職?知っておきたい注意点と意外なメリット
転職を考えるとき、多くの人がまず思い浮かべるのは、インターネットの求人サイトや人材紹介会社でしょう。しかし、意外にも強力な転職の味方が身近に存在します。それがハローワークです。
「えっ、ハローワーク?」と驚く人もいるでしょう。確かに、ハローワーク経由の転職にはいくつかの注意点があります。しかし同時に、意外なメリットも存在するのです。今回は、ハローワーク経由での転職について、そのデメリットとメリットを詳しく見ていきましょう。
ハローワークとは?
ハローワークは、正式名称を「公共職業安定所」といい、厚生労働省が運営する国の機関です。主な役割は、求職者と求人企業のマッチングを行い、雇用の安定を図ることです。
サービスが完全無料
ハローワークの最大の特徴は、サービスが完全無料で受けられることです。求職者はもちろん、求人を出す企業側も無料で利用できます。この「無料」という点が、ハローワークの強みでもあり、同時に後述する課題の原因にもなっています。
幅広いサービスを提供
また、ハローワークでは、求人情報の提供だけでなく、職業相談、職業紹介、雇用保険の手続きなど、就職に関する幅広いサービスを提供しています。全国に500以上の拠点があり、地域の雇用事情に精通したスタッフが対応してくれるのも特徴です。
オンラインサービスあり
近年、ハローワークはオンラインサービスの充実にも力を入れています。「ハローワークインターネットサービス」という無料のウェブサイトやアプリでは、全国のハローワークで受け付けた求人情報をオンラインで24時間検索できます。
ただし、応募の際には原則としてハローワークの窓口を通す必要があるため、完全にオンライン完結とはなっていません。
ハローワーク利用の注意点
上記の特徴を踏まえ、ハローワーク利用時の注意点を整理してみます。
求人の質にばらつきがある
ハローワークを利用する上で最も注意すべき点は、求人の質にばらつきがあることです。ハローワークには、主に中小企業や地域の事業所が求人を出しています。大企業の場合、正社員の募集はあまり見られず、パートやアルバイトの求人が中心となる傾向があります。
この背景には、ハローワークが求人掲載を無料で行っていることが関係しています。無料で掲載できるため、多くの企業が利用しますが、同時に給与水準が比較的低い求人も多くなりがちです。また、労働条件や職場環境が十分に整っていない企業の求人も混在している可能性があります。
専門性の高い求人は多くない
もう一つの注意点は、専門性の高い求人が比較的少ないことです。IT業界やクリエイティブ職など、特定のスキルや経験を必要とする専門職の求人は、ハローワークではあまり見かけません。これらの職種は、業界特化型の求人サイトや人材紹介会社を通じて募集されることが多いためです。
そのため、高度な専門性を持つ求職者にとっては、ハローワークで魅力的な求人を見つけるのが難しいかもしれません。キャリアアップを目指す転職の場合、ハローワーク以外の選択肢も積極的に検討する必要があるでしょう。
競争が激しい場合も
ハローワークは多くの人が利用する公的サービスです。そのため、条件の良い求人や、希少な正社員の求人などには多くの応募が殺到する可能性があります。
ただし、この点は裏を返せば、それだけハローワークが多くの人に信頼され、活用されているということの表れでもあります。競争を恐れずに、自分の強みをアピールする姿勢が大切です。
ハロワ利用の意外なメリット
ここまで注意点を見てきましたが、ハローワークには意外なメリットも多くあります。以下、その代表的なものを紹介していきましょう。
1.信頼性の高さ
ハローワークの最大の強みは、その信頼性の高さです。ハローワークは厚生労働省が運営する公的機関です。そのため、掲載される求人情報の信頼性は非常に高いと言えます。
民間の求人サイトなどでは、誇大広告や虚偽の求人情報が混じることがありますが、ハローワークではそのようなリスクが低減されています。ハローワークの職員が企業の労働条件をチェックし、法令遵守を確認しているからです。
この信頼性の高さは、求職者に大きな安心感をもたらします。特に、転職経験が少ない人や、ブランクがある人にとっては、この安心感は非常に重要です。
2.無料のキャリアサポート
ハローワークのもう一つの大きな魅力は、無料で包括的なキャリアサポートが受けられることです。これは民間のサービスではなかなか得られない、ハローワークならではの強みと言えるでしょう。
具体的には「キャリアカウンセリング」「自己分析のサポート」「職種選択のアドバイス」「履歴書の書き方指導」「面接対策」など、就職活動に必要なさまざまなサポートを無料で受けることができます。これらのサービスは、転職経験が豊富な専門家によって提供されます。
また、ハローワークは「新卒」「転職」「再就職」「障害者雇用」など、様々な状況に対応しています。年齢や経験を問わずサポートを受けられるため、幅広い層の求職者にとって心強い味方となります。
3.公的支援制度との連携
ハローワークの利用で見逃せないメリットが、公的支援制度との連携です。例えば「失業給付の手続き」と「求職活動」を同時に行えるのは、ハローワークならではの利点です。
また、「職業訓練制度」など、国や地方自治体が実施する様々な雇用施策にもスムーズにアクセスできます。これらの制度は、スキルアップや再就職の強力な後押しとなります。民間のサービスでは得られない、公的機関ならではのメリットと言えるでしょう。
4.隠れた求人の開拓
意外と知られていないハローワークの強みに「求人開拓」があります。ハローワークの職員は積極的に企業訪問を行い、表に出ていない隠れた求人を開拓しています。
これは特に、地方や中小企業の求人に強みを発揮します。地域に密着したハローワークだからこそできる、きめ細かな求人開拓です。インターネットの求人サイトには載っていないような、地元の優良企業の求人に出会えるチャンスがあるのです。
転職活動のパートナーとして
ハローワーク経由での転職には、確かにいくつかの注意点がありますが、それと同時に、多くの意外なメリットがあるのです。
これらのメリットを最大限に活用するためには、ハローワークを、求人情報源としてだけではなく「転職活動の総合的なパートナー」として活用することが大切です。オンラインサービスで広く求人を探しつつ、実際の窓口でも相談を利用し、提供されるサポートを十分に活用しましょう。
もちろん、ハローワーク以外の転職サービスも併用するなど、多角的なアプローチを取ることも重要です。公的サポートを上手に活用し、自分に合った理想の職場を見つけてください。