企業の「ダイバーシティ」 そのメリットと労働環境の変化
近年、ダイバーシティを推進する企業が増えています。ビジネスにおけるダイバーシティとは「多様性」のことで、性別や国籍、年齢、宗教、価値観などにとらわれずに人材を積極活用することをいいます。具体的には外国籍の人材の登用、若手管理職の抜擢など、従来型とは異なる人材登用などを指します。
果たしてダイバーシティのメリットとは何なのでしょうか? さらにダイバーシティが進む職場の環境はどう変化していくのでしょうか。考えてみましょう。
なぜダイバーシティの推進が進められているのか
ダイバーシティが推進される背景には、これまでの画一的なビジネス手法や人事制度が機能しなくなりつつあることがあります。従来までなら、出世コースに乗るのは“日本人・男性・新卒プロパーの正社員”だけと考えられていましたが、近年は価値観の多様化やグローバル化が進み、必ずしもこうした人材が活躍できるとは言えなくなりました。
ダイバーシティを導入する企業には以下のような狙いがあります。
- ・多様な価値観、能力、発想を持った社員による事業の発展
- ・多様化・複雑化する消費者のニーズへの効果的対応
- ・さまざまな意見によるシナジーと創造性の向上
- ・各種ハラスメントなどの減少
例えば女性や外国籍者の雇用促進により、これまでには生まれなかった製品やサービスが期待できます。グローバル展開にも有利ですし、新たな価値観に目覚めた消費者を囲い込むこともできるようになるでしょう。
また、これまでにない意見に触れることで、既存の社員側にとっても刺激になり、社内が活性化することが考えられます。さらに女性管理職や外国籍社員が増えれば、セクハラや外国人差別なども減少すると考えられます。
ダイバーシティが進む職場環境の変化
ダイバーシティを進めることで職場環境が大きく変化することが予測されます。
社員の多国籍化が進むことにより、会議などの場では英語が公用語になる可能性があるでしょう。社内ITシステムや社内報なども英語で書かれるようになっていきます。言語だけでなく、各国の文化への理解も求められるようになります。異文化を踏まえた食堂のメニューやトイレの整備、宗教的な理解なども必要となっていきます。
さらに、女性や年配層の雇用も進むことでフルフレックス化や在宅勤務などの働き方も進むでしょう。ワークライフバランスが考えられた、さまざまな人材が働きやすい職場になるでしょう。出産や介護などで断絶しがちな女性のキャリアのあり方も変わってきます。優秀な人材の流出を防ぐことができるでしょう。
多くのメリットがあるダイバーシティですが、多様な立場の人々への相互理解が前提として必要不可欠。ダイバーシティを進めることができる労働環境をきちんと整備することで、企業の効果的な発展が望めるようになるでしょう。(ライター:香川とも)