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    「マタハラ」「パタハラ」を防ぐために 育児支援制度の現在

    2025年1月14日 転職の基本  -  転職ニュース

    マタハラ妊娠・出産・育児に関連する職場でのハラスメントは、働く親たちの大きな課題となっています。この背景には、固定観念や制度運用の不備があり、キャリア形成や精神的健康に大きな影響を与えています。

    場合によっては職場全体の生産性や士気も低下させ、企業の成長を阻害する要因にもなっています。今回は、最新の制度改正を踏まえながら、現場で直面する現実的な課題とその解決策を提案し、誰もが安心して働ける職場づくりを考えます。

    マタハラ・パタハラとは?

    「マタニティ(maternity)」は妊娠・出産や母性を指し、「パタニティ(paternity)」は父性や育児への関与を意味します。職場では、これらに関連する支援制度や配慮が必要とされますが、現実には固定観念や文化的背景がこれを阻んでいます。

    これらに関連する嫌がらせや不当な扱いが、それぞれ「マタニティ・ハラスメント(マタハラ)」「パタニティ・ハラスメント(パタハラ)」と呼ばれています。妊娠・出産・育児に対する偏見や、制度運用の不備が主な原因となっており、働く親たちのキャリアや生活を脅かす大きな障壁となっています。

    育児支援制度改正のポイント

    近年では2022年施行済の内容と、2025年施行予定の内容があります。

    2022年施行の改正内容

    2022年施行済の改正内容は主に以下の2点です。

    • 産後パパ育休制度:出生後8週間以内に最大4週間の育児休業を取得できる制度が導入されました。分割取得も可能となり、男性の育児参加を促進する重要な一歩となっています。
    • 企業の育児休業取得促進義務:企業には育児休業の周知や相談窓口の設置が義務付けられ、従業員が制度を利用しやすい環境整備が求められています。具体的には、制度の説明会開催や個別面談の実施などが含まれます。

    2025年施行予定の改正内容

    2025年施行予定の改正内容は主に以下の3点です。

    • 子の看護休暇の対象拡大:小学校就学前から小学校3年生修了までに対象年齢が引き上げられ、より長期的な育児支援が可能になります。
    • 短時間勤務制度の代替措置:テレワークが新たな選択肢として加わり、働き方の柔軟性が高まります。これにより、育児中の従業員の負担軽減が期待されています。
    • 男性育児休業取得率の目標引き上げ:政府目標30%の達成に向けて、企業の取り組みが強化されます。この目標達成には、職場文化の変革も必要とされています。

    想定されるマタハラのケース

    マタハラの具体例としては、以下のようなものが想定されます。

    妊娠報告時の退職圧力

    「将来の復職を前提にすると人員補充が難しい」「長期休暇は他の従業員の負担になる」といった理由で、退職を促されるケースです。特に中小企業では、人員確保の難しさから、こうした圧力が生じやすい環境にあります。

    不当な配置転換

    育児休業から復職する際、「時短勤務では現場の負担が増える」として、本人の意向を無視した配置転換が行われることがあります。元のポジションより責任の軽い業務に異動させられるケースも報告されています。

    昇進・評価への影響

    育児休業取得を理由に、「仕事への意欲が低下した」とみなされ、昇進から外されたり、評価が不当に下げられたりするケースです。これは、長期的なキャリア形成に大きな影響を及ぼします。

    想定されるパタハラのケース

    パタハラの具体例としては、以下のようなものが想定されます。

    育児休業取得への偏見

    「男が育児休業を取るのは無責任だ」「キャリアへの影響を考えるべきだ」といった否定的な発言を受けるケースです。特に管理職からこうした発言を受けると、取得を諦めざるを得ない状況に追い込まれることもあります。

    職場での孤立

    育児休業を取得した男性が、「仕事に対する熱意が低い」とみなされ、重要なプロジェクトから外されたり、昇進の機会を失ったりするケースです。

    課題の整理と防止策

    企業の課題としては、業務負担に対する現実的対応が必要です。育児休業取得者の不在による人員不足や、残された従業員の業務負担増加は、避けられない現実です。特に中小企業では、代替要員の確保が困難なケースも多く見られます。具体的な防止策としては、以下のようなものが考えられます。

    • 計画的な代替要員の確保と業務の再分配
    • 育児休業取得者の業務を複数人でカバーする体制づくり
    • 業務のマニュアル化やデジタル化による効率向上
    • 管理職向けハラスメント防止研修の実施
    • 育児休業取得者の復職支援プログラムの整備

    また、政府の支援策としては、中小企業向けの助成金制度を強化し、代替要員の確保や業務効率化のための支援を行っています。また、監査体制を整備し、ハラスメント防止に関する企業の取り組みを定期的に確認し、必要に応じて指導を行う体制を強化しています。

    このほか、育児休業を取得する当事者側の対応としては、・早期の申し出と丁寧な引き継ぎ準備・業務のマニュアル化への協力・職場の同僚への配慮と感謝の表明・復職後の円滑な業務復帰に向けた準備などが考えられるでしょう。

    企業の競争力強化に向けて

    育児休業の取得が企業や同僚に一時的な負担をもたらすことは、現実的な課題として認識する必要があります。しかし、この負担を理由にハラスメントを容認することは、企業の持続的な成長を阻害し、社会全体の損失につながります。

    むしろ、育児支援制度を積極的に活用し、誰もが安心して働ける環境を整備することが、企業の競争力強化と持続的な発展につながるのです。今回提案した対策を参考に、企業、政府、そして当事者が協力して、マタハラやパタハラのない職場づくりを進めていくことを願います。

     

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