急増中! 「働かないおじさん」とその原因に迫る
あなたの周囲に「働かないおじさん」はいませんか? 「働かないおじさん」とは、要職に就くわけでもなく、目立った成果を上げているわけでもなく、社歴が長いだけで一般社員と同等かそれ以上の給料をもらっている中高年の男性社員を指します。
こうした人がいると、有能な社員や若手社員が「なんであの人が高い給料をもらっているんだ?」と不信感を抱くきっかけになりがち。もちろん、「働かないおじさん」自身のキャリアにとってもプラスになりません。その実態と生まれる原因を解説します。
「働かないおじさん」の傾向と対策
一言で「働かないおじさん」といってもいくつかのタイプがあります。自分の周囲にいる「働かないおじさん」のタイプと特徴を見極め、彼らに振り回されないようにしましょう。
・無気力タイプ
その名の通り、仕事に無気力なタイプです。業務メールを読まない、会議では居眠りなど仕事全般に主体性が見られません。こうした人の多くは、若い頃は頑張ってきたけれど、自分が思う通りの見返りを得られず、無気力になったというケースが多いようです。仕事に対するモチベーションを失っているので、「もっと頑張ってください!」などと言っても響きません。イライラしないように距離をおいて仕事をすることが賢明です。
・批評家タイプ
常に仕事や会社に対して文句を言っている人です。自分が要職に就いていないのは、「上司に嫌われているから」「自分の能力を会社が認めないから」など都合よく解釈することが多いです。上から目線で批判的な発言をするので、若手社員が振り回されることも少なくありません。このタイプの「働かないおじさん」によって業務が円滑に進まない場合は、一人で立ち向かわず上司に相談をするとよいでしょう。自分より下の立場の者には強いですが、権限を持った人には弱いという特徴があるので、そこを上手に攻めることがポイントです。
・群れタイプ
「働かないおじさん」は社内で孤立している人がほとんど。しかし一方、根本的なところで業務に意義を見いだせていない人、働く楽しさを失ってしまった人が複数人集まると、群れタイプの「働かないおじさん」になります。こうした人たちは3~4人で集まって何度も長めの休憩を取る、不必要な外出ばかりしている、などの特徴があります。自分と似た人に近寄っていく傾向があるので、飲み会などで若手社員が弱音を吐いたりすると、すり寄ってくることがあります。
「働かないおじさん」が生まれる原因とは
では、どうしてこのような「働かないおじさん」が生まれてしまうのでしょうか。その原因は新卒一括採用と大量採用にあります。
現在の「働かないおじさん」の世代は、新卒一括採用かつ大量採用で入社した人たちです。しかも、安定企業に入れば幸せが約束されていると信じている世代でもありました。入社当初は彼らも懸命に働いていましたが、大量採用された中には自分よりデキる同期が何名もいます。
その一方で、会社組織はピラミッド型の構造ですから、大勢の平社員と少数の役職者で構成されます。少ない管理職ポジションを巡ってデキる同僚との“イス取りゲーム”に敗れた場合、必然的に出世コースから取り残されることになるわけです。敗れた社員は頑張ってもこれ以上給料・役職が上がらないことを悟り、会社への貢献意欲を失っていく=「働かないおじさん」化していくのです。
今後はバブル時代の大量採用世代が40代後半から50代に突入します。一層「働かないおじさん」が増加することが予測されるでしょう。
「働かないおじさん」にならないために気を付けるべきこととは
年齢的に若いときは、自分が「働かないおじさん」になるとは思っていないでしょう。しかし、現実的にはそんな中から「働かないおじさん」は生まれてくるのです。「働かないおじさん」にならないためにはどうしたらよいのでしょうか。
・仕事を面白くするための工夫をする
会社側が常に自分のやりたい仕事を与えてくれるわけではありません。しかし、どんな仕事からも得られるものはあるはずです。目の前にある仕事に、自分なりの工夫を加えて仕事を面白くしていくくせをつけましょう。
・仕事本位になりすぎない
「働かないおじさん」は会社に依存しすぎたキャリアの裏返しの姿ともいえます。つまり「会社に尽くしてきたのに裏切られた」と卑屈になり、働く意義を見失ってしまうのです。今後、雇用の流動性はますます高まりますから、ひとつの会社でキャリアを終えることはレアケースになっていくでしょう。“会社に就く”という意識をやめ、家庭やプライベートも大切にしながら、自分の居場所を複数持つことが大切です。
・仕事の挫折を正面から受け止める
多くの人が仕事で挫折をします。それを外的要因(他人や環境)のせいにしたり、見ないふりをしたりしていると仕事で成長する機会を失ってしまいます。挫折を転機として捉え、仕事への向き合い方を検討してみる心づもりが必要でしょう。
(ライター:香川とも)