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    Z世代と「ゆるい職場」 成長機会とワークライフバランスの新しいかたち

    2025年1月17日 転職の基本  -  転職ニュース

    ゆるい職場「ゆるい職場」という言葉が注目を集めているようです。この言葉は2010年代からあったようですが、最近はあらためてZ世代の若者たちの間で、この「ゆるい職場」への関心が高まっているようです。

    しかし、「ゆるい職場」を求める声がある一方で、そこに不安を感じる若者も存在します。今回は、Z世代と「ゆるい職場」の関係性を探り、その背景にある社会の変化や若者たちの価値観、そして企業側の対応について考察していきます。

    「ゆるい職場」の定義と特徴

    「ゆるい職場」とは、比較的負荷が少なく、労働者の能力や期待に対して過剰な負担が課されない職場と定義されます。

    社会的背景の影響

    世の中が豊かになり、親世代の経済的支援があることで、若者に「ハングリー精神」を求められることが減少しています。これにより、ストレスを抱えずに働きたいという価値観が広がっています。

    若者の社会経験不足

    社会人経験が浅い若者は、働く意義や責任感に目覚めていない場合があり、その結果「ゆるい職場」を求める傾向があります。これはZ世代に限らないことなのかもしれません。

    働き方改革の影響

    2019年4月から順次施行されている「働き方改革」の動向は、Z世代の志向ともマッチしています。ストレスや負担を抑えた職場環境の設計は若者にとって働きやすく、そのような環境を整えている職場が人気です。

    企業側の人事制度の変化

    かつての日本企業は、すべての社員にキャリア志向を求めていましたが、現在は、ハードワークを志向する人と「そこそこでいい」人を分ける制度を導入し、柔軟に対応するところもあります。これにより、適度な働き方を求める人々が増加しています。

    Z世代と「ゆるい職場」への期待

    UZUZが2023年に実施した「Z世代の就職観調査」によると、Z世代の就職先選びの重要な条件として「ワークライフバランスが取れている」「残業が少ない」といった項目が上位に挙がっています。その背景には、以下の要因が挙げられます。

    ストレスを受けたくない

    メンタルヘルスへの関心が高く、精神的な負担を避けたいという願望があります。これは、親世代のバブル崩壊後の働き方を見てきた経験も影響している可能性があります。

    また、核家族化・少子化の進行により、親からの経済的支援を受けやすい環境が整っていることも、この世代の「ゆるい職場」志向を支える要因となっています。

    プライベートを大切にしたい

    デフレ経済下で育ったZ世代は、必ずしも経済的上昇だけを幸せの指標としていません。仕事だけでなく、趣味や家族との時間、自己啓発などを重視する価値観が強く見られます。

    働きやすさを重視したい

    インターネットの普及により、多様な働き方や生き方に触れる機会が増加し、従来型の企業戦士的な生き方以外の選択肢を積極的に模索する傾向があります。

    「ゆるい職場」の課題

    「ゆるい職場」は、多くの若者世代にとって当面のメリットと考えられる一方、中長期的に見るとデメリットとなるおそれもあります。

    成長機会の不足

    最も懸念されるのは成長機会の不足です。挑戦的な業務や責任ある立場を避けることで、スキルやノウハウの蓄積が遅れる可能性があります。特に20代は、様々な経験を通じて成長できる重要な時期です。「ゆるい職場」での経験不足は、将来のキャリアに影響を及ぼす可能性があります。

    キャリア形成への不安

    多くの若者が「この職場での経験は将来の転職やキャリアアップの際に評価されるのか?」という懸念を抱えています。転職などの際に、「ゆるい職場」での経験をネガティブに評価されることもあるでしょう。

    やりがいの欠如

    適度な負荷は精神的な健康に良い影響を与えますが、逆に挑戦や達成の機会が少なすぎると、仕事への意欲や満足度が低下する可能性があります。意欲的な若手社員からは「もっと成長したい」「より大きな責任を任せてほしい」という声も上がっています。

    企業に必要な取り組み

    とはいえ、企業としても「すべての社員にハードワークを求める職場づくり」は現実的でなくなり、以下のような取り組みが考えられます。

    段階的な負荷設定

    入社直後は比較的ゆるやかな業務からスタートし、社員の成長に合わせて徐々に責任ある業務を任せていくアプローチです。これにより、急激なストレスを避けつつ、着実な成長を促すことができます。

    複線的なキャリアパスの設計

    社員の志向性に応じた複線的なキャリアパスの設計も重要です。例えば、管理職を目指す「マネジメントコース」、専門性を追求する「スペシャリストコース」、ワークライフバランスを重視する「ライフステージコース」など、多様な選択肢を用意する企業が増えています。

    スキル開発支援の充実

    柔軟な働き方とスキル開発の両立を支援する取り組みも広がっています。オンライン学習プラットフォームの提供や、業務時間内での自己啓発時間の確保、外部研修への参加支援など、「ゆるさ」を保ちながら成長機会を提供する施策が導入されています。

    コミュニケーションの重視

    これらの施策を効果的に機能させるには、きめ細かなコミュニケーションが不可欠です。定期的な面談を通じて各社員の志向や課題を把握し、適切なサポートを提供することが、企業に求められています。

    「ゆるい職場」の両面性を理解して

    「ゆるい職場」をめぐる議論は、Z世代の価値観や社会の変化を反映しています。デフレ経済下で育ち、親世代のバブル崩壊後の働き方を見てきた彼らは、企業戦士的な生き方に疑問を持ち、プライベートの充実や心身の健康を重視する傾向があります。

    一方で、若者が抱える成長やキャリア形成への不安も無視できません。特に20代という重要な成長期において、過度な「ゆるさ」を追求することは、将来的なキャリアの選択肢を狭める可能性があります。

    企業には、この両面性を理解した上での柔軟な対応が求められています。個々の社員の志向や課題を丁寧に把握し、適切なサポートを提供することで、「ゆるさ」を享受しつつも、やりがいと成長を実感できる職場環境を作り上げていく必要があります。

    これは、Z世代に限らず、全ての世代にとって働きがいのある職場を実現することにもつながるのではないでしょうか。

     

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