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    介護離職、その実態と課題 仕事と介護の両立を目指して

    2025年1月7日 転職の基本  -  転職ニュース

    介護離職介護離職は、個人の生活やキャリアだけでなく、社会全体にも重大な影響を及ぼす問題です。高齢化が進む日本では、年間約10万人が介護を理由に仕事を辞めており、その経済損失は約6,500億円と推計されています。

    離職者は収入の減少やキャリア中断に直面し、社会的孤立や健康リスクが高まる一方、社会も労働力損失や社会保障制度への圧迫に直面しています。今回は、介護離職の現状とその影響、政府の対策について解説し、私たちが取り組むべき課題を考察します。

    介護離職の問題

    介護離職は、個人と社会の両面に深刻な影響を及ぼします。

    経済的不安定とキャリアへの打撃

    個人への影響としては、まず収入の減少による経済的不安定が挙げられます。仕事を辞めることで安定した収入源を失い、生活の質が低下する可能性があります。また、キャリアの中断は将来の再就職を困難にし、長期的な経済的影響をもたらす可能性があります。

    社会的孤立と健康リスク

    さらに、職場を離れることで社会との接点が失われ、孤立感を感じる人も少なくありません。加えて、介護に専念することで精神的・肉体的な負担が増加し、介護者自身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

    労働力損失と経済的ダメージ

    一方、社会への影響も看過できません。年間約10万人もの労働力が失われることは、日本の経済成長にとって大きな損失となります。経済損失は約6,500億円と推計されており、国の生産性に直接的な影響を与えています。

    社会保障制度への圧迫

    また、働き手の減少は社会保障制度にも圧迫を与え、年金や医療保険などの持続可能性に影響を及ぼす可能性があります。

    政府の対策

    介護離職の問題に対し、政府は以下のような対策を行っています。

    「介護離職ゼロ」目標の設定

    2015年9月、安倍首相(当時)は「一億総活躍社会の実現」のために「新・3本の矢」を打ち出しました。その中の「安心につながる社会保障」の具体策として「介護離職ゼロ」が含まれました。この目標設定により、政府の主要政策として高齢者介護が初めて取り上げられ、注目を集めました。

    「ニッポン一億総活躍プラン」の閣議決定

    2016年6月、「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定され、その中でも「介護離職ゼロ」が明確な目標として掲げられました。主な施策として以下が挙げられました。

    • 介護の受け皿拡大(38万人分以上から50万人分以上へ)
    • 介護人材の処遇改善(月額平均1万円相当の改善)
    • 多様な介護人材の確保・育成
    • 介護ロボットの活用促進とICT等を活用した生産性向上
    • 仕事と介護の両立が可能な働き方の普及促進

    育児・介護休業法の改正

    2017年1月1日に施行された改正育児・介護休業法では、介護離職を防止し、仕事と介護の両立を可能とするための制度が整備されました。主な改正点は以下の通りです。

    • 介護休業の分割取得:3回まで分割して取得可能(合計93日)
    • 介護休暇の半日単位取得:1日単位だけでなく半日単位での取得が可能に
    • 介護のための所定労働時間の短縮措置等:3年間以上の継続した措置の義務付け
    • 介護のための残業の免除:介護終了までの期間について請求することが可能に

    介護医療院の創設

    2018年4月、政府は介護保険制度の見直しに伴い「介護医療院」を創設しました。この施設は、長期的な入居と医療的ケアの提供を目的としており、要介護度の改善と在宅復帰の促進を目指しています。

    育児・介護休業法の更なる改正

    2021年からは、介護休暇を時間単位で取得できるようになりました。これにより、より柔軟な介護と仕事の両立が可能になりました。

    また、2025年4月1日から施行される法改正により、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度がさらに強化されます。主な内容は以下の通りです。

    • 介護に直面した労働者が申し出た場合、両立支援制度等に関する情報の個別周知と意向確認が事業主に義務付けられる
    • 40歳等の早い段階での両立支援制度等に関する情報提供が義務化される
    • 研修や相談窓口の設置等の雇用環境整備が事業主に義務付けられる
    • テレワークの選択肢提供が事業主の努力義務となる

    社会全体の理解と協力が不可欠

    介護離職の防止は、個人の生活の質を守るだけでなく、日本の労働力確保と経済成長にとっても重要な課題です。政府の取り組みは、法改正や助成金制度の創設、「介護離職ゼロ」に向けた包括的な施策など、多岐にわたっています。

    これらの政策は、働く人々が介護と仕事を両立できる環境づくりを目指しています。しかし、政策の実効性を高めるためには、企業や社会全体の理解と協力が不可欠です。

    今後も、介護離職防止に向けた取り組みが進化し、誰もが安心して働き続けられる社会の実現に近づくことが期待されます。私たち一人ひとりも、これらの制度を理解し、介護と仕事の両立という課題に、社会全体で取り組んでいくことが求められています。

     

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