広がるテレワークって何? そのメリット・デメリット
ネットワークの進歩により、近年多様な働き方が推進されています。その中でも特に多くの企業で導入されているのが、テレワーク(在宅勤務)という働き方で、日産自動車や日本生命といった大手企業で取り入れられています。
会社にとっても、個人にとっても新しい試みであるテレワークには、メリットもデメリットもあります。実際にテレワークを行っている方、また行おうとしている方にとっても踏まえておきたいポイントをまとめました。
テレワークとは? その導入の背景とは?
テレワークは、会社に雇用されながらもインターネットやパソコン、タブレット、スマートフォンなどのICT(情報通信技術)を駆使して、自宅、カフェ、新幹線などの移動時などに働くスタイルのことです。在宅勤務やリモートワークなどといわれることもあります。1週間のうち8時間以上、オフィスなど本来業務を行う場所以外でICTを使って仕事をしていれば、テレワークをしていると定義されます。
テレワークという言葉自体は20年ほど前から用いられていますが、日本で定着してきたのはここ数年のこと。この背景にはいくつかの事情があります。
- ・都市問題(通勤ラッシュや人口集中など)の解消が叫ばれるようになった
- ・子育てしやすいワークスタイルを提供し、少子化の解消が問題化した
- ・高齢化社会のため、介護をしながらの勤務を提唱された
- ・高齢者でも働きやすいワークスタイルが求められるようになった
- ・ICTの進化と普及
東日本大震災を経て、都心部に一極集中する働き方が見直されるようになりました。ここ最近では、オフィスから独立しても業務が進められるようにする仕組み作りが進められています。また、少子高齢化という社会構造的な問題を鑑みて、場所に縛られない働き方をしていくことが検討され始めました。
女性はまだまだ子育てや介護の担い手になりがちですが、このようなオフィスに出勤せずに仕事ができるスタイルは大いに期待されているでしょう。このようなワークスタイルを推奨することで、働きやすくなる人が増加するのは確かだと言えそうです。
テレワークのメリット・デメリット
テレワークという新しい働き方にはメリットもデメリットもあります。
【個人にとってのメリット】
- ・どこでも仕事ができ、自由度が高まる
- ・出勤準備、通勤時間など無駄な時間を削減できる
- ・家庭やプライベートと仕事とのバランスを取りやすい
- ・通勤の負荷が軽減され、高齢者や身体が不自由な方も働きやすくなる
【企業にとってのメリット】
- ・通勤手当などのコストを削減できる
- ・出勤する人数を限ることで、オフィス設備のコストが削減できる
- ・介護や子育てによる社員の退職を防ぐことができる
【個人にとってのデメリット】
- ・いつも仕事をしている状態になり、仕事とプライベートの垣根がなくなりやすい
- ・裁量労働となり、時間外勤務に対する支払い(残業代)がなくなる
- ・時間外勤務の支払いがなくなるため、一層の負荷が与えられる可能性がある
- ・「ノルマ未達成は能力のせい」といった企業に有利な成果主義が強いられる可能性がある
【企業にとってのデメリット】
- ・社員の統率が難しくなる
- ・ICT備品をテレワーク導入者全員に配備する必要がある
- ・労働者の仕事ぶりが見えにくく評価が難しくなる
専門職や自分自身でである程度裁量を決定しながら業務をこなす労働者にとっては、自由度が高い業務スタイルとして歓迎されるでしょう。しかし、事務的な作業を中心とする社員にとっては、低賃金化する危険性をも危惧されています。労働者にとってプラスとなるようなワークスタイルとしていけるよう、今後も運用の仕方を検討していく必要がありそうです。(ライター:香山とも)