ドローンでビジネスはどう変わる?
官邸上空に飛ばされたり、お寺の行事の最中に墜落したりと、何かと話題のドローン。使用マナーや購入権限について取り沙汰されていますが、ドローンが「空の産業革命」と呼ばれるほど新たなビジネスチャンスを秘めている考える人々もいます。果たして、ドローンがビジネスをどう変えているのでしょうか。
そもそもドローンとは?
ドローンとは、英語の「drone=蜂」から取られています。一般的には、操縦士が乗らない無人飛行機のことを指します。従来のラジコン飛行機との違いは、「空を飛ぶことに何らかの目的があること」が挙げられます。
現在、大空を飛んでいるかのような自由なフライト撮影ができる空撮用ドローンや、遠隔地に商品を届ける物流用ドローン、空爆などを行う軍事用ドローンなどが登場しています。安価なものだとデパートのおもちゃ売り場でも購入できますし、スマートフォンなどで簡単にコントロールできるタイプもあり、身近な存在になりつつあります。
ドローンのビジネスへの活用例
・報道業界
空撮用のドローンを用いれば、スポーツの試合や災害の被災地の様子などを上空から撮影することが可能になるでしょう。ヘリコプターを飛ばすよりも素早くローコストなので、リアルタイムな情報発信が可能になります。また、災害地や戦地などどんな危険が待ち構えているかわからない、人が立ち入れない土地での撮影も可能です。
・警備業界
これまでは人間の目視か監視カメラの映像でしか警備映像を捉えられませんでしたが、ドローンの登場で、警備範囲を格段に拡大することができるようになりました。イベント上空からの撮影や不審者を上空から確認することができるなどのメリットが考えられます。
実際、セコム株式会社では、不審な人や車が警備対象の区域に侵入すると、ドローンが自動的に追跡し、撮影するシステムを導入予定。従来の固定カメラに比べて、警備の精度が大幅に高まることが期待されています。
・物流業界
比較的軽量なものであれば、ドローンによる運搬が可能です。目的地まで一直線に空を飛ぶドローンであれば、輸送時の時間的コストは大幅に軽減されるでしょう。実際、米Amazon社ではドローンを使った即日配達サービスを実験中で、物流のあり方を一新しようとしています。
・クリエイティブ業界
さまざまなエンターテインメントや広告などでもドローンが活躍でするでしょう。ヘリコプターからの撮影よりもダイナミックな映像がつくれますから、映画やテレビ番組、テレビCMの制作などで活用が期待されます。ライトを搭載すれば、空中に浮く照明としても使用できるでしょう。また、きびきびと空中を飛び回れることから、世界的なサーカス集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」では人間と一緒にダンスをするドローンを舞台芸術と使用し話題になっています。
その他、複雑な地形の測量、農薬の空中散布、遠隔地への医薬品の輸送など、幅広い使用例が考えられます。まさに「空の産業革命」と呼ぶにふさわしいでしょう。
ドローン活用に残された課題
上記の通り、ドローンがビジネスに活用できることは疑いようもありませんが、墜落事故や悪用の懸念は残されています。人がたくさん集まる場所などで墜落した場合、最悪の場合、死亡事故につながる危険性があるでしょう。また、カメラ搭載のドローンが他人の敷地に侵入すれば、プライバシーの侵害にもつながります。
さらに、テロ組織や犯罪組織がドローンを使用する懸念も高まっています。武器を搭載して遠隔地から空爆を行ったり、違法ドラッグを密輸したりといったこともすでに現実のものとなっています。日本においてもこうしたテロの脅威は、他人事とはいえないでしょう。
今後ドローンをどう規制して、有効に活用していくか。あまりに規制するとドローンの可能性を狭めてしまうことにつながりかねません。リスク管理を含めた上手な運用の検討が残された最大の課題だといえそうです。(ライター:香山とも)