社内転職のメリット&デメリット
新しい仕事にチャレンジしたい、やりたい仕事に就きたい、職場の人間関係の悪化など、転職の理由はさまざまです。そんな中で、最近注目されているのが社内転職です。勤務先をガラリと変えるには勇気がいりますが、社内での異動・仕事の変更であれば比較的気軽にチャレンジできそうです。社内転職のメリット・デメリットを考えてみましょう。
社内転職とはなにか
社内転職とは、同じ企業内でまったく違うポジションへ異動することをさします。人事異動のひとつではありますが、自ら進んで違う分野や職種に就くという意味では新しいかたちといえます。大企業を中心にこうした制度を取り入れる企業が増えており、例えば国内営業から海外営業へ異動したり、システムエンジニアが社内SEに異動したりといった事例があります。社内公募制度、ジョブチャレンジなどと呼ばれていることも多いです。
社内転職までの一般的なフローは下記の通りです。
1. 希望する部署の募集・求人を確認
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2. 必要に応じて応募書類を作成・提出
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3. 書類選考通過後、所属長などから面接を受ける
他にも、現在の所属長面談で「近々○○部で働いてみたい」とそれとなく意向を伝える努力や、狙っている部署のメンバーとコネクションをつくるなどの地道な活動も有効です。企業にとっては、社員の適正配置をするという狙いやモチベーションの向上、優秀な社員の退職を防ぐなどの目的があります。
社内転職のメリット
・勤務先を変える必要がない
転職をすると勤務場所や給料などの条件面が変更になります。もちろんプラスの変更であれば大歓迎でしょうが、中には家から遠い勤務地になる、若干給料が下がるといったこともあるでしょう。しかし、社内転職であればそのようなリスクは概ね回避することができます。部門によっては支社にしか置かれていないものもあるでしょうが、最初からそうした条件を織り込み済みで異動ができるといえます。
・高いモチベーションで仕事に挑める
社内転職は、したい仕事に挑戦できる機会です。やりたくない仕事を続けているよりも、高いモチベーションを維持できるでしょう。同じ会社であってもまったく違う気持ちで出勤できるようになるかもしれません。
・経験ゼロでもチャレンジしやすい
未知の環境にチャレンジするのには勇気がいるものです。しかし社内転職であれば、社風や社内のルール、ビジネスモデルなどはすでに知ったうえで転職できますから、ある程度の心の余裕があります。そうした意味で、社内転職は挑戦のハードルが低いといえるでしょう。
社内転職のデメリット
・環境や待遇をガラリと変えることは難しい
会社の人間関係をリセットしたい、勤務場所も変えてしまいたいなど、環境をまったく変える転職を希望している場合には、社内転職は不向きかもしれません。前の部署からのうわさが異動先の部署のメンバーの耳に入る可能性もあります。そうした意味で、人間関係を断ち切ることも難しそうです。また、福利厚生や給与制度などに不満があっても、これらは会社全体で共通していることが多いので、社内転職では解消されない可能性が高いでしょう。
・部署メンバーとの人間関係が悪化する可能性がある
あなたが異動することで、もといた部署の各メンバーの仕事が増えたり、新人が入ってきたりと、周囲が苦労をしたりすることは往々にしてあります。部署の中にはあなたの挑戦を応援する人もいれば、中にはうとましく思う人もいるものです。社内での転職なので、いつかはまた社内で現在の部署メンバーと遭遇することがあります。当然のことながら、最後まできちんと現在の部署の業務をやり遂げてから、新しいポジションへ異動する必要があるでしょう。
なかには、社内転職では解決できない問題もあるかもしれません。例えば、本当にしたい仕事は社内にはない、人間関係をゼロにしたいなど。その場合には、転職をすることももちろん有効です。自分の気持ちやキャリア像と向き合って、メリット・デメリットを考慮したジョブチェンジを検討してみてはいかがでしょうか。(ライター:香山とも)