子連れ出勤の実態と課題
少子化と労働力不足が進む中、「子連れ出勤」が注目され始めています。待機児童問題や親の気持ち、労働力不足に悩む企業にもコミットするこの制度に関し、制度概要と賛成派・反対派の意見を紹介していきます。
子連れ出勤とは?
子連れ出勤とは、その名の通り、おもに未就学の子どもを会社に連れて出勤することです。企業によっては、子ども専用スペースを設けているなどのところもありますが、オフィスや空いた会議室の一角などで子どもが遊んでいるケースがほとんどのようです。お母さんとなった社員だけでなく、じわじわとお父さんになった男性社員にも広がっているようです。
海外でも多くの国が子連れ出勤をOKとしているという報道もなされています。出産後の職場復帰への不安を解消するものとして注目される一方で、「仕事をする場」としての会社に子どもを連れて行くことへの異論もあるというのが実態のようです。
子連れ出勤制度のメリット
子連れ出勤賛成派はどんなメリットを掲げているのでしょうか。
- 子どもと離れて仕事をしなくてよい
- 待機児童問題などに悩まなくてよい
- 子どもを預ける費用の削減になる
- 出産後の復帰がしやすい(出産を機に退職しなくてよい)
子連れ出勤の最大のメリットは、子どもと一緒に過ごす時間が増えるということでしょう。子どもの体調面や精神面などで心配があるときなども、社内にいるので自分で子どもの様子を確認することができます。また、現在は保育園に預けるのも大変な時代。都心部では、入園する保育園が確保できなかったり、高額な費用を払って預けたりしなければいけません。こうした問題がクリアになるのであれば、子どもを抱える社員としては心理的・経済的に楽になるでしょう。
さらに子連れ出勤制度が充実していれば、労働力低下も軽減されるでしょう。社員側から見れば、出産を機に退職しなくてよくなりますし、会社側から見ても貴重な労働力の流出を防ぐ助けとなります。
子連れ出勤制度のデメリット・懸念点
一方、子連れ出勤にともなうデメリットや懸念点も指摘されています。
- 子どもが社内にいることで仕事のパフォーマンスが低下する
- 子どもが原因で、社内トラブルが起きる可能性がある
託児室などの隔離されたスペースは別として、オフィスの一角に子どもがいると、どうしても気が散ってしまうという人はいるでしょう。親としても、危ないことはしていないか、周りの迷惑になっていないかなど、子どもの行動を気にしてしまうかもしれません。直接的・間接的に仕事のパフォーマンスが低下する可能性は、低くないでしょう。また、子ども嫌いの社員などがいた場合などは、オフィス全体がギスギスした雰囲気になりかねません。
現在は子育て中の社員が多い会社や大企業などが中心となって、この制度の導入を進めていますが、普及・理解が進んでいるとは言えない状況です。社内託児所を設置する企業に補助金を支給したり、子どもが苦手な社員には社外勤務を許可したりと、柔軟な対応を進めていくことが、子連れ出勤の普及のカギと言えそうです。(ライター:香山とも)