「週休3日制」のメリットと懸念点
多様な働き方を後押ししながら、ワークライフバランスを実現する動きとして、「週休3日制」を取り入れる企業が登場しています。プライベート重視の働き方を実現できてよいという反応がある一方で、懸念点出てきています。週休3日制が広がった背景と、週休3日制のメリット等を考えてみましょう。
週休3日制が広がった背景
女性の社会進出が進むなかで、仕事と育児や介護を両立できるように整備する必要が出てきました。休みが増えれば、それらの家庭の事情と両立しながら働き続けられる可能性が増えていくでしょう。若年労働人口の減少という視点で考えると、今後はさらに多様なニーズを持った人々が働きやすくなるよう環境を整えることが重要になってきます。例えば、ボランティア活動と両立させながら働きたい人や、病気の治療や家族の介護を続けながら働きたい人もいるでしょう。また「定年後も働きたいが体力的な不安もある」という高齢層も増えていくことが予想されます。こうしたニーズもあって、現在はファーストリテイリングやスポーツ用品のアルペンなどが週休3日制を導入しています。
週3日制のメリット
週3日制のメリットには、どんなことがあるのでしょうか。
- 家庭の事情(育児や介護)と仕事の両立がしやすくなる
- 休みで十分にリフレッシュでき、仕事に集中しやすくなる
- 趣味やボランティアなど、仕事以外で活躍する時間が増える
- 社外の人脈を増やしたり、社外で学んだりする機会が増える
- 休息や体を動かす機会が増えることにより、健康増進が見込める
- 多様な働き方ができる会社としての魅力が増す
休みが増えることで、家庭の仕事と両立しやすくします。これまで育児や介護で会社を辞めざるを終えなかった人も、仕事を続けやすくなるでしょう。また休みを十分に取れることにより多くの時間を要する趣味に没頭できるようになります。人によってはボランティア活動など会社以外の場所に自分の生きがいを見出す人もいるでしょう。
さらに、ビジネス講座に通ったり人脈を増やしたりできれば、会社にとっても大きなメリットとなるでしょう。こうした週休3日制で得られるメリットを会社の魅力にすることで、会社の魅力が増し、人材確保につながることも見込めるでしょう。
週休3日制の懸念点
一方で、週休3日制に対する懸念点も指摘されています。
- 1日の労働時間が増える
- ビジネスの都合などで週休3日制が取れない
- 人件費削減の手立てとして週休3日制が導入される可能性がある
会社全体の業務量が減っているわけではないですから、週休3日制にすると必然的に1日にこなすべき仕事が増えます。効率的に仕事を片付けなければ、出勤日の残業時間が増え、かえって辛い思いをする社員もいるでしょう。またビジネスの都合上、週休3日が実質的に取れなくなってしまうことも少なくありません。制度としてはあるが、実現できていないとなると、社員の不満は一層募ることになるかもしれません。
また、安易な人件費削減策として週休3日制を導入する企業もいるかもしれません。仕事が休めればいいのではと考える人もいるかもしれませんが、そうした企業に限って休日出勤を強要したり、「3日も休めるんだから」とサービス残業を強要したりするものです。会社側の都合のいいように、休日をコントロールされてしまう可能性も捨てきれないでしょう。
今後、企業にはワークライフバランスをどう実現していくかが問われることになります。そのひとつの手段として週休3日制がありますが、労働者にとっても会社にとってもプラスとなるような運用のしかたが求められるでしょう。(ライター:香山とも)