増えるリベンジ転職、その背景と注意点
いま「リベンジ転職」を志す会社員が増えつつあると言われています。リベンジ転職とは、就職氷河期に不利な新卒入社を強いられた人が、改めて自分の働きたい会社へ転職を狙うこと。2016年には、さらにそうした転職が増えるのではないかと考えられます。そもそもリベンジ転職とはなにか? そして、リベンジ転職の注意点とはどんなことか? ご紹介します。
そもそもリベンジ転職って?
就職氷河期に新卒入社した会社員を中心に、「自分が本当にしたい仕事をする」「本心から働きたいと思える会社に入る」ために転職をねらうという人が増えています。これがリベンジ転職です。「同じ大学のあいつは自分が入りたかったあの会社に入れた。今度こそ自分も入社できるはずだ」「社会人として実績を積んだいまならば入れるはず」という再起の思いから、転職しているのが特徴です。
リベンジ転職が活発化している背景
2016年は特にリベンジ転職が活発化するのではないかと言われています。その背景にあるものは、2016年春卒業の学生に関して、面接など採用選考の解禁を4月から8月へと遅らせたことがあります。この「就活の後ろ倒し」によって内定が出される期間が8月~10月の2か月に集中してしまい、学生たちはしっかり企業を検討するひまもなく、内定受諾・辞退を迫られることになってしまいました。
一方、現在多くの業界・企業で人手不足が慢性化しており、人材の争奪戦が広がりつつあります。転職者に有利な追い風が吹いていることから、「今なら希望していた会社に入れるかも」「第二新卒として、あこがれの業界で働きたい」と考える若手が増えているのです。こうした背景から、リベンジ転職が活発化していると見られています。
リベンジ転職の注意点
リベンジ転職により、希望の会社や職種に就くことができ、充実して働くことができる人ももちろんたくさんいます。しかし、なかには「本当にこれでうまくいくのだろうか?」と感じるようなリベンジ転職希望の方もいるようです。リベンジ転職における注意点を考えてみましょう。
・いまの職場がイヤで転職を考えていないか
転職したいと考えたとき、それは自分のしたい仕事をするための転職なのか、それとも目の前の仕事がイヤで転職を考えているのかを見極めてみる必要があります。目の前の業務がイヤで職場を変えたいと思うとき、転職した職場でも同じ問題を繰り返す可能性があります。
・企業にとって意味のある人材になっているか
リベンジ転職を目指す人の中には、入社数か月で現職を辞めようと考える人もいます。一方、中途者を採用したいという企業は実務経験者を生かすことを期待しています。そのため、転職する際には自分のモチベーションとともに、企業にいかに必要とされている人材になっているかという視点も重要です。
・辞めるべき仕事なのか、自分のキャリアにつながる経験なのか
「やりたくない仕事をする」ときに、それが長い目でみたら自分のキャリアにつながることなのか。それとも、辞めるべき仕事なのかを見極める必要があります。なかには、目の前の仕事を続けていくことが自分のキャリアをひらいていくこともあるでしょう。
・本当にやりたい仕事とはなにか
転職理由を改めて見返す機会を設けることも大切です。「有名な会社だからは入りたいと思った」「周りの友達も目指していた職業だから」などの理由で転職を志望してはいないでしょうか? なかには、「リベンジ」に固執しすぎて、本当に目指したい仕事なのかどうかを見極められていないということもあるかもしれません。「あの会社に入れなかった」という過去を引きずっていると、論理的に物事を考えられなくなってしまいます。自分の気持ちをきちんと振り返れる機会を設けてみることも大切です。
転職者個人のキャリアにとって、リベンジ転職は大きなインパクトがあることです。また、リベンジ転職が増加すれば、転職市場全体にとっても小さくないインパクトがあるでしょう。リベンジ転職がどのような影響をおよぼすのか、見極めていく必要がありそうです。(ライター:香山とも)