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    奨学金返済に苦しむ人へ! 知って助かる3つの救済制度 放置するリスクも

    2024年10月23日 転職の基本  -  転職ニュース

    学生時代に利用した奨学金の返済に苦しんでいる方は少なくありません。経済状況の変化や予期せぬ出来事により、当初の計画通りに返済を続けることが困難になることがあります。

     

    しかし、返済に行き詰まったからといって諦める必要はありません。本コラムでは、奨学金の返済が苦しくなった際の対処法や利用可能な救済制度について詳しく解説します。

    奨学金の受給状況

    日本学生支援機構(JASSO)の「令和4年度 学生生活調査」(2022(令和4)年)によると、大学(昼間部)で55.0%、短期大学(昼間部)で61.5%、大学院修士課程で51.0%、大学院博士課程で58.9%の割合で、約119万人がJASSOの奨学金を利用しています。

    何らかの奨学金を受給している者の割合は、大学学部(昼間部)、短期大学(昼間部)、修士課程では増加が続いている。また、博士課程、専門職学位課程においては、前回調査では減少したが今回調査では増加に転じている。

    引用:日本学生支援機構|「令和4年度 学生生活調査

    そのなかで、返済を3カ月以上延滞している人は18万3千人にのぼるといいます。

    返済ができないまま放置するリスク

    奨学金の返済が困難になる理由は、「収入の減少」や「予期せぬ支出の増加」「他の債務との重複」「ライフスタイルの変化」などさまざまです。将来の収入を過大に見積もっていたり、収入変動を適切に予測できていなかったり、といったケースもあるかもしれません。

     

    しかし、奨学金の返済が困難になったとしても、そのまま放置することは決して賢明な選択ではありません。返済を怠ると、以下のようなリスクが発生します:

    1.延滞金の発生

    返済期日を過ぎると、元の返済額に加えて延滞金が課されます。これにより、返済すべき総額が増加してしまいます。

    2.信用情報への悪影響

    返済の遅延や延滞は個人の信用情報に記録される可能性があります。これにより、将来的に住宅ローンやクレジットカードの審査に悪影響を及ぼす可能性があります。

    3.法的措置の可能性

    長期間にわたって返済が滞ると、最終的には法的措置が取られる可能性があります。通常はさまざまな救済措置や交渉の機会が設けられますが、最終的には給与の差し押さえなどの強制執行に至る可能性もあります。

    4.保証人への請求

    多くの奨学金では保証人を立てる必要がありますが、返済が滞ると保証人に対して支払いの請求が行く可能性があります。これにより、家族や知人との関係に深刻な影響を与える可能性があります。

     

    なお、奨学金も借金の一種であり、自己破産の手続きを経て裁判所から免責が認められれば、奨学金の返済義務も免除されます。しかしその場合も、保証人に返済義務が移りますので、次項の救済制度の利用を検討することが先決です。

    返済が難しくなったときの救済制度

    返済が苦しくなりそうと感じたら、返済計画を見直すことから始めましょう。まずは「現在の収支状況」を把握したうえで、「支出の見直し」や「収入増加の可能性の検討」を行い、「返済期間の再計算」をします。

     

    どうしても目の前の返済が難しい場合、日本学生支援機構(JASSO)に相談をしてみましょう。返済が困難になった借受者のために、3つの救済制度を用意しています。

    1.減額返還制度

    経済的理由により返還が困難な場合、一定期間返還月額を減額することができます。対象は、年間収入が300万円以下の方、または年間収入が300万円を超えても返還困難な特別な事情がある方。減額率は2分の1(元の返済額の50%に減額)または3分の1(元の返済額の約66.7%に減額)。適用期間は1年で、最長15年まで延長可能です。

    2.返還期限猶予制度

    災害や経済困難、学校への進学などの理由で、返還を先送りにできる制度です。対象は、年間収入が300万円以下の方、失業中の方など。猶予期間は原則1年で、返還期間全体を通じて通算10年まで延長可能です。

    3.返還免除制度

    死亡または障害により返還が困難となった場合に、返還を免除する制度です。対象となるケースは、借受者が死亡した場合、または精神・身体の障害により返還が困難となった場合で、障害の程度に関する条件があります。

     

    このほか、民間ローンへの借り換えも考えられますが、前述した奨学金特有の救済制度が使えなくなる可能性がありますので、慎重に検討する必要があります。

     

    外部サイト:日本学生支援機構|返還が難しくなった場合の対処法

     

    「所得連動返還方式」について

    これは現在返済に困っている社会人ではなく、今後の奨学金利用者へのアドバイスとなりますが、将来の収入に不安がある人には、2017年度から導入されている「所得連動返還方式」を利用することが考えられます。

     

    この制度は「借り手の所得に応じて毎月の返還額が変動する方式」です。第一種奨学金(無利子)のみで選択可能で、奨学金を申し込む際や貸与終了時に選択する必要があります。一度選択すると後から変更することはできません。

     

    利用のメリットは、経済状況の変化に柔軟に対応できる点です。「所得に応じて返還額が調整されるため、低収入時の返済負担が軽減される」「失業や収入が著しく低下した場合、返還額がゼロになる可能性がある」ことがあげられます。

     

    一方で、利用上の留意点もあります。まず、所得が低い期間が続くと「返還期間が定額返還方式よりも長くなる可能性」があり、最長で返還期間が25年に及ぶこともあります(ただし、それ以降の残額は免除)。

     

    また、所得が大幅に増加した場合「返還額も大きく増加する」可能性があります。また、返還期間が長期化すると、利子の総額が増加し、結果的に「総返還額が定額返還方式より多くなる」可能性がある点に注意が必要です。

    奨学金の返済問題は恥ずかしいことではない

    奨学金の返済に困難を感じたとしても、決して一人で抱え込まないでください。早めに相談し、適切な対応を取ることで、多くの場合、問題を解決または軽減することができます。自身の状況をよく把握し、利用可能な制度や選択肢を十分に検討した上で、最適な方法を選択することが大切です。

     

    返済の問題は決して恥ずかしいことではありません。むしろ、積極的に解決策を探ることこそが、責任ある行動といえるでしょう。困ったときはためらわずにJASSOや専門家に相談し、自身の状況に最適な対応策を見つけてください。個々の状況によって最適な対応は異なるため、具体的な行動を起こす前に必ず専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

     

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