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    「求人詐欺」に厳罰化の動き!法改正と企業が守るべきルール

    2025年1月6日 転職の基本  -  転職ニュース

    詐欺求人求職活動の第一歩となる求人情報。その正確性や信頼性は、労働市場の健全性を支える重要な要素です。しかし、虚偽の労働条件を記載した求人や誇大広告が原因で、求職者が不利益を被る「求人詐欺」の事例が後を絶ちません。

    このような課題を受け、政府は職業安定法の改正を通じて規制を強化し、企業に対して求人情報の正確性と透明性を求めています。一方、民間団体や業界も、求職者保護を目的とした自主規制やガイドラインの策定を進めており、求人情報の質向上に向けた取り組みが加速しています。

    職業安定法の改正(2018年改正)

    2018年1月1日に施行された職業安定法の改正は、求人詐欺や虚偽記載に対する具体的な罰則を導入し、求職者保護を強化する画期的な内容でした。この背景には、ブラック企業問題や、労働条件を偽った求人による求職者のトラブルが増加していたことがあります。

    1.虚偽求人への罰則導入

    虚偽記載が確認された場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。この規定により、企業が提供する求人情報の正確性が法的に義務付けられました。

    2.是正勧告の強化

    労働基準監督署やハローワークが虚偽情報を確認した場合に是正勧告を実施し、従わない場合は企業名の公表が可能となりました。

    民間の取り組み

    求職者が安心して選べる求人情報の質を向上させることを目的に設立された求人情報適正化推進協議会は「求人情報提供ガイドライン」を2017年に改訂し、求人情報の信頼性を高めるための基準を策定しました。

    1.必須記載事項の明確化

    賃金、勤務時間、勤務地など、求人情報に記載すべき項目を詳細に規定しました。

    2.倫理的表現ルールの導入

    誤解を招く表現(例:高収入保証、未経験歓迎)の排除を求め、求人情報の質を向上させました。

    3.苦情処理システムの構築

    求人情報に関する苦情受付窓口を設置し、不適切な求人への対応を迅速化しました。

    このほか、主要な求人広告会社などで構成される全国求人情報協会は、2018年6月から「求人情報提供ガイドライン適合メディア宣言制度」を運用し、ガイドラインに準拠する求人メディアを認定する取り組みを進めています。

    職業安定法の改正(2022年改正)

    2022年10月1日に施行された改正では、デジタル化が進む求人メディアに対応した規制が導入され、求人情報の透明性や個人情報の保護が一段と強化されました。

    1.求人情報の的確表示義務

    求人広告に記載する情報が具体的かつ正確であることを義務付け、不明瞭な表現や誤解を招く内容の掲載を禁止しました。

    2.個人情報の保護

    求人サイトや企業が収集した応募者の個人情報を適切に管理する義務が明確化され、情報漏洩リスクの低減が図られました。

    3.求人メディアへの届出制導入

    求人情報を掲載するプラットフォーム事業者は、厚生労働省への届出が義務付けられ、行政による監視体制が強化されました。

    2024年改正予定(労働契約法との連携)

    2024年4月1日からは、職業安定法および労働契約法の改正により、求人時に明示すべき労働条件がさらに厳密化されます。この改正は、契約内容の不透明さによるトラブルを防ぐために導入されるものです。

    1.異動や配置転換の範囲の明示

    将来の異動や配置転換の可能性とその範囲について、求人時に明確に記載する必要があります。例えば、全国転勤の有無、特定地域内での異動の可能性など。

    2.契約更新基準や上限の明示

    有期労働契約の場合、契約更新の基準や通算契約期間の上限を具体的に提示する義務が課されます。

    3.就業場所や業務内容の変更可能性の明示

    就業場所や業務内容が変更される可能性がある場合、その条件を事前に説明する必要があります。

    厚生労働省の取り組み

    積み残された課題について、厚生労働省ではさらなる取り組みを進めています。

    1.罰則強化の検討

    求人詐欺防止に向けて、現行の懲役刑や罰金額の引き上げを含む罰則強化が議論されています。特に、企業幹部への個別責任追及が新たな課題として浮上しています。

    2.デジタル監督体制の強化

    求人情報をAIでスキャンし、虚偽や誤解を招く記載を検出するシステムの開発が進められています。

    3.透明性向上のための補助金導入

    公正な求人情報を提供する企業に対して、インセンティブとして補助金を支給する仕組みが検討されています。

    求職者のリテラシー向上も必要

    求人詐欺や虚偽情報の問題に対して、法律の整備や罰則強化が進む中、企業と求職者の信頼関係を築くためには、法規制だけでなく、民間の自主的な取り組みも欠かせません。

    これからの求人市場では、企業が法令を遵守するだけでなく、透明性の高い情報提供を心掛ける姿勢が求められます。一方で、求職者自身も求人情報を慎重に精査し、必要に応じて専門家に相談するなどのリテラシー向上が重要です。

    求人市場の健全化には、法律、民間の努力、そして求職者の意識が相互に支え合うことが不可欠です。2024年の改正は新たな一歩ですが、これを契機に、より良い労働環境と信頼のある市場の実現に向けた取り組みがさらに進展することが期待されます。

     

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