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    「働き方改革」を振り返る 私たちの働き方はどう変わったのか?

    2025年1月6日 転職の基本  -  転職ニュース

    働き方改革近年、日本では少子高齢化による労働力人口の減少、長時間労働がもたらす健康問題、そして多様な働き方への需要の高まりを背景に「働き方改革」が進められてきました。その中で、法改正を通じた具体的な施策が数多く導入され、労働環境の改善が図られています。

    今回は、働き方改革に関連する主要な法改正を振り返り、それらがもたらした影響や現場で直面する課題について詳しく解説します。これにより、現在の状況を再確認するとともに、残された課題を見つめ直し、今後の働き方の在り方を考える一助とします。

    1.時間外労働の上限規制

    2019年4月施行(中小企業は2020年4月から)。時間外労働の上限を法的に規制しました(月45時間・年360時間)。特例を設けても、月100時間未満(休日労働を含む)、年720時間以内を遵守する必要があります。違反した場合、罰金や改善命令が科されます。

    これにより、長時間労働が減少し、従業員の健康維持や過労死防止に効果を発揮しました。また、生産性を向上させるための業務効率化やテクノロジー導入が進展しています。

    一方で、業務量が減らない中、特に中小企業では人手不足が深刻化しています。規制を守るための「サービス残業」や非正規労働者への業務負担転嫁といった新たな問題も発生しています。

    2.年次有給休暇の取得義務化

    2019年4月施行。年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、最低5日を取得させることを企業に義務付けました。これにより、有給取得率が向上し、従業員のワークライフバランスが改善されました。

    一方で、管理職の負担増加や取得管理の煩雑さが中小企業を中心に課題となっています。取得を促す際に従業員の希望との調整が難航し、「形式的取得」にとどまるケースも見られます。

    3.同一労働同一賃金

    大企業は2020年4月施行(中小企業は2021年4月施行)。正社員と非正規労働者間の待遇差を不合理とみなす場合を禁止し、賃金・福利厚生・教育機会などでの公平性を確保しました。

    これにより、非正規社員の賃金や待遇が改善し、労働市場での格差是正が進行しています。また、企業の説明責任が強化され、待遇差の合理性を明確にする動きが拡大しています。

    一方、中小企業ではコスト増加に伴う採用戦略の見直しが必須となっています。均等や均衡の定義が曖昧で、企業間で解釈のばらつきが発生しているとの指摘もあります。

    4.高度プロフェッショナル制度の創設

    2019年4月施行。特定の高度専門職(年収1075万円以上)を労働時間規制の対象から除外しました。これにより、成果を重視する新たな働き方が広がり、柔軟な労働環境の実現に寄与しています。また、高収入層のキャリア選択肢が増加しています。

    一方で、制度利用者の少なさから、運用が限定的です。また、過重労働や健康問題への懸念が未解決のままとなっているという指摘もあります。

    5.産業医・健康管理体制の強化

    2019年4月施行。産業医の役割を明確化し、健康リスクへの早期介入を促進しました。これにより、健康経営に取り組む企業が増加しており、メンタルヘルスや過労死リスクへの対応が強化されたともいえます。

    一方で、産業医不足および専門家の活用にかかるコスト負担増もあり、中小企業での導入が難しい状況が続いています。

    6.フレックスタイム制の拡充

    2019年4月施行。清算期間が1カ月から3カ月に延長されました。これにより、労働時間の調整が柔軟化し、育児や介護との両立など若い世代の働きやすさが向上している可能性があります。

    一方、労働時間管理が複雑化し、監督が不十分な場合もあるという指摘もあります。制度の運用が難しく、導入企業が限定的ともいえます。

    7.テレワーク推進

    2020年以降に強化。特に新型コロナウイルス感染拡大後。厚生労働省が2021年3月に「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を改定、総務省も同年5月に「テレワークセキュリティ ガイドライン」を改定しています。また、助成金制度も創設し柔軟な働き方を促進しました。

    これにより、テレワークが普及し、業務効率や移動時間の削減が実現しています。リモートワークを希望する従業員が増加し、雇用の多様性が広がっています。

    一方で、労働時間の境界が曖昧になり、過重労働のリスクが浮上しているという指摘もあります。管理職のテレワーク対応能力や情報セキュリティ対策が十分でない場合が残されているといえるでしょう。

    積み残しの検討課題も

    働き方改革は、日本の労働環境を改善するための重要な一歩を踏み出しましたが、解決すべき課題も多く残されています。

    例えば、金銭解雇の合法化や雇用流動性の向上に関する議論は進展しておらず、労使間の利害調整が引き続き求められています。また、中小企業の対応能力やテクノロジー活用の遅れも、働き方改革を浸透させる上での大きな障壁となっています。

    今後は、個別の施策が連携し、全体として日本社会に根付く形を目指す必要があります。さらに、従業員満足度を高めると同時に企業の競争力を向上させることが、持続的な成長の鍵となるでしょう。

     

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