フリーランス・自営業の働き方改革
ワークシェアリングやパラレルキャリアが広まるにつれて、フリーランスや自営業という働き方に注目が集まるようになりました。フリーランスでは会社に依存せず、自分なりの働き方・生き方を実現できるというメリットがある一方、収入が不安定でローンが組めない、病気・妊娠・子育てなどの際に大きく収入減となるといったマイナスポイントも指摘されています。
フリーランスで働くことにはどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。そして、その課題解決に向けてどのような動きがあるのかご紹介します。
フリーランスのメリット
1. 時間に縛られずに働くことができる
フリーランスは、会社員のように定時に働かなければいけないということはありません。「この会議には意味があるのだろうか?」といった会社の中で不要な時間を過ごすこともありません。自分の生活リズムに合わせて仕事ができることは、大きなメリットといえるでしょう。
2. 場所に縛られずに働くことができる
フリーランスはオフィスに出社する必要はないので、自分の好きなところで働くことができます。育児や介護などの理由で、在宅で働きたい方にとって好条件の働き方だといえるでしょう。また、業種にもよりますが、地方部でも海外にいても働くことができるのがフリーランスといえるでしょう。インターネットがごく当たり前のものになった現代、このメリットがもたらす恩恵はさらに大きくなっています。
3. 自分の仕事を選び取ることができる
会社員であれば、嫌な仕事・苦手な仕事でもアサインされれば引き受けざるを得ません。しかし、フリーランスであれば、自分のしたい仕事を選び取っていくことができます。仕事選びの自由度が高く、結果的に仕事の満足度・やりがいも大きくなります。
フリーランスのデメリット
1. 収入が安定しづらい、薄給になりがち
フリーランスの場合、適正な価格を払えてもらえてないというケースが少なくありません。これには、フリーランスを対等な取引先と見ていないというような発注側の問題と、働きに正当な価値をつけたり交渉できなかったりするフリーランス側の問題があるでしょう。また、フリーランスは仕事を獲得することができなければ収入がなくなるので、安定しづらいといえます。
2. 社会保障が整っていない
日本の税制度や社会保障については、会社員とその扶養に入っている妻にメリットが大きい構造となっています。例えば、健康保険は何人扶養に入っていても保険料は一定なのに対し、国民健康保険は人数に応じて保険料が大きくなります。傷病などで働けなくなっても傷病休暇などは保障されませんし、保育園に入れたいと考えても会社員などよりも預けにくいなどのデメリットがあります。
3. 社会的信用が得られにくい
フリーランスは、「安定収入がない」と見なされて、ローンが組めない、クレジットカードを作りにくいなどのデメリットがあります。また、「会社員でいることが当たり前」という古い考え方の人には、「組織で働けないのは、なにか問題あるのではないか」などと見られる可能性があります。
4. 目の前の業務が多忙なため、キャリアアップを図りづらい
フリーランスはすべての業務を自分一人で担います。経理、税務処理、契約書の作成など事務的な手続きも自分でこなすことにより、自身のメインサービスに時間とパワーを避けず、成長・発展させることができないといった問題に陥りがちです。
フリーランスが抱える課題解決のための動き
こうした課題解決のためには、フリーランス個人でできることと、社会制度として整えていかなければならないことがあるでしょう。例えば、個人でできることは、「この仕事にはこのくらいの対価を支払う」という規定を自分なりに持つことで収入の安定を図ることができるということがあります。このような規定を公開することで、「買い叩かれる」ことを防ぎやすくなるでしょう。
また、1社に依存しすぎず、複数社との取引を心がけることで、安定した収入を実現できるようになったり、新たな仕事にチャレンジする機会を得やすくなったりします。さらには、フリーランス同士のネットワークをつくり、学びの充実やワークシェアを進める動きなども推進されています。
一方で、社会的な動きとしては、フリーランスの支援・政策提言などをおこなうフリーランス協会が発足しました。政府も会社に依存しない働き方として、フリーランスが活躍できる社会にしようと試みています。具体的には、中小企業庁の「小規模事業者」向けの共済をさらに整備・拡充し、フリーランスの人々に認知を図るということ。加えて、失業や出産、傷病の際に補償を受けられるような仕組みづくりが進められているという報道もなされています。
今後、柔軟な働き方が増えるにしたがって、フリーランスで働く人、副業としてフリーランスを選ぶ人も増えてくることが予想されます。個人・社会の両面から、フリーランスが働きやすい土壌を耕していくことが求められるでしょう。(ライター:香山とも)