「Oターン」とは何か?Uターンに失敗して都会に戻るリスク
地方へのUターンやIターンが注目される中、一度は地方に移住したものの、再び都会に戻る「Oターン」(オーターン)という現象が増えています。
リモートワークの普及や地方移住支援策の拡充により、地方生活への期待が高まりましたが、再び都会に戻る選択をする人も少なくありません。今回は、Oターンの発生理由や回避策、Oターンがもたらすリスクについて解説します。
Oターンとは
Oターンとは、一度地方へUターンやIターンした人が、再び都会に戻って就職・生活する現象です。この移動パターンは「地元→都会→地元→都会」と回っていき、その軌跡がアルファベットの「O」に似ていることからOターンと呼ばれます。
地方出身者が都市部でのキャリアを経て地元にUターンする、あるいは都市部出身者が地方にIターンした後、地方での生活に不満を感じて都会に戻ることが典型的なケースです。
Oターンが起こる理由
UターンやIターンした人が、Oターンを考えるようになる背景には、以下のような要因が考えられます。
1.地方での就職で収入が減る
一度上げてしまった生活水準は、なかなか下げることができません。地方の給与水準が都市部よりも低く、生活の維持が困難になることがあります。収入減少による経済的不安は、都会への回帰を促す要因の一つです。
2.地方ではキャリアが活かせない
都市部からUターンやIターンしたものの、地方では専門的な職種が少なく、都市部で培ったスキルやキャリアを活かせない場合も少なくありません。「キャリア停滞感」が自己成長への意欲を失わせ、Oターンを引き起こす要因となりえます。
3.地方での生活に不便を感じる
地方は人口が集積する都市部に比べて、交通インフラや医療施設、娯楽施設が不足するのは自然なことですが、これが生活の不便さにつながります。特に公共交通機関の限界や医療機関の不足は、日常生活に直接的な影響を与えます。
4.地方の生活は刺激が少ない
都市部のダイナミックな環境に慣れた人にとって、地方の保守的な文化や刺激の少ない生活はストレスとなります。新しいアイデアやチャレンジが受け入れられにくい環境が、Oターンの一因となることは多いです。
5.地方の生活に家族が適応できない
当人はUターンやIターンに満足していても、家族全員での移住では配偶者の職業選択や子どもの教育環境が制限されることがあります。家族の一部が地方生活に不満を感じると、都会への回帰を余儀なくされることがあります。
Oターンを避ける方法
Oターンを避けるためには、UターンやIターンを検討する時点で留意すべきことがあります。
1.Uターン/Iターン理由の明確化
地方が都会より不便で刺激が少ないのは、移住する前から分かっていたことです。地方に移住してUターンやIターンをしたいと考えた場合には、その理由や目的を明確にし、地方で何を実現したいのかを具体的に考えることが大切です。
曖昧な動機では失敗につながる可能性が高く、いまの場所で打開策を考えた方がいいかもしれません。これは、都市部に戻りたい、Oターンを検討したいと思い始めたときも同様です。
2.十分な情報収集
地方に移住する前に、現地の生活環境、雇用状況、医療や教育施設について徹底的に調査し、現実的な期待を持つことが重要です。インターネットや地元の知人を活用して最新情報を得ることが成功への鍵です。
3.段階的な移住
UターンやIターンを検討する際には、いきなり地方への完全移住を決断するのではなく、短期滞在や試験的な移住を通じて、実際の生活を体験することが有効です。これにより、理想と現実のギャップを事前に把握し、失敗リスクを軽減できます。
4.家族との十分な話し合い
家族全員の意見を尊重し、全員が納得した上での移住が大切です。配偶者や子どもが新しい環境に適応できるよう、事前に教育や職場環境についての情報を共有することが必要です。
5.転職エージェントの活用
地域の事情に詳しい転職エージェントを利用することで、具体的な転職先の選択肢や業界、給与などの相場、人間関係の作り方などのアドバイスを得ることができます。これはOターンで都会に戻る際には同じです。
Oターンのリスク
いよいよOターンの意欲が止められなくなっても、かつて過ごした都市部に戻れば簡単にうまくいくとは限りません。Oターンのリスクもあります。
1.経済的な負担
Oターンを決断する際には、再移住に伴う引っ越し費用や住居探しにかかるコスト、都市部での生活費用を十分に考慮する必要があります。特に再就職がすぐに決まらない場合、生活費が予想以上にかかることがあります。
2.精神的なストレス
都会と地方の生活を行き来することで、心理的な負担が大きくなります。地方で築いた人間関係が途絶えたり、キャリアの一貫性が途切れることも、精神的なストレスの原因になります。
3.キャリアの断絶
職務経歴に一貫性がなくなり、転職市場での評価が下がるリスクがあります。地方で得た経験がプラスに働くこともありますが、都市部では異なる価値観が求められることがあります。
それぞれの良さがあるが
都市部と地方には、それぞれの良さがある一方で、それぞれのリスクやストレスもあります。良さを活かして生活するためには、環境に関する情報をあらかじめ収集し、それに適応していくことが必要です。
この点では、UターンやIターンで地方に向かうときも、Oターンで都会に戻るときも、留意すべきことは同じです。正しい戦略を練って行わないと生活はうまくいかず、環境の変化もあって心身の健康を崩しやすくなります。
特に都市部での生活は基本コストが高いです。UターンやIターンがうまくいかなかったと感じたとき、都会に戻ればうまくいくだろうと安易に考えず、Oターンに踏み切るときには慎重にしたいものです。