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年収1000万以上はごく少数なのに? 朝日新聞「一般社員も残業代ゼロ」の煽り
朝日新聞が「『残業代ゼロ』一般社員も 産業競争力会議が提言へ」という見出しを掲げた記事が話題になっている。記事の前文(導入部)では、
と記し、労働者にとって危険な動きであると警告している。
読者は「奴隷と同じ」「働き蜂よりひどい」と怒りの声
現在の労働基準法では、株主から経営を委託された取締役や、部下をマネジメントする「管理監督者」には労働時間に関する規制が適用されず、残業代は出ない。その代わり、労働時間に関する自己裁量があるため、在宅勤務や、いわゆる「重役出勤」も可能だ。
一方、管理監督者以外の労働者には労働基準法が適用され、時間外労働や休日出勤には、その時間分の賃金と、割増賃金が支払われる必要がある。
朝日新聞の記事を読んだ人たちからは、「普通のサラリーマンも労働基準法の適用除外になる」「残業しても残業代が支払われなくなる」「経営者は労働者を働かせ放題だ」と理解したようだ。ツイッターには4000を超える怒りの声が猛然とあがっている。
また、記事には「企業には人件費を抑えたり、もっと効率的な働かせ方を取り入れたりしたいという要求がある」と、暗に安倍首相が大企業の求めに応じているかのような記述もあり、首相批判もあがっている。
年収1000万円以上は「わずか3.8%」
一方、このような報道に対し「悪質な煽り」と反論する声もある。
提言の議論において「残業代ゼロ」の対象とされたのは、「年収1000万円以上の社員」と「労働組合の合意で認められた社員」のみ。それも「社員本人の同意を前提」としている。
一方、インターネットに配信された朝日新聞の記事では、図表や最終段落に「年収が1千万円以上など高収入の社員」という記述があるが、見出しや前文の激しさに打ち消されている。
2013年の国税庁の調査によると、民間労働者の中で年収1000万円以上の人の割合は3.8%。おそらくツイッターで気炎を上げている人たちには縁のない世界だ。同じ内容を伝える毎日新聞では、提言を「新たな労働時間制度案」とし、
という提案がなされるという内容になっていて、「残業代ゼロ」の朝日新聞との記述に大きな違いがある。
個人の裁量が増えるということは、決められた成果さえあげていれば、いつ出社してもよいということになる。収入は同じでも、現状より労働時間が短くなる人もいるはずだ。同じ成果しか上げていないのに「残業する人ほど儲かる」不公平も減る。
困るのは新聞などのマスコミ業界なのでは?
そもそも年収1000万円といえば、外資系企業や大手金融会社、それにテレビや新聞などのマスコミ業界が思い浮かぶ。嘉悦大学の高橋洋一教授はツイッターで、
と疑問を呈している。
また、提言のような労働時間規制の緩和がなされることで、「残業代目当ての長時間労働がなくなる」「早く帰るために生産性を上げようとする」「残業代を支払わなくていい分、基本給が上がる」といった指摘もある。
経済学者の池田信夫氏はコラムで、こうした制度改革を「残業代ゼロ」という言葉で足を引っ張る朝日新聞を「悪質」だと言っている。ツイッターでは、ルソーの「奴隷は彼らの鎖の中ですべてを失ってしまう。そこから逃れたいという欲求まで」という言葉を引きながら、
と、痛烈に批判している。
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