「声優になるので辞めます!」 店舗配属1週間で辞めた女の子の言い訳 2014年5月8日 元社員が語る「外食産業」の舞台裏 ツイート ゴールデンウィークが終わりましたが、この春入社した新入社員は職場に来ていますか。ツイッターを見ると「連休明け、まさかの新人退職だって」という投稿も見られます。 私が4年ほど勤めた外食産業は離職率トップの業界で、入社3年以内に半数以上が退職すると言われていました。2位は教育・学習支援(私立学校、学習塾など)、3位は生活関連・娯楽(パチンコ、旅行など)だそうです。(ライター:ナイン) 「上京の口実」でしかなかった就職 私が5年前に入社した全国チェーンの居酒屋は、同期入社が300人おり、関東圏だけでも100人近く配属されていました。しかしその後2年ほど経つと、新入社員は50人ほどに減り、関東圏には10人ほどしか配属されなくなりました。 そんな新入社員たちが、1週間の入社研修を終え、私が働く都内店舗の近くに配属されてきました。いつの時代も新人は、何かと話題のネタになるもの。私の職場でも、 「今年の新人には、京大出身の才女がいるらしい」 「あの男の子は、入社すぐに同期と付き合い始めた」 といった噂が流れていました。配属されて1週間。ある日、私が出勤すると、職場は驚きのニュースで持ちきりでした。 「○○店の新卒がもうやめたらしいよ」 「えっ? もう?!」 「そうそう。まだ1週間だってのに」 「そうだよね。何でまた?」 「いや、それがさ、声優になるんだって」 私は一瞬、言葉を失いました。「何それ? どういうこと?」 話によると、辞めた彼女は地方出身者で、元々声優になりたかったのだけれど、親に上京を許されなかったのだとか。そこで「就職する」と言って、家を出てきたのだそうです。 「とりあえず就職を理由に上京して、すぐ辞める気だったらしいよ」 これを聞いたときは、呆れたというか、なんというか、よくわからない気持ちになったことを覚えています。この新卒がその後どうなったかは分かりません。 異動の店長にフリーター「私もついて行く!」 また、厳密には退職ではありませんが、長く勤めていたアルバイトが「辞める」と言い出すこともあります。私が勤めていた店でも、大学を卒業後、アルバイトをしていた店にそのままフリーターとして働いている女の子がいました。 この女の子は、この店の店長と付き合っていました。それ自体は特に珍しいことでもなかったので、私もあまり気にしていませんでした。外食チェーンでは社員同士や、社員とアルバイトの恋愛はよくあることです。 そんな中、この店長が別の店舗の店長に異動することが決まりました。すると同時に、彼と付き合っているこの女の子が「店を辞めたい」と言ってきたのです。何となく察しはつきましたが、私は一応理由を聞きました。 「店長が異動するので、辞めます」 やっぱりそうか、と私は思いましたが、次の言葉は予想していませんでした。 「私も同じ店に行きます」 これぞ公私混同というヤツです。異動先の人たちも「新しい店長が来たと思ったら、彼女までついてきた」となると、正直やりにくかったんじゃないでしょうかね。しかしそこまでした2人ですが、その後なぜかすぐに別れてしまったのだそうです。 人の数だけ退職の理由もある、ということでしょうか。本当に「人生いろいろ」とは、よく言ったものです。 あわせてよみたい:元社員が語る「外食産業」の舞台裏 バックナンバー 【プロフィール】ナイン北海道在住の20代後半の男性。大学卒業後、居酒屋チェーンWを運営する会社に正社員として入社。都内店舗のスタッフや副店長として約4年間勤務した後、「もう少し発展性のある仕事がしたい」と転職。現場を知る立場から、外食産業を頭ごなしにブラックと批判する声には「違和感がある」という。Twitter/Facebook/ブログ
「声優になるので辞めます!」 店舗配属1週間で辞めた女の子の言い訳
ゴールデンウィークが終わりましたが、この春入社した新入社員は職場に来ていますか。ツイッターを見ると「連休明け、まさかの新人退職だって」という投稿も見られます。
私が4年ほど勤めた外食産業は離職率トップの業界で、入社3年以内に半数以上が退職すると言われていました。2位は教育・学習支援(私立学校、学習塾など)、3位は生活関連・娯楽(パチンコ、旅行など)だそうです。(ライター:ナイン)
「上京の口実」でしかなかった就職
私が5年前に入社した全国チェーンの居酒屋は、同期入社が300人おり、関東圏だけでも100人近く配属されていました。しかしその後2年ほど経つと、新入社員は50人ほどに減り、関東圏には10人ほどしか配属されなくなりました。
そんな新入社員たちが、1週間の入社研修を終え、私が働く都内店舗の近くに配属されてきました。いつの時代も新人は、何かと話題のネタになるもの。私の職場でも、
といった噂が流れていました。配属されて1週間。ある日、私が出勤すると、職場は驚きのニュースで持ちきりでした。
私は一瞬、言葉を失いました。「何それ? どういうこと?」
話によると、辞めた彼女は地方出身者で、元々声優になりたかったのだけれど、親に上京を許されなかったのだとか。そこで「就職する」と言って、家を出てきたのだそうです。
これを聞いたときは、呆れたというか、なんというか、よくわからない気持ちになったことを覚えています。この新卒がその後どうなったかは分かりません。
異動の店長にフリーター「私もついて行く!」
また、厳密には退職ではありませんが、長く勤めていたアルバイトが「辞める」と言い出すこともあります。私が勤めていた店でも、大学を卒業後、アルバイトをしていた店にそのままフリーターとして働いている女の子がいました。
この女の子は、この店の店長と付き合っていました。それ自体は特に珍しいことでもなかったので、私もあまり気にしていませんでした。外食チェーンでは社員同士や、社員とアルバイトの恋愛はよくあることです。
そんな中、この店長が別の店舗の店長に異動することが決まりました。すると同時に、彼と付き合っているこの女の子が「店を辞めたい」と言ってきたのです。何となく察しはつきましたが、私は一応理由を聞きました。
やっぱりそうか、と私は思いましたが、次の言葉は予想していませんでした。
これぞ公私混同というヤツです。異動先の人たちも「新しい店長が来たと思ったら、彼女までついてきた」となると、正直やりにくかったんじゃないでしょうかね。しかしそこまでした2人ですが、その後なぜかすぐに別れてしまったのだそうです。
人の数だけ退職の理由もある、ということでしょうか。本当に「人生いろいろ」とは、よく言ったものです。
あわせてよみたい:元社員が語る「外食産業」の舞台裏 バックナンバー
【プロフィール】ナイン
北海道在住の20代後半の男性。大学卒業後、居酒屋チェーンWを運営する会社に正社員として入社。都内店舗のスタッフや副店長として約4年間勤務した後、「もう少し発展性のある仕事がしたい」と転職。現場を知る立場から、外食産業を頭ごなしにブラックと批判する声には「違和感がある」という。Twitter/Facebook/ブログ