社員に自己負担を強いる「自爆営業」の実態――郵便、保険、旅行 2012年5月11日 企業徹底研究 ツイート 会社は利益を上げなければ存続できない。そのために、何よりも必要なのが「売り上げ」である。しかし、どうしてもお客からお金をいただくことができない場合、社員に自腹を切らせる会社がある。 キャリコネの口コミを検索すると、「自爆営業」が2件ヒットする。意外なことに、いずれも日本郵政グループの従業員による書き込みだ。 「目標の設定基準が、実需・景気動向などを反映せず、対前年何%増しといったものであり、未達成者には反省文を書かせるなどのペナルティを設けている。このため、自分で買い取る自爆営業が日常化し、職場の雰囲気は極めて悪い」(郵便事業株式会社、40代後半・男性) 「自爆営業を余儀なくされる場合など多々あります。郵便局に行ってラーメンやうどんを買いますか?」(郵便局株式会社、20代前半・男性) ◇ 非正規社員にも自腹を強いる日本郵政グループ 日本郵政グループに勤める人からは、他にも自己負担に関する口コミが相次いでいる。郵便局のカウンターセールスを担当する20代前半の女性は 「一人何個、局で何個という具体的な数字が上げられているものに関しては、ノルマが達成できなければ自腹です」 と、明かし、20代後半の男性契約社員も「とくに年末の年賀状の営業は指標も高く、家族、親戚、友人など身近な人にお願いして購入してもらわないと、到底達成できません。自腹をきることもあります」と、実態を暴露する。 営業以外の部署や契約社員にも「自爆営業」が広がり、ときには自分だけでなく、家族や親戚の協力を仰がざるを得ないのは異常事態だ。そもそも会社から強制されてこんなに素直に従うのは、日本人くらいなのではないか。 保険会社の営業も、自己負担が当然のように行われている。第一生命保険で代理店営業に携わる40代の女性の場合、「自爆営業」は上司の指示によるものだ。 「保険の売れない月は家族親戚の保険を取ってくるように上司に迫られる。正社員とは名ばかりで、フルコミッションの営業職と変わりない」 朝日生命保険相互に勤める30代後半の女性営業マネジャーによると、何か月か契約が取れないと「給料は実質ゼロになり、会社から借りているパソコン代や、交通費など自腹になる」状況に追い込まれるという。 ◇ JTB西日本「支店企画の旅行は家族と自腹で」 日本郵政、保険営業に並んで自腹営業が目立つのは、旅行業界である。 西日本観光旅行のカウンターセールスで働く30代後半の女性によると、「キャンセル料の確認を怠ると(略)お客様より頂けない場合は自腹だった」こともあるという。お客の違約金を社員が肩代わりさせられるなんて、間違っている。 名鉄観光サービスに勤める30代の男性は 「宝くじ販売や某遊園地フリーパス券の販売にノルマが課せられ、自腹買い取りもたびたび(略)パックツアーのチャーター便の残席分を社員割引と称し、赤字にならない代金で社員に参加」 という会社のやり方に辟易(へきえき)している。日本旅行の20代男性も、クレジットカードに始まり、ワインやウコン、そうめん、ラーメンなどの「旅行付帯品の販売ノルマ」を課せられて、ノルマが達成できない場合は自腹だった。 JTB西日本で働いていた20代男性も 「支店企画のツアーには毎回家族で自腹で行ってました。まるで支店の社員や家族のみんなとの旅行みたいな・・! 」 と、苦々しく振り返る。まるで社内旅行ではないか!それも会社負担の福利厚生ではなく、費用を自己負担させるのだから、理不尽としかいいようがない。それでも会社は「社員が自主的に行ったことであり、強制まではしていない」と強弁するのだろうか。 【その他の企業徹底研究の記事はこちら】 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年4月末現在、45万社、17万件の口コミが登録されています。
社員に自己負担を強いる「自爆営業」の実態――郵便、保険、旅行
会社は利益を上げなければ存続できない。そのために、何よりも必要なのが「売り上げ」である。しかし、どうしてもお客からお金をいただくことができない場合、社員に自腹を切らせる会社がある。
キャリコネの口コミを検索すると、「自爆営業」が2件ヒットする。意外なことに、いずれも日本郵政グループの従業員による書き込みだ。
「目標の設定基準が、実需・景気動向などを反映せず、対前年何%増しといったものであり、未達成者には反省文を書かせるなどのペナルティを設けている。このため、自分で買い取る自爆営業が日常化し、職場の雰囲気は極めて悪い」(郵便事業株式会社、40代後半・男性)
「自爆営業を余儀なくされる場合など多々あります。郵便局に行ってラーメンやうどんを買いますか?」(郵便局株式会社、20代前半・男性)
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非正規社員にも自腹を強いる日本郵政グループ
日本郵政グループに勤める人からは、他にも自己負担に関する口コミが相次いでいる。郵便局のカウンターセールスを担当する20代前半の女性は
「一人何個、局で何個という具体的な数字が上げられているものに関しては、ノルマが達成できなければ自腹です」
と、明かし、20代後半の男性契約社員も「とくに年末の年賀状の営業は指標も高く、家族、親戚、友人など身近な人にお願いして購入してもらわないと、到底達成できません。自腹をきることもあります」と、実態を暴露する。
営業以外の部署や契約社員にも「自爆営業」が広がり、ときには自分だけでなく、家族や親戚の協力を仰がざるを得ないのは異常事態だ。そもそも会社から強制されてこんなに素直に従うのは、日本人くらいなのではないか。
保険会社の営業も、自己負担が当然のように行われている。第一生命保険で代理店営業に携わる40代の女性の場合、「自爆営業」は上司の指示によるものだ。
「保険の売れない月は家族親戚の保険を取ってくるように上司に迫られる。正社員とは名ばかりで、フルコミッションの営業職と変わりない」
朝日生命保険相互に勤める30代後半の女性営業マネジャーによると、何か月か契約が取れないと「給料は実質ゼロになり、会社から借りているパソコン代や、交通費など自腹になる」状況に追い込まれるという。
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JTB西日本「支店企画の旅行は家族と自腹で」
日本郵政、保険営業に並んで自腹営業が目立つのは、旅行業界である。
西日本観光旅行のカウンターセールスで働く30代後半の女性によると、「キャンセル料の確認を怠ると(略)お客様より頂けない場合は自腹だった」こともあるという。お客の違約金を社員が肩代わりさせられるなんて、間違っている。
名鉄観光サービスに勤める30代の男性は
「宝くじ販売や某遊園地フリーパス券の販売にノルマが課せられ、自腹買い取りもたびたび(略)パックツアーのチャーター便の残席分を社員割引と称し、赤字にならない代金で社員に参加」
という会社のやり方に辟易(へきえき)している。日本旅行の20代男性も、クレジットカードに始まり、ワインやウコン、そうめん、ラーメンなどの「旅行付帯品の販売ノルマ」を課せられて、ノルマが達成できない場合は自腹だった。
JTB西日本で働いていた20代男性も
「支店企画のツアーには毎回家族で自腹で行ってました。まるで支店の社員や家族のみんなとの旅行みたいな・・! 」
と、苦々しく振り返る。まるで社内旅行ではないか!それも会社負担の福利厚生ではなく、費用を自己負担させるのだから、理不尽としかいいようがない。それでも会社は「社員が自主的に行ったことであり、強制まではしていない」と強弁するのだろうか。
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*「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年4月末現在、45万社、17万件の口コミが登録されています。