• 肌荒れ、ぼうこう炎は当たり前 楽天営業の過酷で悲惨な現実

     6月1日、楽天社長の三木谷浩史氏の掛け声で新たな経済団体「新経済連盟(新経連)」が発足。三木谷氏が会長に就任し、話題を呼んだことは記憶に新しい。

     新経連は楽天、カカクコム、ディー・エヌ・エー、グーグルなどネット関連企業をはじめ、電通、富士通、三井物産、近畿日本ツーリスト、三菱東京UFJ銀行など、幅広い業界から約779社が加盟。一部は経団連の会員企業も参加している。

     新経連の中核となるのが、三木谷氏が社長の楽天だ。その楽天だが、事業拡大に余念がない。

     主要事業のEC(電子商取引)事業では、中国は撤退したものの、今年にマレーシアやブラジルなどでECサイトの運用を開始。また、カナダの電子書籍関連企業「Kobo」を3億1500万ドルで買収した。

     さらに、5月にはユーザー数が1170万人で、米国でフェイスブック、ツイッターに次ぐ第3位のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「ピンタレスト」にも出資。海外展開、コンテンツやSNS分野での施策を矢継ぎ早に打ち出している。

     その巨大な企業買収や海外展開を支えるのは、楽天全体の売上高の50%を稼ぎ出す国内の楽天市場事業。その売り上げは約8000名いる全社員中で400名程度の楽天市場事業部の営業社員が支える。

     そのため、楽天市場の営業は高い売り上げノルマを課され、業務は過酷をきわめるといわれている。本当にそうなのだろうか。楽天の営業部員だった元社員に、その実態を聞いた。


    目標を達成しなければ昼食も食べられない

     楽天の元社員20代後半のMさん(女性)は新卒で楽天に入社。楽天市場の営業として2年間働いた。

     楽天市場の営業部員はECC(ECコンサルタント)と呼ばれている。Mさんによると、主な業務は出店店舗への広告営業や売り上げ拡大の施策提案だという。

     楽天に出店する企業は食品、衣料など約4万社。ECCはこの中で自分が担当する企業に1日に50~100件の電話営業をかける。新卒も中途入社の社員も仕事内容は変わらないという。

     「業務の中では特に比重が高かったのは広告営業。なぜなら、広告収入は楽天市場の売り上げの中心だから」と、Mさんは言う。そのため、営業部員には高い目標額が設定されていた。

     営業の電話は本数や売り上げ成績を1時間刻みで管理され、常に売り上げの進捗を上司に問いただされていたという。また、数字を達成するために先輩社員や同じ営業部員から怒号が飛ぶのは当たり前だった。

     「電話している最中に先輩やチームメンバーから、複数のメッセンジャーが立ち上がるんです。『何で数字が動かないの。ちゃんと売って!』などと、上司だけでなく複数の人たちから徹底的に詰められるのはほぼ毎日でした」(Mさん)

     さらに仕事面で責めるところがなくなると、人間性を否定することも少なくなかったそうだ。

     また、電話営業では片っ端から出店企業に電話を入れるため、電話をかける先がなくなる人もいたという。新卒で3年を楽天の営業で働いたSさん(女性、20代後半)が言う。

     「そんな時は、実家にかける人もいました。何とか電話をかけるフリをしないといけなかった。分単位で詰められるので電話をかけていないと、逃げ場がなかったからです」

     目標を達成しなければ食事も許されなかった。「『数字目標を達成してないのにランチに行けると思っているの?』なんて言われることは普通だった」(Sさん)。地方支社では「お前仕事してんのか!」と電話機が投げられることもあったという。

     
    1日16時間労働で病人が続出

     勤務時間も過酷だ。中途入社で楽天の営業で2年間を働いたKさん(男性、30代前半)は、就業開始は朝9時半だが、準備のために8時には出社。退社は24時過ぎというのが“基本”で、一日16時間労働をしていたという。

     そのため、毎日の終電帰りは当たり前。「22時すぎに退社できたら『今日かなり早く帰れたな』という感覚だった」(Kさん)。自宅では寝るだけだったという。

     さらに、土日のどちらかも出社していたとKさんは言う。平日の昼間は電話営業に追われ、平日の深夜か土日にしか、資料作成や提案書作りなどができないからだ。こうした労働環境だから、1カ月の推定労働時間が300時間を超える社員はざらにいた。中には「過労で生理が止まった」という女性社員もいたという。

     あまりにも厳しい楽天の営業。前出のMさんは楽天で長く働ける人について、こう断言した。

     「何も感じずにどんと座っていられる人、返事はしても左から右へ聞き流す人、『楽天に忠誠を尽くします!』という楽天教信仰者の人、背負うものがあるため会社にしがみつくほかない人」

     さらにこう続けた。「そうでない人は、ハゲるか、肌荒れするか、ぼうこう炎になるかのどれか」(同)。円形脱毛症になったり、神経症、自律神経失調症になったりする人も多かったという。

     また、楽天という会社について、こう感想を述べた。

     「心身ともにボロボロになるまで働いても、会社がサポートしてくれることは全くなかった。会社の売り上げのほとんどを稼いでいるのに、『ついてこられなければ辞めろ』と人を使い捨てる会社だった」

     うわさに聞いていた楽天の営業の過酷さは本当だった。企業買収や海外展開をどこよりも早いスピードで展開する楽天。それは、過労で精神的に追い詰められ、ぼうこう炎になっても働き続ける社員の献身によって支えられている。

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