名前だけ立派な「大企業の子会社」 親会社の言いなりで将来性ナシ 2012年11月9日 企業徹底研究 ツイート 就職先のブランドを気にする学生たちは、いまだに多い。 その理由は、「友達にバカにされたくない」というほかに、「田舎の父母や祖父母に心配をかけたくないため」という。 要するに「どこに就職が決まったの?」と聞かれ、「日立」「三菱」「NTT」など、誰もが知っている会社名を言わないと、「えっ、大丈夫なの?」「聞いたことないわよ」「辞めれば?そんなワケの分からない会社」などと、足を引っ張られるからだ。 とはいえ、そんな大企業に就職できる能力を持つ人は、ごく限られているので、そう簡単に入れるわけがない。 それでも学生たちは、親の期待を裏切れずに有名企業だけ受けて玉砕せざるをえない。 最終的に大手に入れない場合には、その社名がついたグループ会社に行くしかなくなる。 学生たちは、その会社の事業内容に興味もなく、将来性もないことをよく分かっている。しかし、地方の古い価値観を持った親族から後ろ指を刺されないためには、そうするしかないのだ。 ◇ 「降ってくる仕事を消化するだけ、何が面白いのか」 NTTは言わずと知れた巨大企業だ。その関連会社は連結子会社だけでも776社にのぼる。会社の規模や成長性はピンキリだが、その多くは「NTT」の名前を冠しているので、田舎のおばあちゃんを安心させるには最適だ。 しかし、内情は、親会社のNTTや、その子会社の出向先であることが多い。要職は親会社から来たエリートか、島流しにあってイラついた人たちで占められている。NTTコムチェオに勤務していた30代の派遣社員は、会社の様子をこう描写している。 「親会社からの出向者がほとんどで、そのうち親会社に帰るという感覚から、腰掛けのようなの方ばかりでした。ですので、重要な決断はほとんどしません。自分が責任をとらなくて済むように何とかごまかそうとする方が多いです。また罵声ともとれるような感情的な大声をあげる方が多いです」 NTTファネット・システムズ(現NTTコム ソリューション&エンジニアリング)に勤務していた30代の法人営業担当は、子会社では、いくら頑張っても評価に反映されないので、モチベーションを維持することが大変だったと言う。 「周りの人たちは、親会社から降って来る仕事を、親会社の言いなりに消化するだけの仕事の何が面白い(と考えている)のだろうか、と本気で考えてしまう」 きっと、仕事の面白さや自己の成長より大事なものがあったのだろう。 ◇ 「親の言いなり」「自主的な行動ができない」でいいのか 子会社の一般的な傾向として、業務の意思決定は「親会社の言いなり」であり、「自主的な行動が評価されることはない」というところが多い。 実際、日立グループの日立電子サービス(現・日立システムズ)で働いていた30代の男性社員は、こう述べている。 「親会社の言いなり。自発的に何かを行動してそれが反映されるというものは、ほとんどない。親会社の言うことをほいほいと聞いていれば、それなりに上手くやっていけると思う」 大東建託の子会社のガス会社、ガスパルで働く30代の男性社員も、まるで同じ会社のことを指しているような説明をしている。 「なんでも親会社の言いなり。役員も親会社からの出向で自分が在籍している間は何も起こらない事を望んでいるため、変化を極端に嫌う」 こんな状況では、「これが子会社なんだから仕方がないさ」と、社員は諦めがちになるが、キヤノンITソリューションズの管理部門で働く20代の女性社員は、こんな状況が我慢ならない。 「もはや迷走しているとしか思えません。赤字続きなんだから、大量に受け入れてる親会社からの出向社員を戻してしまえばいいのにと思います」 大手企業の子会社は仕事が親会社から流れてくるので、営業をしなくていいという楽な面もある。一方で、スキルが磨かれないため、他の会社では通用できなくなるし、親会社が傾けば一気にお払い箱になる恐れもある。 田舎のおばあちゃんの老い先は長くないはず。自分の就職先は、30年先の自分のために選ぶべきだ。 【その他の企業徹底研究の記事はこちら】 *「キャリコネ」は、社員が投稿した企業に関する口コミ、年収情報、面接体験などを共有するサイトです。2012年10月末現在、37万社、20万件の口コミが登録されています。
名前だけ立派な「大企業の子会社」 親会社の言いなりで将来性ナシ
就職先のブランドを気にする学生たちは、いまだに多い。
その理由は、「友達にバカにされたくない」というほかに、「田舎の父母や祖父母に心配をかけたくないため」という。
要するに「どこに就職が決まったの?」と聞かれ、「日立」「三菱」「NTT」など、誰もが知っている会社名を言わないと、「えっ、大丈夫なの?」「聞いたことないわよ」「辞めれば?そんなワケの分からない会社」などと、足を引っ張られるからだ。
とはいえ、そんな大企業に就職できる能力を持つ人は、ごく限られているので、そう簡単に入れるわけがない。
それでも学生たちは、親の期待を裏切れずに有名企業だけ受けて玉砕せざるをえない。
最終的に大手に入れない場合には、その社名がついたグループ会社に行くしかなくなる。
学生たちは、その会社の事業内容に興味もなく、将来性もないことをよく分かっている。しかし、地方の古い価値観を持った親族から後ろ指を刺されないためには、そうするしかないのだ。
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「降ってくる仕事を消化するだけ、何が面白いのか」
NTTは言わずと知れた巨大企業だ。その関連会社は連結子会社だけでも776社にのぼる。会社の規模や成長性はピンキリだが、その多くは「NTT」の名前を冠しているので、田舎のおばあちゃんを安心させるには最適だ。
しかし、内情は、親会社のNTTや、その子会社の出向先であることが多い。要職は親会社から来たエリートか、島流しにあってイラついた人たちで占められている。NTTコムチェオに勤務していた30代の派遣社員は、会社の様子をこう描写している。
「親会社からの出向者がほとんどで、そのうち親会社に帰るという感覚から、腰掛けのようなの方ばかりでした。ですので、重要な決断はほとんどしません。自分が責任をとらなくて済むように何とかごまかそうとする方が多いです。また罵声ともとれるような感情的な大声をあげる方が多いです」
NTTファネット・システムズ(現NTTコム ソリューション&エンジニアリング)に勤務していた30代の法人営業担当は、子会社では、いくら頑張っても評価に反映されないので、モチベーションを維持することが大変だったと言う。
「周りの人たちは、親会社から降って来る仕事を、親会社の言いなりに消化するだけの仕事の何が面白い(と考えている)のだろうか、と本気で考えてしまう」
きっと、仕事の面白さや自己の成長より大事なものがあったのだろう。
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「親の言いなり」「自主的な行動ができない」でいいのか
子会社の一般的な傾向として、業務の意思決定は「親会社の言いなり」であり、「自主的な行動が評価されることはない」というところが多い。
実際、日立グループの日立電子サービス(現・日立システムズ)で働いていた30代の男性社員は、こう述べている。
「親会社の言いなり。自発的に何かを行動してそれが反映されるというものは、ほとんどない。親会社の言うことをほいほいと聞いていれば、それなりに上手くやっていけると思う」
大東建託の子会社のガス会社、ガスパルで働く30代の男性社員も、まるで同じ会社のことを指しているような説明をしている。
「なんでも親会社の言いなり。役員も親会社からの出向で自分が在籍している間は何も起こらない事を望んでいるため、変化を極端に嫌う」
こんな状況では、「これが子会社なんだから仕方がないさ」と、社員は諦めがちになるが、キヤノンITソリューションズの管理部門で働く20代の女性社員は、こんな状況が我慢ならない。
「もはや迷走しているとしか思えません。赤字続きなんだから、大量に受け入れてる親会社からの出向社員を戻してしまえばいいのにと思います」
大手企業の子会社は仕事が親会社から流れてくるので、営業をしなくていいという楽な面もある。一方で、スキルが磨かれないため、他の会社では通用できなくなるし、親会社が傾けば一気にお払い箱になる恐れもある。
田舎のおばあちゃんの老い先は長くないはず。自分の就職先は、30年先の自分のために選ぶべきだ。
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