• 2ちゃんねるでの「内部告発」は信用できる? 社名あがった自転車メーカーが猛反論

    2014年2月11日、2ちゃんねるに「内部告発ってどうやってするの?」というスレッドが立ち、ある自転車メーカーの製品の品質に大きな問題があると書き込まれた。

    この話題はネットでたちまち広がったが、12日にはメーカーがウェブサイトで反論のメッセージを公開。スレッド内容を掲載したまとめサイトの多くは、この記事を削除している。

    書き込みは、自社製品の2つのエピソードを紹介している。1つは「折り畳み自転車」の部品が走行中に折れて、運転手が路肩に転倒。「そのまま車にぶつかり救急搬送」というもの。

    「その被害者は結婚式3ヶ月前の新郎で顔面ぐっちゃで整形手術が必要で、歯は殆ど折れてたらしい。生きてるのが不幸中の幸いだった」

    「女性の大事な部分」が傷ついたという内容も

    スレッドは、内部告発の方法を尋ねるものではなく、具体的な会社名をあげて告発そのものを書き込むものだった。それによると、事故の後もその製品は販売されており、「その被害者レベルではないけれど同じ箇所の故障も何十件とサポートに届いてる」という。

    ブロガーのやまもといちろうさんも、「以前、友達がこれ乗って盛大に事故って、幸いにして後遺症は残らなかったもののしばらく戦線を離脱していたことを思い出しました」と12日のブログに記している。ただし、事故の原因には触れていない。

    もう1つのエピソードは、ヘルメットに関する顧客クレームだ。ある日、サポートセンターに「(ヘル)メットを誤って手から落としてしまったら砕け散った」と苦情が届いた。書き込みは「これを聞いた時はマジで戦慄した」「これを知ってる社員のローディーは全員自社のものを使わなくなった」と続けている。

    この他、折りたたみ自転車が運転中に破損して「女性の大事な部分を傷つけ」たとも添えている。スレッドを立てた目的は、

    「できたらまとめブログにでも乗っけてくれて、他の人の被害が減るならって思ってる」
    「会社にバレて首になったとしても、全く問題ない。むしろ安いぐらい。転職活動もしてるし」

    と明かしている。

    書き込みには、この会社の社長が社屋周辺の掃除をしているなど、社内の状況に精通している人ならでは、と思われる内容も含まれている。

    何針縫ったとか、具体的な事実がないのが気になる

    一方、「安全管理とか皆無」と名指しされたメーカー側は、13日にウェブサイトで反論を行った。

    「これら一切は、当社社員を詐称する誹謗中傷であり、当社社員あるいは元社員の書き込みではありません」
    「また、この記事を元にした事実や根拠の無い情報発信についても、投稿者等に対する法的措置を検討しております」

    確かに今回の書き込みが信用に足るものである、という明確な根拠はない。メーカーで品質管理やクレーム対応の経験のあるキャリコネ会員のA氏も、エピソードの書き方がショッキングな描写ばかりで、直ちに信用できるものではないと感じたという。

    「社内で共有される事故の情報は、もっと具体的なものです。書き込みは『結婚式3ヶ月前の新郎で顔面ぐっちゃで整形手術が必要』という描写だけで、何針縫ったとか、どこを骨折したとかいう事実が書かれていない。また、ヘルメットが砕け散った、という苦情を耳にしただけで『全員自社のものを使わなくなった』ということがありうるでしょうか」

    「社内にいてもギクシャクしてる人間関係」と書いている点からも、会社や上司への個人的なうらみが書き込みの裏にあるのではないかと予想する。

    ただし、製品に対するクレームを踏まえた改善提案が受け入れられなかった社員が「内容をやや大げさに言っている」ということはありえるので、何らかの事実とひもづいている可能性も否定できない、とA氏は言う。

    なぜリリースの文面がテキストではなく「画像」なのか

    またA氏は、リスク管理の点から会社の対応に気になる点があるという。

    「誹謗中傷を非難するリリースが、会社のウェブサイトのトップページからリンクされていないんですよね。さらに文面が、テキストではなく画像になっている。ネット上に話題が拡散することを警戒しているのだと思いますが、中途半端な対応という感が否めません」

    すでにかなりの情報が拡散しており、本当に事実無根であれば、もっと積極的に説明をしてもいいはずだ、と首を傾げる。また、文面にも納得できない部分があるという。

    「利用者を本当に納得させるためには『出回っている製品事故の情報はデマであり、事実ではない』という点をアピールすべきなのですが、そこが明確に書かれていない。また、この数日間の調査だけで『当社社員あるいは元社員の書き込みではありません』と言い切れるものでしょうか」

    とはいえ、この製品に関する通販サイトの評価は一様に高く、深刻なクレームは見当たらない。ネットの書き込みは、匿名で違法行為などを告発するためには便利である一方で、信ぴょう性の問題があるところが悩ましいところだ。

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