• 2ちゃんねるに「秋田新太郎逮捕!」と書き込んだのは誰なのか?

    原発事故後に注目が高まる「太陽光発電」。国による固定価格買い取り制度もあり、「確実に儲かるなら」と企業や個人宅で導入の動きが続いているようだが、そんな甘い蜜を悪い虫が見逃すわけもない。

    太陽光発電システム販売の「エステート24ホールディングス」の秋田新太郎社長が、2013年10月19日に逮捕された。銀行に業績を水増しした資料を提示し、ウソの説明をして2億円の融資金をだまし取った疑いがもたれている。

    新人40人の半数が「半年以内に退職」との口コミも

    同社については以前から、2ちゃんねるに「給与の支払が遅れています」「秋田新太郎逮捕!」などと会社を批判する書き込みがあった。しかし秋田社長は、逆に「ネット中傷の恐怖」を特集したテレビ番組に出演して「被害」を訴えていた。

    「(ネットの書き込みは)あり得ないですよと、各メーカーにも説明はしたんですけど、いまいちばん風評とかコンプライアンスとか言われているので(中略)、2ケタ億円以上のマイナスは絶対にありましたね」

    結果的には「逮捕!」の書き込みが当たってしまったが、誰がそのような告発をしたのか。口コミサイトのキャリコネには、2012年9月に社内問題の告発があった。書き込んでいるのは、企画営業を担当する20代前半の男性社員だ。

    「個人セールスの営業マンは出張がメインで、1ヶ月に1、2回しか家に帰ることはできない。個人営業マンの拘束時間は、1日あたり15時間。一定の地域に1ヶ月ほど営業マンがみんなで賃貸を借りて滞在し、本社のアポインターがアポイントをとった家に営業に行く」

    成績をあげれば「かなり稼げることは間違いない」とされているが、労働環境は厳しかったようだ。「売り方を誇張している感は否めない。太陽光パネルの金額設定が高すぎる。新入社員40名のうち半数が半年以内に退職」とも書かれている。

    より詳しい話を取材しようとしたが、この社員もすでに退職しているようだった。せっかく入社できたと思った会社が、ブラック企業だったとしたら気の毒な話だ。当然、辞めるのは新人だけではないだろう。年に少なくとも20人が辞める会社であれば、2ちゃんねるに書き込んだ社員を特定するのはかなり難しそうだ。

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    事情通「悪いのは社長だけではないのでは」

    ただしこの件については、「悪いのは秋田社長だけではないのでは」と言う人もいる。融資金を騙し取ったとすれば悪いことだが、それだけの資金が必要になった背景には、大手銀行の「貸しはがし」があったからだというのだ。

    太陽光発電の国の買い取り制度の価格は、年々下がっていく。買い取り制度が発表された当初はどんどん貸し付けた銀行が、今後の業績を懸念して手のひらを返した。ある事情通は「2ちゃんねるの書き込みも社員とは限らない」と言う。

    「逮捕の可能性までは、一般の社員は知りえないはず。貸しはがしをし終わったか、会社を食い物にしようとする人たちが、彼が追い詰められているのを知りつつ中傷を書き込んだ可能性だってないとはいえないですからね」

    ジャーナリストの伊藤博敏氏は「現代ビジネス」で、秋田容疑者は偽造書類による融資申し込みが詐欺に当たると認識しており、「まっすぐの借り入れ明細で各行との話し合いに臨んだ」というメールを受け取ったと明かしている。

    ネットへのデマの書き込みで被害を受ける人がいる一方、匿名の内部告発で事件が発覚することもある。テレビで「ネット中傷の恐怖」を告白した秋田容疑者がウソを言っていたのかどうか、誰がどの程度の「ワル」なのか、いまはまだ断言できない。

    ※企業インサイダーでは、エステート24ホールディングスを含め、企業や経営者の不正行為の告発を受け付けています。秘密は当然厳守します。

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