• 「竹内結子はいないのか…」 労働基準監督署は「働く人の味方」ではなかった

    企業が労働基準法を遵守しているか監督し、違法行為があれば取り締まる権限を持つ「労働基準監督署」。昨年放送された竹内結子主演のドラマ「ダンダリン 労働基準監督官」もあって、ここ最近の知名度はアップしている。

    そのため、自分が勤務しているブラック企業の違法行為を、労基署に告発する労働者が増えているが、意外とガッカリする人も少なくないようだ。「親身に悩みを聞いてくれると思ったら案外冷たかった」「竹内結子はいなかった」というわけである。

    基本スタンスは「中立」。証拠の扱いも厳密

    キャリコネの受付窓口には、会社からサービス残業を強要されたという内部告発が少なくない。「労動基準監督署への告発を検討しましたか」と確認すると、

    「録音を提出したが『音声は創作できますから』と突き返された」
    「これでは証拠として不十分なので、家宅捜索はできませんと言われた」

    などと言われて失望した、という人も目に付く。セクハラやパワハラの告発をしても、「労働基準法違反ではないので対応は難しい」と言われることもあるようだ。

    自分なりに手間をかけて証拠を集め、救いを求めたのにもかかわらず、それが受け入れられないとショックが大きい。なぜこのような「非情」が横行するのか。

    ある弁護士は、労働基準監督署について「しょせんはお役所ですから、過剰な期待をしない方がいいですよ」と釘を刺す。最も注意すべきことは、労基署は「働く人の味方だと勘違いしないこと」だという。

    「労基署は行政機関ですから、中立的なスタンスが基本なんです。労働者の味方でもなければ、企業の味方でもない。違法行為が明確であれば厳しく取り締まりますが、そうでない場合は『疑わしきは罰せず』とならざるを得ません」

    相談者の味方なら「断然弁護士」?

    証拠へのこだわりも「お役所的」だという。提出された材料が不十分なとき、「こういう書類はないですか?」などと証拠揃えに親身になってくれる保証はない。

    このあたりは、刑事事件に巻き込まれた人が「警察は必ずしも被害者を救ってくれる人たちではなかった」と失望する構図に似ている。

    それでは、被害者の味方として親身になって相談に乗ってくれる人たちはいないのだろうか。前述の弁護士は「手前味噌になりますが、断然弁護士ですよ(笑)」と胸を張る。

    「なぜ労基署がそんなに期待されているのか、理解できないんですよね。弁護士は、クライアントの味方。相談者にとって最も有利な方法を考えます。ブラック企業問題に遭遇したら、まずは弁護士に相談という人が増えていいと思います」

    とはいえ、弁護士への相談は「訴訟が前提」とか「1時間1万円程度かかる」と警戒している人も多い。しかし、事務所間の競争が激しい現在では、相談レベルであれば無料で受け付けてくれるところもある。

    ただし、中には「まずはユニオン(労働組合)に入れ」と強引に勧めてくる弁護士もいるという。そういう弁護士に捕まってしまい、「クライアントの事情をまったく無視され、独善的に物事を進められて後悔する人もいる」ので、注意が必要ということだ。

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