ザッカーバーグを目指すのは「愚行」 普通の人は「普通に働け」 2013年11月25日 仕事のエコノミクス ツイート いよいよ12月1日から就活が解禁される。大企業に入れば安泰という時代ではないが、「若いうちはベンチャーで働け」「ノマドで自由な働き方をしよう」といったメディアの論調も、本当なのかと就活生を不安にさせる。 「就活って初体験が多いけど、いろんな話をとにかく『本当なのか?』って疑うことが大切だと思いますね」 就活を控えた大学3年生の質問を受けて、人事コンサルタントの常見陽平氏が答えた。11月22日、同氏の著書『普通に働け』の出版を記念し、芳林堂書店高田馬場店で開かれたトークイベントでのヒトコマだ。 「意識が高い人」たちに流されるな 百戦錬磨の社会人、特に経営者にとって「この会社なら成長できる!」「すごい人になれる!」と就活生を魅了するのは簡単なことだ。しかし、それを信じて入ってみたら、とても耐えられないハードワークを強いられるブラック企業であったという話も少なくない。 就活生は、それを見抜かなければならない。イベントに同席した雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏、NPO法人・POSSE代表の今野晴貴氏も、 「面接は証人喚問の場じゃなくて、コミュニケーションの場。面接担当者に『どう思いますか?』『自分はこう考えるんですが合ってますか?』と躊躇なく聞けばいい」(海老原氏) 「就活は意識が高くないと乗り切れないわけではない。自分を保って、冷静にうまくやれることを探してほしい」(今野氏) とアドバイスする。就活時は特に、早く内定を貰いたいという焦りもあるから、「意識が高い人」たちに流されやすくなる。 就活塾などの啓発系の講師も「こうすれば成功する!」「すごい人になれる!」と声高に叫ぶ。マスメディアも「すごい人」の働き方ばかりを取り上げる。確かに、極端な「天才の話」は画になるし、人の興味を惹きやすい。 だが、「じゃあ普通の人がマネできるの? みんなザッカーバーグになれるの?」(海老原氏)という話である。 あわせてよみたい:ノマド・メディアに惑わされるな ノマドで労働力を安売りしていないか マネをして、全員が成功するロールモデルならば苦労はない。 「すごい人伝説は見世物化している。それをマネして普通の人が良くなるのか?幸せになるのか?と心の中でつぶやくことが大事」 常見氏は言う。たとえば「情熱大陸」に出演した人のことは、「なんか凄い人かも」と思ってしまうかもしれない。世の中に0.1%の天才がいることは事実だ。 ただ、そうした極端な事例を根拠に「君たちもそれを目指すべきだ」と言われても、普通の人は救われない。 これは就活生のみならず、社会人、転職者にも当てはまる。たとえば、ノマド言説に踊らされて、結果的に労働力を安売りすることになってしまっていないか。 常見氏は著書にこう書いている。 「普通の私たちは、まず、今日の『いい仕事』をしようではないか」 自分にとって「いい仕事」とは、「期待に応える」とは何か。そうした「基本に立ち返る」ことを忘れず、就活生も社会人も今一度「普通」という概念を考えなおす必要があるのではないか、という呼びかけだ。
ザッカーバーグを目指すのは「愚行」 普通の人は「普通に働け」
いよいよ12月1日から就活が解禁される。大企業に入れば安泰という時代ではないが、「若いうちはベンチャーで働け」「ノマドで自由な働き方をしよう」といったメディアの論調も、本当なのかと就活生を不安にさせる。
就活を控えた大学3年生の質問を受けて、人事コンサルタントの常見陽平氏が答えた。11月22日、同氏の著書『普通に働け』の出版を記念し、芳林堂書店高田馬場店で開かれたトークイベントでのヒトコマだ。
「意識が高い人」たちに流されるな
百戦錬磨の社会人、特に経営者にとって「この会社なら成長できる!」「すごい人になれる!」と就活生を魅了するのは簡単なことだ。しかし、それを信じて入ってみたら、とても耐えられないハードワークを強いられるブラック企業であったという話も少なくない。
就活生は、それを見抜かなければならない。イベントに同席した雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏、NPO法人・POSSE代表の今野晴貴氏も、
とアドバイスする。就活時は特に、早く内定を貰いたいという焦りもあるから、「意識が高い人」たちに流されやすくなる。
就活塾などの啓発系の講師も「こうすれば成功する!」「すごい人になれる!」と声高に叫ぶ。マスメディアも「すごい人」の働き方ばかりを取り上げる。確かに、極端な「天才の話」は画になるし、人の興味を惹きやすい。
だが、「じゃあ普通の人がマネできるの? みんなザッカーバーグになれるの?」(海老原氏)という話である。
あわせてよみたい:ノマド・メディアに惑わされるな
ノマドで労働力を安売りしていないか
マネをして、全員が成功するロールモデルならば苦労はない。
常見氏は言う。たとえば「情熱大陸」に出演した人のことは、「なんか凄い人かも」と思ってしまうかもしれない。世の中に0.1%の天才がいることは事実だ。
ただ、そうした極端な事例を根拠に「君たちもそれを目指すべきだ」と言われても、普通の人は救われない。
これは就活生のみならず、社会人、転職者にも当てはまる。たとえば、ノマド言説に踊らされて、結果的に労働力を安売りすることになってしまっていないか。
常見氏は著書にこう書いている。
自分にとって「いい仕事」とは、「期待に応える」とは何か。そうした「基本に立ち返る」ことを忘れず、就活生も社会人も今一度「普通」という概念を考えなおす必要があるのではないか、という呼びかけだ。