「地域プロデューサー」はカッコいい仕事 お客を引き寄せ、住民と楽しむ 2014年3月10日 仕事のエコノミクス ツイート 少子高齢化が進む中、社会問題がより大きく顕在化しているのは「地方」だ。停滞する空気を打破しようと、さまざまな活性化策が打ち出されている。「ゆるキャラ」もそのひとつだが、単にブームに乗るだけでは長続きしない。 そんな中、地方の魅力を掘り起こし、地元から地に足が着いた情報発信をしようとしているのが、個性豊かな「地域プロデューサー」たちだ。2014年2月26日放送の「Good Job!会社の星」(NHK・Eテレ)では、地域プロデューサー3名をスタジオに呼び、その奮闘ぶりを紹介していた。 「コンテンツ・ツーリズム」の手法を応用 函館市の地域プロデューサー阪口あき子さんは、函館侵略が目的の「イカール星人」という少々不気味なキャラクターを制作した。モデルは、名物の「イカ」。函館の名所をイカール星人が攻撃するPR映像は、計170万回以上再生されている。受験シーズンには「うか~る星人」に変身して市電に乗り込み市民を応援するなど、愛嬌も忘れない。 奈良市の地域プロデューサー岡本さんは、奈良を盛り上げるためにスマートフォン用のゲームアプリをつくる取り組みをはじめた。スマホユーザー自身が画面上の主人公となり、GPS機能を使って、奈良のマップをつくっていくRPG形式のゲームを目指す。 観光地として有名な奈良だが、実のところ宿泊客数は少ない。名高い寺社仏閣だけを見て去る観光客が多いからだ。岡本さんは、奈良でしか遊ぶことのできないこのゲームで、「奈良をもっと冒険していってほしい」という。このような手法は「コンテンツ・ツーリズム」と呼ばれている。 富山県南砺(なんと)市では、スマホ向けのアニメストーリー「恋旅」で町おこしをはじめている。恋旅カップルのデート風景と、南砺市の名所が忠実に描かれたオリジナルアニメだ。こちらも奈良と同じく、南砺市に来なければ見られない。 デジタルが苦手な「高齢者向けの工夫」が課題に 観光客を呼び込むこれらの策にも、難点がある。デジタル技術を用いていることが、地元の高齢者に不評なことだ。新しすぎる技術を前に、古くからの住人は「年寄りは相手にせんのか」と苦労していた。 南砺市の地域プロデューサー山口さんは、 「地元の人が企画やアニメを知っていれば、観光客への接し方が変わり、おもてなしにつながる」 と言うものの、確かに高齢者向けの工夫は課題のひとつだ。 都市に出て行く働き手が多い中、アイデアをひねり出してストーリーで観光客を飽きさせず、住民も一緒に楽しむ発想は、強い地元愛から生まれるのだろう。故郷のために奮闘し、地元に貢献する地域プロデューサーのカッコ良さを教えられた。(ライター:nora)
「地域プロデューサー」はカッコいい仕事 お客を引き寄せ、住民と楽しむ
少子高齢化が進む中、社会問題がより大きく顕在化しているのは「地方」だ。停滞する空気を打破しようと、さまざまな活性化策が打ち出されている。「ゆるキャラ」もそのひとつだが、単にブームに乗るだけでは長続きしない。
そんな中、地方の魅力を掘り起こし、地元から地に足が着いた情報発信をしようとしているのが、個性豊かな「地域プロデューサー」たちだ。2014年2月26日放送の「Good Job!会社の星」(NHK・Eテレ)では、地域プロデューサー3名をスタジオに呼び、その奮闘ぶりを紹介していた。
「コンテンツ・ツーリズム」の手法を応用
函館市の地域プロデューサー阪口あき子さんは、函館侵略が目的の「イカール星人」という少々不気味なキャラクターを制作した。モデルは、名物の「イカ」。函館の名所をイカール星人が攻撃するPR映像は、計170万回以上再生されている。受験シーズンには「うか~る星人」に変身して市電に乗り込み市民を応援するなど、愛嬌も忘れない。
奈良市の地域プロデューサー岡本さんは、奈良を盛り上げるためにスマートフォン用のゲームアプリをつくる取り組みをはじめた。スマホユーザー自身が画面上の主人公となり、GPS機能を使って、奈良のマップをつくっていくRPG形式のゲームを目指す。
観光地として有名な奈良だが、実のところ宿泊客数は少ない。名高い寺社仏閣だけを見て去る観光客が多いからだ。岡本さんは、奈良でしか遊ぶことのできないこのゲームで、「奈良をもっと冒険していってほしい」という。このような手法は「コンテンツ・ツーリズム」と呼ばれている。
富山県南砺(なんと)市では、スマホ向けのアニメストーリー「恋旅」で町おこしをはじめている。恋旅カップルのデート風景と、南砺市の名所が忠実に描かれたオリジナルアニメだ。こちらも奈良と同じく、南砺市に来なければ見られない。
デジタルが苦手な「高齢者向けの工夫」が課題に
観光客を呼び込むこれらの策にも、難点がある。デジタル技術を用いていることが、地元の高齢者に不評なことだ。新しすぎる技術を前に、古くからの住人は「年寄りは相手にせんのか」と苦労していた。
南砺市の地域プロデューサー山口さんは、
と言うものの、確かに高齢者向けの工夫は課題のひとつだ。
都市に出て行く働き手が多い中、アイデアをひねり出してストーリーで観光客を飽きさせず、住民も一緒に楽しむ発想は、強い地元愛から生まれるのだろう。故郷のために奮闘し、地元に貢献する地域プロデューサーのカッコ良さを教えられた。(ライター:nora)