• 「ベンチャー企業」で働くのは親不孝? 子どもに望む就職先で「ダントツ最下位」

    就活生の親を対象としたアンケートによると、子どもが「設立間もないベンチャー企業」を就職先として望んだ場合、「反対する」と答えた親が27.9%にのぼったという。次に反対の多かった「無名の中小企業」の10.5%に、大差をつけてのワーストだ。

    一方、「賛成する」就職先では、1位が「地方公務員」で66.3%。次いで「国家公務員」「有名な大企業」「有名な中小企業」「無名の大企業」「無名の中小企業」と続き、「設立間もないベンチャー企業」は11.0%にとどまっている。

    ホリエモンも嘆息「そんな考え方なのか」

    調査はマイナビとイードが、過去3年以内に子どもが就職活動をした保護者555人を対象に実施。「親の意見に左右されやすい」といわれる最近の若者に、公務員や大企業志向が強い背景が垣間見られる。

    この結果に対し、社会人からは「情けない」という声が相次いでいる。学生時代にベンチャー企業を設立した堀江貴文氏は、ツイッターに、

    「なんというか、この保護者とおれ(41歳)ってたいして年齢変わんないんだよな。そんな考え方なのか。馬鹿過ぎ」

    と厳しくコメントしている。「ベンチャー反対」は父親よりも母親の方が高い割合を示しているが、ビジネス社会の変化を肌で感じていない主婦の意見を、就活生が重視するのは危険で合理的ではない、という声は少なくない。

    公務員を志向することのリスクを指摘する人もいる。ニュース共有アプリ「NewsPicks」のコメント欄では、世界銀行でリサーチアナリストとして働く西田一平氏が、

    「公務員が安定してると大衆が考えてるのが怖い。事務スキルくらいしか持たない公務員(キャリア官僚除く)が、何かあって転職市場に流出したとき、彼らの市場価値がどの程度なのか考えた方が良い。現代の安定は、所属組織でなくスキルへの需要ベースで考えるべき」

    という意見を表している。ツイッターには、30代の事務系公務員が転職エージェントに登録しても、「そのキャリアでは紹介する企業はない」とメールで返信され、キャリアカウンセラーに会ってもらうことすらできない、と投稿する人もあった。

    日本創世会議・人口減少問題検討分科会は、国全体の出生率を上げても「地方自治体の半分は消滅するおそれがある」という推計を発表している。地方公務員を推す親の世代は、このような情報を踏まえ、本当に子どもの将来を考えてアドバイスできているのだろうか。

    ベンチャー経験が「給与アップにつながった」という人も

    一方で、親の大企業志向を肯定する意見もある。グロービス・グループ代表の堀義人氏は「僕が親だったら、1位はやっぱり大企業(商社)かな」という意見だ。

    「商社ほど、グローバルなビジネスに触れる機会が豊富な業種は、無い気がする。最近は商社を超越して、事業会社になったしね。投資銀行よりも業界・経営に精通しているし、しかも免許事業じゃ無い。強い!」

    ベンチャー企業経営者の古川健介氏は、「わはははは!こういう日本だからベンチャーの敷居が低くて、起業した人は得してると思う」と、ベンチャー不人気を意に介さない。

    キャリコネ編集部では、20代半ばでベンチャー企業の創業に携わった男性会社員(30歳)を取材した。新卒で入社した会社を辞めて「設立間もないベンチャー」に転職したとき、「親には反対された」が、その経験はいまに生きているので後悔していないという。

    「設立間もない少数精鋭のベンチャーでは、1人で何でも仕事をこなさなければならないんです。でも、若いうちから顧客との交渉やチームのマネジメントなどを経験したことが、その後の転職先でも大きな糧になっていますし、給与アップにもつながりました」

    とはいえ、仕事のきつさに耐えられず、数ヶ月辞めてしまう人がいたのも事実だ。男性は、自分がベンチャーに合うかどうかは「働いてみないと分からないところがある」という。

    「安定」を動機に就職先を決めるのはリスキー?

    大手人材紹介会社の転職コンサルタントによると、新卒時に「安定して長く働ける仕事」という動機で、地方銀行や信用金庫に就職した人たちが、入社数年で転職市場に流れ出ているという。

    理由は、地方の人口減の影響で、各社で「会社の事業に将来性がない」という中期試算が出ているため。20代のうちに飛び出せば、経験を生かした転職先はあるが、30歳を過ぎると「過去の経験や習慣が足かせになって」会社にしがみつかざるを得なくなるという。

    せっかく新卒カードを持っているなら、一度は大手企業を経験してみるのもいい。しかし今後の日本社会で、安定を望むことは難しそうだ。ならば転職を前提とし、自分なりに「時代ごとの波に乗ったキャリア」を考えた方が、職を失わずに済むのではないだろうか。

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