• “ブラック企業”は、こう見抜け!(2) 企業のホームページ編

     企業と接触する前に、その会社が“ブラック企業”なのかを高い確率で見分ける方法は存在する。それは、どんな方法で、どんな点を見極めればよいのだろうか。

     そのブラック企業の見分け方を紹介するシリーズの2回目は、企業のホームページからブラック企業を見抜く方法について説明していこう。

     ただし、紹介する内容に当てはまる会社が、すべてブラック企業というわけではない。あくまで兆候に気づくための参考情報として活用していただきたい。

     企業のホームページからブラック企業を見分けるポイントは4つある。最初は入社の難易度が手掛かりになる。具体的は次のようなことだ。
     

     ポイント(1) 入社ハードルの低さが強調されている


     このことが示すのは、この企業が人が集まらない会社、もしくは仕事内容である可能性が高いということだ。

     自分が興味を持った求人広告を見かけたら、その企業のホームページを訪れ、ぜひ「中途採用ページ」をみてほしい。即戦力として中途採用をする場合は、同業界や同職種の経験者を求めるのが一般的だ。だから、サイトに以下のようなキーワードを見つけたら要注意だと思ってほしい。

     「ノルマなし」
     「学歴不問」
     「未経験者可」
     「転職回数不問」
     「フリーター歓迎」
     「将来は独立も可能」
     「書類選考なし」
     「すぐに月収○○万円」

     こう記載している会社は、おそらく「そこまでしなければ採用できない理由がある」に違いないからだ。

     「ハードワーク」「プレッシャー」「給与」「社風」などで、何かしら問題がある可能性が高い。文字通り誰でもできるようなルーティンワークだったとしても、結局、その仕事をどれだけやってもスキルにならないことになる。

     いずれにしても、なぜそうまでして採用しなければならないのか、その理由を確認しておく必要があるのだ。


    ヨコ文字の職種には要注意!

     次のポイントは会社や仕事の説明についてだ。


     ポイント(2) 会社概要、仕事内容の説明が「抽象的、カッコいいイメージ」


     これは、「人気がない」「後ろめたい仕事である」ということを隠している可能性を示したいる。学生に限らず、とかく、仕事選びには会社や仕事の「イメージ」が先行するものだ。ブラック企業はそれを逆手に取り、とにかくいい印象を植え付けようとするのだ。

     具体的にはどんなものだろうか。以下は、実際に求人情報誌に掲載されている「職種」または「業務内容」だ。何をす仕事のか、答えられるだろうか。

     (1)オフィスのIT化に関するコンサルティング
     (2)ハウスメンテナンスアドバイザー
     (3)セールスマーケティング(広告代理店)
     (4)コーポレートプロフェッショナルアドバイザー
     (5)アミューズメントスタッフ


     解答は、次のようになる。

     (1)コピー機、電話機の販売
     (2)シロアリ駆除の営業
     (3)フリーペーパー広告の新規飛び込み営業
     (4)損害保険の営業
     (5)パチンコ屋の店員

     取り上げた5つの職種は、一見してクリエイティブな印象の横文字を使うことで、なんとなくイメージが良くなり、仕事の実態が見えにくくなっている。

     そして、特に求人情報の詳細を読んでも、はっきりと「○○を売る仕事である」と記載されていない場合は注意が必要だ。募集に苦労し、離職率が高い会社や職種ほど、「コンサルティング」「マーケティング」といったフレーズを多用することが多い。

     このような抽象的なキーワードが出てきたら「怪しい…」と感じると同時に、「商材は何か?」「具体的に何をするのか?」という点を納得のいくまで確認するように、おすすめしたい。


    子会社を吸収合併して処分を逃れようと画策

     3つめは会社の経営状況についてだ。
     

     ポイント(3) 社名、代表者、業務内容や親会社などが頻繁に変わっている


     これは、「なかったことにしたい」「都合が悪い事実」がある企業という可能性が高い。これが新規事業の進展やマーケティング戦略の一環としての転換や変更であれば心配はない。しかし、数年に1度くらいのペースで、頻繁な社名変更や業態転換を行っている会社は注意が必要だ。

     そもそも、ブラック企業では、「社名変更」「社長交代」「親会社が変わる」といった手段は、「都合が悪いこと」を隠すのによく用いられる。

     隠したい対象もいろいろとレベルがある。たとえば「ブラック企業というイメージを払拭したい」というものから、「違法行為がバレることを防ぐため」といった悪質なものまで、その内容は様々だ。

     実際、イメージ転換については多くの事例がある。

     例えば、あるIT企業「P」社は、以前は下請けのプログラマー派遣会社で、労働環境が劣悪なことで業界内でも有名だった。しかし、その後は社名を「○○コンサルティング」と変えることでイメージを一新。今や「ITコンサルティングファーム」の一角として認知されている。

     また、違法行為隠しの典型としては、今はもうないが人材請負大手「クリスタル」の例がある。多い時で200社以上の連結子会社を抱え、頻繁に社名を変えては法の目を逃れていた。

     同社の子会社では、こんなことがあった。派遣子会社の派遣社員が作業中に現場で事故を起こし、本人も負傷してしまうというアクシデントを起こしたのだ。

     そして、事故をきっかけに、作業には専門の資格が必要だったにもかかわらず、その派遣社員は資格を持っていなかったことが判明。悪質で重大な違反のため、その子会社は書類送検の処分を受けた。

     しかし、そうなると会社が持っている派遣免許も取り消され、事業を継続していけなくなる。そこで親会社のクリスタルは、事故で問題となった子会社を吸収合併してしまったのだ。

     合併すると、派遣免許を取り消す先の会社が存在しないことになる。これは明らかに悪質な処分逃れだ。結果、一連の悪質な行為が明らかになり、親会社のクリスタルが事業停止命令を受けることになってしまった。

     この例からもわかるように、社名が頻繁に変わるのは何かしら後ろめたい理由がある可能性が高い。あまり頻繁に「変更」「合併」「解散」などを行っている企業は「会社ぐるみで何かあるのかも」と考えてみたほうがいいだろう。

     こうした情報は、インターネットで検索をするという「ほんのひと手間」をかけるだけで手に入れることができる。ブラック企業に入社して自分の人生を無駄にしないようにするためには、慎重な行動が常に求められるのだ。


    (新田龍・ブラック企業アナリスト)




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