• “ブラック企業”は、こう見抜け!(4) 会社説明会・セミナー編

     2014年卒の就職活動も本格化し、多くの企業でセミナーや説明会が開催され、早い会社では、すでに面接まで行われている。

     昨年度からは採用選考の期間が実質的に短くなっている。そのため、学生の多くは十分な企業研究を行わないまま、就活の荒波に呑みこまれることになる。仮に企業研究ができていても、私に言わせれば、それは「企業鑑賞」レベルでしかない。

     そんな中で、どうすればブラック企業を見極めることができるのだろうか。4回目となる今回は「会社説明会、セミナーから、ブラック企業の見抜き方を紹介しよう。


    説明会での社員の印象で決めれば失敗する

     一般的に、説明会やセミナーで、その会社がブラック企業なのかを見抜くのは難しい。

     そもそも、会社は何のために説明会やセミナーをやるのだろうか。それは、企業が応募者に、プレゼンテーションを通じて、自分たちの会社に良い印象を持ってもらい、入社志望度を高めるためだ。

     つまり、会社説明会やセミナーは、自社の良いところをトコトン探し出し、あらゆる手段を使って最大限に誇示する場なのだ。そのため、自分たちの会社にとって何かマズい事柄が発覚することは基本的にありえない。

     むしろ、ブラック企業であるほど、説明会やセミナーで好印象を与え、応募者に一抹の疑問も持たせずに、その後の選考へとスムーズに進んでもらうことが大事なわけだ。

     実際、私が過去に相談された経験を振り返ってみても、このことは当てはまる。入社後にブラック企業であることが判明し、辞めたいと訴える相談者に「なぜこの会社を選んだのか?」と尋ねると、多くの人が「説明会の印象」や「人事担当者、社員の雰囲気」を入社を決めたポイントとして回答しているのだ。

     「説明会に出てくる社員が好印象」というのは、採用マーケティングの手法として常識だ。セミナーや説明会は広報イベント。どんな会社でも、自社で最も活躍していて、外見も人柄も良い人物を「代表選手」として登場させる。中には、説明会要員として専門のプレゼンターを外部から確保して臨む企業もある。

     すると、応募者はその場面だけを印象に残し、「こんなすごい人が普通にいるような会社なのかぁ~」と勝手に妄想を膨らませてしまう。

     一般企業でさえそうなのだ。ブラック企業の場合は、疑問を抱かれてしまってはマズいので、より巧妙に演出をする。その場合、セミナーや説明会で登場した「活躍している社員」は、おそらく、こう言うだろう。

     「会社が楽しくて仕方がない」
     「辞めたいと思ったことはない」
     「つらいことがあったとしても、自分の成長の糧になっている」
     「辞めたいことがあったとしても、それを乗り越えて更に成長できた」
     「働きやすくて、お勧めだ」

     確かに、彼らにとっては本音かもしれない。しかし、こうした言葉は、あくまで、その環境に適応し活躍している社員だからこそ言える。他の人が同じように感じられるかは、全く別問題なのだ。


    説明会・セミナーで見抜く4つのポイントとは?

     では、説明会やセミナーで、どんな所を注意すればよいのだろうか。その場合は次の4つのポイントに留意することをおススメする。
     

     ポイント(1) 人事担当者や社員が「高飛車」「威圧的」「無関心」「疲労感が漂う」という印象がある


     これは、深刻な問題を抱えている可能性が高い。

     そもそも、説明会は求職者に好印象を持ってもらい、自社への応募を促すために開催している。こんな印象を応募者に抱かせてしまうこと自体が問題であり、相当な課題を抱えていると思われる。

     例えば、「高飛車」威圧的」という印象は、その会社の社風や人間関係の縮図と考えられるし、明らかに配慮が足りない。さらに、それが問題だと指摘できる人がいないというマネジメントの問題でもある。

     「社員が疲れている」という印象ならば、ハードワークや、人間関係などの問題が潜んでいる可能性がある。いずれにせよ留意するに越したことはない。
     

     ポイント(2) 参加者の扱いが丁寧でない


     集まった応募者は、その日は選考対象者だが、もしかすると、何らかの形で、その企業のお客さんになるかもしれない。それにもかかわらず丁寧に扱わないということは、実際の顧客にも配慮がない表れである。
     

     ポイント(3) 選考に進むことを強要される


     これは応募希望者が少ない、辞退者が多い可能性を示している。説明会やセミナーの後、有無を言わさず面接や筆記試験が行われたり、書類提出を強要したりする場合は要注意だ。

     その場で選考を行うことは、「この機会を逃すと不利になる」と、応募者に思わせると同時に、「きちんと調べてから応募しよう」という時間と、判断材料を奪った状態で会社のペースに持ち込むことができる。だから、選考に進むように強く促されているように感じたら注意が必要だ。
     

     ポイント(4) あいまいな表現をする


     こういう対応をするのは、きちんと説明できない理由があるからだ。質問などに対して、具体的な数字をあげなかったり、抽象的な表現で煙に巻いたりする場合は怪しいと思ってよいだろう。例えば、次のような質問でわかる。

     質問:「残業はありますか?」

     「ありますが、大体夜の9時には全員帰っているレベルです」
     ×「時期にもよりますが、少ないほうだと思います」

     後者の場合、「時期」というのが年間どれくらい発生するのか。半年に1回程度なのか、ほぼ毎日なのか。また、「少ないほう」というのは、発言者の「残業」の基準が月400時間なのか、月30時間なのかによっても変わってくる。

     また、こういう質問でもわかる。

     質問:「休みは取りやすいですか?」

     「はい。土日は完全に会社が閉まってますし、有給取得率も100%です」
     ×「取りやすいほうですよ。自主的に土日出勤している人はいますが」

     後者の場合、ほぼ全員が土日に出勤しているなら「自主的に」休むことは難しいと考えていいだろう。会社選びを間違わないためにも、極力、具体的に確認することをおススメする。

     


    (新田龍・ブラック企業アナリスト)

     

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