• 「指を落として一人前」 安全を犠牲にした工場は「究極のブラック企業」

    2013年8月28日夜、大手自動車部品会社の富山県にある工場で、22歳の男性が仕事中に死亡したと報じられた。プレス機の型枠についた砂を取る作業をしていたところ、機械が動き出して上半身を挟まれたという。

    事故原因について、警察が実況見分を行っている。大型機械のメンテナンスをする場合、主電源を切り、機械のスイッチにカバーをかけ操作できないようにしつつ、万一に備えストッパーを置いておくはずだ。安全は適切に確保されていたのか。

     大阪では安全装置を取り付けない工場長(72)が逮捕

    同様の事故は、以前から数多く報じられている。ネット上には工場など業務中に悲惨な亡くなり方をした人の事例リストがあげられている。「3tのコイル切断機の刃に頭を挟まれ死亡」「重さ約4トンのロール紙に挟まれ死亡」「50度の油タンクの中に沈んで死亡」といったものだ。

    今年7月にも、プレス機に安全装置を取り付けず、女性従業員に左手の人さし指と中指を切断する大ケガを負わせたとして、大阪府の男性工場長(72)が逮捕された。

    この工場長は労基署の任意の調べに、「従業員の注意力がなかった。会社に責任はない」などと容疑を否認し、捜査にも協力しなかったという。普段からいかに従業員の安全をおろそかに扱っていたかが垣間見られる事件である。

    部品工場でのアルバイト経験のある男性によると、壁には「注意一秒、指一本」などの自作の標語が至る所に貼られていたが、多くの人がケガの跡を抱えていたという。ベテランの職人の中には、若手の従業員がケガをするのは当然といった発言をする人もいたという。

    「指を落として一人前」という意味の言葉も聞いた。「一度大きなケガをすれば、命を落とすような大事故を起こさないように注意するようになるから」だそうだが、一生取り返しのつかないケガなどしないに越したことはない。

    逮捕された老工場長のように、効率のためなら安全装置を取り付けなくても当然といった職場は、明らかにブラック企業である。身体を損傷したり命を落としたりするのだから、「サービス残業」などのレベルを遥かに超えている。

      「プレス工場の5年で指なくす人を3人見た」

    工場における業務の危険性については、ホワイトカラーの多いネットユーザーにはあまり知られていないが、それでも数多くの書き込みが見られる。

    ある工場現場では、「(労働基準)監督署が来るので(機械の安全)カバー付きで(作業を)やったので仕事が進まなくて困った」という発言を聞いたという。こんな感覚では事故も起こるだろう。その他、2ちゃんねるには、こんな書き込みも見られた。

    「小企業のプレス工場の事務5年をやっていたが、その間、指をなくす人を3人みた」
    「社長の方針で、生産のスピードアップのため、安全装置(プレス面に手が近づくと自動的に機械が停止する装置)を取り外し ており、10人の工員のうち7人までが指や手や腕などがなかったよ(若い姉ちゃんも!)」

    今回の死亡事故も、ハタチそこそこの若者がミスする可能性は十分にありうるのだから、ベテランを含む複数の人間が協力して安全を確保することは欠かせなかったはずだ。

    現場のルール違反を会社が黙認していたり、過度の効率アップを会社が現場に要求していたとすれば、会社の責任は厳しく問われるべきである。いくら競争が激しくなっても、従業員の安全を脅かすようなことがあってはならない。

    業務効率化のために安全装置を切るような現場があれば、最寄りの労働基準監督署に通報するか、「企業インサイダー」編集部にメールで告発してください。

    【働く人に役立つ「企業インサイダー」の記事はこちら】


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