• やっぱり働くことは「無理」 後ろめたさと葛藤の日々―外こもりのすすめ(9)

    1秒も働くのが嫌な貧BPさん。 どうしてそこまで労働を嫌っているのか?

    「学生時代は、夏休みを筆頭に1ヶ月程度の休みは必ずありますよね? それが就職したら日本の場合、60代で退職するまで、どんなに長くても1週間ほどの休みしか取れない。そんな日々が何十年も続きます」

    それを考えるだけで鬱になるという。

    働くという行為自体に「嫌悪感」

    しかし多くの人々は黙々と働く日々を過ごしている。それが不思議で仕方がないそうだ。毎年1か月程度の休みが欲しいし、毎日6時間程度働けばいい仕事があれば、と今でも思う。

    「ですがそんな仕事は日本ではまず無いし、何度も働いては辞めるうちに、働くという行為自体への嫌悪感やイライラが溜まっていきました」   

    そんな貧BPさんだが、マシだったと思える仕事もあった。外こもりになる直前の総務の仕事がそれだ。その仕事は経営の中枢に近かった。企業がどうやって成り立っているのかが分かり、こう納得したのだ。

    「経営者の才能というのは、私のように雇われている人とは全く別なのだということも分かりました。確かに経営者は自分の報酬も好きに決められ、出退社も自由。仕事とプライベートの区別など、自分の好き勝手だと思います」

    しかし逆に言えば、24時間がすべて仕事のようなものではないかと言う。常に仕事のことが頭から離れず、資金繰りのことなどを考え続けなくてはならない。

    「そんなことは自分には無理だし、ごめんですね」

    またせめてマシだったと思えるのは、コールセンターの仕事だ。仕事自体が面白いというわけではなかったが…。昼過ぎから夜までの仕事だったので朝も辛くなかったし、女子大生やフリーターの女の子がたくさん働いていて、彼女たちに囲まれて働くのはそれなりに楽しかった。

     

    「働く意義などありえない世界」もある

    逆に、新聞配達のアルバイトは「最悪」だったと話す。

    働いている人の中には「他に仕事が見つけられないんだろうな」という人が多かった。集金した金を競馬に使い込み、店長に朝からボコボコに殴られ「許してください、許してください」と懇願する人、配達している時間以外は寝ているかパチンコばかりしているかだけの60代の男性……。

    「一体何のために生き、働いているのか。もう死ぬのを惰性で待っているだけというような人だらけの環境で、働くことの意義などありえない世界があるという事実自体がショックでした」

    ただ、そうは言っても社会人のほぼ全ての人が働いている。それについてはどう思っているのか?

    「後ろめたさを感じないと言ったら嘘になります。まじめに働いている人が日本経済を支えてくれている。そのおかげで円の強さが維持され、私は途上国でお金をかけずに、外こもりや旅行ができています。それは本当に、日本で働いてくれている皆さんのお陰です。そのことには深く感謝してしまいます」 

    働くことが「自由意志」ではない

    しかし、自分にはやはり働くことは無理だという。葛藤しながら働き続けたら、ら鬱病に罹って自殺するという確信まであるとまで言い切る。働いていた時には、通勤途中に電車に飛び込んだり、階段から落ちてしまいたい衝動に何度も駆られたことがあった。特に、無理やり目覚まし時計で起こされ、ぼうっとした頭で出勤している時など最悪だそうだ。

    日々の生活に汲々としている普通の会社員に対してはどう思っているのか?

    「結婚して子供がいて生活保護をもらわずに自活しようとするなら、働かないといけない。好きな仕事を選べればともかく、何社も落ちやっと入れた会社。そんな会社に入ることや、そこで働くことが完全に自由意志かと言われると、それは違うと思います」

    貧BPさんは日本での社会生活をほぼ放棄し、今も葛藤の中で生き続けている。

     (第10回につづく)

    あわせてよみたい:外こもりが「セカシュー」で出会った海外ブラック企業

    本連載は、外こもりの中でもひときわ異彩を放つ「貧BPの人生オワタ\(^o^)/旅」という大人気ブログの書き手である貧BPさんに取材し、考え方や行動などを再構成し、一つの突き抜けた生き方を提示するもの。けっして働くことを否定する内容ではない。なお、貧BPという名前は、外こもり専用掲示板のハンドルネームに由来する。貧しいバックパッカー、略して貧BPである。

    [恵比須半蔵(えびすはんぞう) / ノンフィクションライター]

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