生活費は年間30万 貧BPさんが「外こもり」を選んだ理由【外こもりのすすめ(1)】 2013年9月4日 外こもりのすすめ ツイート 「ふだんの生活は、ゲストハウスのドミトリーに泊まっています。食事はもっぱら屋台で外食です。衣服も現地の安いものを身につけていますし、ビザ代を入れても、節約すれば外こもりの生活費は年に30万円くらいで十分です」 そう語るのは、外こもりで人気ブロガーの貧BPさん。現在はタイに住んでいる。ドミは1泊約400円。食事は麺類、カレー、炒飯などが一食100円くらい。お茶代、交通費を入れても、一日1000円にも満たないという。 ドミでは「下着姿の外国人女性」も 外こもりとは、日本で働いて貯めた資金や、デイトレードなどで海外にいながらにして稼ぐお金によって、物価の安い海外で“生活”している日本人の総称だ。 貧BPさんは「外こもり生活3年目」のアラフォー男性。人生をリセットしたくて、外こもりの生活を選んだのだという。旅行者と違うのは、あまり観光をしないこと。ただ、コミュニケーションは積極的に取るようにしている。 「ふだんは同じ宿の旅行者と、どこが安くて美味しいといった情報交換をします。日本人専用ドミは盗難もなく安心です。海外では、やはり心細かったり日本語で話すのが恋しくなったりしますし」 東南アジアでは、定職につかず昼間からぶらぶらしている人が多いので、日本と違い、外に出ても周囲の白い目を気にすることなく、気軽にコミュニケーションをとることができるそうだ。 日本人専用以外のドミに泊まることもあるそうだが、多少勝手が違う。 「下着姿でウロつく外国人女性もたまにいて、刺激的な日常に出くわすこともあります(笑)」 可能なかぎり「働かないことを中心にした生活を」 「お金のためだけに疲弊する日々を送る」 それが貧BPさんにとっての、「仕事」というものに対するイメージだ。当然のことながら、誰しも希望どおりの条件で働いているわけではない。それでもなんとか頑張っている。しかし彼は、外こもりになった。その違いはなんなのだろうか。 彼は、20代前半にバックパッカーとして、2ヶ月ほど東南アジアを旅し、海外ならではの開放感を味わい、カルチャーショックを受けた。それで、日本では味わえない体験のとりこになってしまった。 帰国すると、普通に働くことを前提とした生活が、もはやできなくなっていた。何度か正社員になったが、日々「サラリーマン生活の閉塞感」だけを感じていたという。 「そんなときに、旅というよりは長期で海外に滞在し、可能な限り働かないことを中心にした生活ができないかと考えたのです」 しかし、経済力という避けられない問題もあるはずだが、どうやってそれをクリアしたのか。一番気になるところだが、「実は失敗したんですよ」とここで初めて少し言いよどんだ。 外こもりにも「勝ち組」と「負け組」があった 最初に貧BPさんが計画したのは、日本で1000万円を貯めること。そのお金を利率の高い海外の銀行に預け、利息で暮らそうと思ったのだ。だが現実は、預金通帳を見ながらため息をつく日々。やがて東日本大震災による仕事現場の混乱もあり、緊張の糸が切れて仕事を辞めてしまった。 そのとき、過去の経験やネットの情報を頼りに、年に30万円もあれば、物価の安い国でなら一年間暮らしていけることに思い至り、目標額に遠く及ばないながらも当分働かなくてもすむ百十数万円というお金を手にタイに渡ったのだという。 だが、実は外こもりにも「勝ち組」と「負け組」があることを、貧BPさんはタイに渡ってから知ることになった。せっかく日本的な労働から解放されたにかかわらず、「勝ち組」「負け組」の選別が待っているとは皮肉な話だが、「勝ち組の外こもり」になるため、いま、頭を悩ませ、情報を収集し試行錯誤しているところである。 (第2回につづく) 【その他の「企業インサイダー」記事はこちら】 ◆ この連載は、外こもりのなかでもひときわ異彩を放つ、「貧BPの人生オワタ\(^o^)/旅」という大人気ブログを書いている作者の貧BPさんに取材し、その考え方、行動などを再構成し、一つの突き抜けた生き方を提示するものである。いうまでもなくけっして働くことを否定する内容ではない。 [恵比須半蔵(えびすはんぞう)/ノンフィクションライター]
生活費は年間30万 貧BPさんが「外こもり」を選んだ理由【外こもりのすすめ(1)】
そう語るのは、外こもりで人気ブロガーの貧BPさん。現在はタイに住んでいる。ドミは1泊約400円。食事は麺類、カレー、炒飯などが一食100円くらい。お茶代、交通費を入れても、一日1000円にも満たないという。
ドミでは「下着姿の外国人女性」も
外こもりとは、日本で働いて貯めた資金や、デイトレードなどで海外にいながらにして稼ぐお金によって、物価の安い海外で“生活”している日本人の総称だ。
貧BPさんは「外こもり生活3年目」のアラフォー男性。人生をリセットしたくて、外こもりの生活を選んだのだという。旅行者と違うのは、あまり観光をしないこと。ただ、コミュニケーションは積極的に取るようにしている。
「ふだんは同じ宿の旅行者と、どこが安くて美味しいといった情報交換をします。日本人専用ドミは盗難もなく安心です。海外では、やはり心細かったり日本語で話すのが恋しくなったりしますし」
東南アジアでは、定職につかず昼間からぶらぶらしている人が多いので、日本と違い、外に出ても周囲の白い目を気にすることなく、気軽にコミュニケーションをとることができるそうだ。
日本人専用以外のドミに泊まることもあるそうだが、多少勝手が違う。
「下着姿でウロつく外国人女性もたまにいて、刺激的な日常に出くわすこともあります(笑)」
可能なかぎり「働かないことを中心にした生活を」
「お金のためだけに疲弊する日々を送る」
それが貧BPさんにとっての、「仕事」というものに対するイメージだ。当然のことながら、誰しも希望どおりの条件で働いているわけではない。それでもなんとか頑張っている。しかし彼は、外こもりになった。その違いはなんなのだろうか。
彼は、20代前半にバックパッカーとして、2ヶ月ほど東南アジアを旅し、海外ならではの開放感を味わい、カルチャーショックを受けた。それで、日本では味わえない体験のとりこになってしまった。
帰国すると、普通に働くことを前提とした生活が、もはやできなくなっていた。何度か正社員になったが、日々「サラリーマン生活の閉塞感」だけを感じていたという。
「そんなときに、旅というよりは長期で海外に滞在し、可能な限り働かないことを中心にした生活ができないかと考えたのです」
しかし、経済力という避けられない問題もあるはずだが、どうやってそれをクリアしたのか。一番気になるところだが、「実は失敗したんですよ」とここで初めて少し言いよどんだ。
外こもりにも「勝ち組」と「負け組」があった
最初に貧BPさんが計画したのは、日本で1000万円を貯めること。そのお金を利率の高い海外の銀行に預け、利息で暮らそうと思ったのだ。だが現実は、預金通帳を見ながらため息をつく日々。やがて東日本大震災による仕事現場の混乱もあり、緊張の糸が切れて仕事を辞めてしまった。
そのとき、過去の経験やネットの情報を頼りに、年に30万円もあれば、物価の安い国でなら一年間暮らしていけることに思い至り、目標額に遠く及ばないながらも当分働かなくてもすむ百十数万円というお金を手にタイに渡ったのだという。
だが、実は外こもりにも「勝ち組」と「負け組」があることを、貧BPさんはタイに渡ってから知ることになった。せっかく日本的な労働から解放されたにかかわらず、「勝ち組」「負け組」の選別が待っているとは皮肉な話だが、「勝ち組の外こもり」になるため、いま、頭を悩ませ、情報を収集し試行錯誤しているところである。
(第2回につづく)
【その他の「企業インサイダー」記事はこちら】
◆
この連載は、外こもりのなかでもひときわ異彩を放つ、「貧BPの人生オワタ\(^o^)/旅」という大人気ブログを書いている作者の貧BPさんに取材し、その考え方、行動などを再構成し、一つの突き抜けた生き方を提示するものである。いうまでもなくけっして働くことを否定する内容ではない。
[恵比須半蔵(えびすはんぞう)/ノンフィクションライター]