証券マン「過剰接待」の実態 ストリップクラブで「1晩100万円」 2013年12月7日 企業徹底研究 ツイート ドイツ証券(東京)の営業担当者が5日、贈賄の疑いで逮捕された。三井物産の厚生年金基金幹部に、東京・六本木のクラブなど高級飲食店での飲食や、ゴルフのプレー代金、海外旅行代金など、高額接待を繰り返した罪だ。 しかしキャリコネ編集部で元証券マンに話を聞くと、そうした接待は日常茶飯事だという。かつては「1晩100万円」の接待が当たり前だった時代もあったようだ。 ストリップクラブ「3分7000円」の接待 サラリーマンであれば接待をしたり、されたりすることはあるだろう。民間人同士の接待は、特に法律で禁止されているわけではない。ただし、国家公務員に関しては、国家公務員倫理法により違法化されている。 今回の場合は双方が民間企業の会社員だが、逮捕された三井物産の厚生年金基金幹部は「みなし公務員」とされた。これは、その人の職務内容が公務に準ずる「公益性」や「公共性」を有している場合に適用される。 つまり、多くの社員のお金を預かる立場の人間が、個人的な接待などを理由に取引先を選んだりしてはいけない、というわけだ。だが、こうした「過剰接待」は、長きにわたり頻繁に行われてきた歴史がある。 「私のころは運用担当者をストリップクラブに連れて行って、気に入った女性と密室でプライベートダンスをさせるなど、当たり前のように行われてましたよ」 かつて外資系証券会社の社員だった男性はこう語る。当時は、六本木で接待をすることが多かったそう。接待をする運用担当者がある女性を気に入ると、別室でサービスを受けさせるのだという。 「それが当時、3分で7000円という金額でした。1時間2時間と長くなれば、1晩100万円なんて当然のように飛んでいきましたね」 現在ではさすがに、その店では領収書は切れなくなったという。しかし、あの手この手で網をかいくぐり、いまも接待は行われているそうだ。 「運用担当者に非日常を味わわせて、『この営業なら発注したい』と思わせるのが大事。ソープやホテトルに連れて行くことも辞さない、という感じでしたね」 「接待されたら金出す」という不文律 こうした接待が止まない理由は、証券会社が商品で差別化を図りにくいという理由もある。 厚生年金基金は中長期的に安定給付を図るために、効率的な運用を行わなければならない。そこで適切な収益を得るために、年金資産の運用を証券会社や投資運用会社に預けることになる。 しかし、証券会社、投資運用会社の商品は、明確に差別化できるものは少ない。せいぜい、リスクとリターンを天秤にかけるくらいのものだ。 「そうすると、いつしか『証券営業がどれくらい接待をしてくれたか』に判断基準が変わるんです。お金を動かせる幹部や運用担当者は『接待づけ』ですよ」 しかも運用担当者と証券営業の間には、「接待されたらお金は出す」という暗黙のルールが長年存在するそうだ。これでは接待はなくならない。 さらに一度受注すれば、中長期的に渡って大きな手数料収入が入ってくるわけだ。接待をする側も、運用担当者に「投資」をする価値があるということになる。 「だから、今回の逮捕も氷山の一角。『これが引き金になるのでは…』と恐々としている証券営業もいるんじゃないですか」 ある弁護士によると、接待が過剰かどうかは「社会的儀礼の範囲内か否か」、つまり業務、立場、対価性など、複合的な要因が考慮されるという。ただ、 「特捜案件など、狙われている人であれば別件逮捕の意味で数千円でも逮捕することはあり得る」 と話す。心当たりのある証券営業は、しばらく眠れない日々が続きそうだ。 あわせてよみたい:営業は肌荒れ、ぼうこう炎が当たり前の有名企業
証券マン「過剰接待」の実態 ストリップクラブで「1晩100万円」
ドイツ証券(東京)の営業担当者が5日、贈賄の疑いで逮捕された。三井物産の厚生年金基金幹部に、東京・六本木のクラブなど高級飲食店での飲食や、ゴルフのプレー代金、海外旅行代金など、高額接待を繰り返した罪だ。
しかしキャリコネ編集部で元証券マンに話を聞くと、そうした接待は日常茶飯事だという。かつては「1晩100万円」の接待が当たり前だった時代もあったようだ。
ストリップクラブ「3分7000円」の接待
サラリーマンであれば接待をしたり、されたりすることはあるだろう。民間人同士の接待は、特に法律で禁止されているわけではない。ただし、国家公務員に関しては、国家公務員倫理法により違法化されている。
今回の場合は双方が民間企業の会社員だが、逮捕された三井物産の厚生年金基金幹部は「みなし公務員」とされた。これは、その人の職務内容が公務に準ずる「公益性」や「公共性」を有している場合に適用される。
つまり、多くの社員のお金を預かる立場の人間が、個人的な接待などを理由に取引先を選んだりしてはいけない、というわけだ。だが、こうした「過剰接待」は、長きにわたり頻繁に行われてきた歴史がある。
かつて外資系証券会社の社員だった男性はこう語る。当時は、六本木で接待をすることが多かったそう。接待をする運用担当者がある女性を気に入ると、別室でサービスを受けさせるのだという。
現在ではさすがに、その店では領収書は切れなくなったという。しかし、あの手この手で網をかいくぐり、いまも接待は行われているそうだ。
「接待されたら金出す」という不文律
こうした接待が止まない理由は、証券会社が商品で差別化を図りにくいという理由もある。
厚生年金基金は中長期的に安定給付を図るために、効率的な運用を行わなければならない。そこで適切な収益を得るために、年金資産の運用を証券会社や投資運用会社に預けることになる。
しかし、証券会社、投資運用会社の商品は、明確に差別化できるものは少ない。せいぜい、リスクとリターンを天秤にかけるくらいのものだ。
しかも運用担当者と証券営業の間には、「接待されたらお金は出す」という暗黙のルールが長年存在するそうだ。これでは接待はなくならない。
さらに一度受注すれば、中長期的に渡って大きな手数料収入が入ってくるわけだ。接待をする側も、運用担当者に「投資」をする価値があるということになる。
ある弁護士によると、接待が過剰かどうかは「社会的儀礼の範囲内か否か」、つまり業務、立場、対価性など、複合的な要因が考慮されるという。ただ、
と話す。心当たりのある証券営業は、しばらく眠れない日々が続きそうだ。
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