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「ワタミ礼賛インタビュー」に読者ドン引き プレジデント誌の「ほめ殺し」なのか?
過酷で違法な労働環境があったことを事実上認め、トップが改善を宣言した「すき家」のゼンショー。その一方で、かたくなに「ブラック企業」批判を受け入れず、悪いイメージの払拭にやっきとなっている会社がある。それが居酒屋チェーンなどを運営する「ワタミ」だ。
2014年8月4日号の「プレジデント」には、店長の単独インタビューが掲載されているが、この内容にネットで批判が広がっている。現場でコンプライアンスがおろそかにされていると指摘されかねないことを胸を張って述べる店長のみならず、記事を掲載したプレジデントに対し「何をやっているんだ」と非難する声も多い。(ライター:末広馬ノ介)
本社の監査担当に「焼き鳥運ばせた」とドヤ顔
件の記事は、「ワタミ店長実名告発!『僕は目の前の焼き鳥が冷めていくのが耐えられない』」と題されたもの。しかし中身をいくら読んでも、悪事や不正をあばくような「告発」がひとつも出てこない。
居酒屋「わたみん家」の大船店で店長をしている男性は、店舗が適切に運営されているかチェックしようと訪れた本社の監査部門に対し、熱い焼き鳥を渡してこう言い放ったという。
このことは会社でも「店舗の閉鎖が決定しかけるぐらいの大問題」になったというが、結局はおとがめナシで店は続いている。店長は「もっと上の人たちは理解が」あるからだという。前年同月比で130%の売り上げは、全国でもトップクラス。やってやった、というドヤ顔が見えてきそうだ。
しかし業務の実態と問題点を把握するためには、営業時間中に監査を行うのは当然のこと。顧客対応や売り上げが大事とはいえ、実態チェックをおろそかにしてもいいという姿勢では、監査部門も黙っていないだろう。
それを「実名告発」と言うのであれば、上場企業としてのコンプライアンス体勢に対する信頼性を損ないかねないものだ。
もしこのインタビューが、ワタミの法務や広報がチェックした上で出されたのであれば、「うちの現場はコンプライアンスなぞクソクラエでやっております」と高らかに宣言したと受け取られてもおかしくないエピソードだ。
またしても「ブラックだなんて声は関係ない」
さらに店長は、かつてワタミグループで起きた過労死については「痛切な反省をしなくてはいけません」と自戒を込めるが、直後にこう宣言している。
十分休養を取らせなかったために体調を崩した人の話の後に、週休2日制を「会社に必要とされているかすらわからない」人がやることのようにいうのは、いかがなものか。暗に渡邉美樹氏の「24時間365日死ぬまで働け」を理想とし、それと対比させてついてこられない人はダメと言っているように思えてしまう。
しかし勘違いしないでほしい。誰も「一生懸命働くことがダメ」とは言っていない。自然と過労状態に追い込む企業風土や仕組みが悪いと批判していると、なぜ理解できないのか。
このほか、5歳の息子と3歳の娘と「もっと話したいし、だっこしてあげたい」が、がむしゃらに仕事する背中から「いつか何か感じ取ってくれるだろうと信じています」という。
「典型的な宣伝糞記事ですね」の声もあるが
当然はてなブックマークやツイッターなどでも、ワタミの顧客とも重なりそうな世代の人たちが、冷ややかなコメントを残している。
また、この記事を「告発」と題して掲載したプレジデントの方が問題は大きいという声もある。「模範店長の毒抜き記事じゃん…本部広報検閲済みだろ」「典型的な宣伝糞記事ですね」「ネイティブ広告なら【PR】の文字入れないと」というわけだ。
キャリコネ編集部がワタミ元社員に感想を求めると、「これは告発というより、宣伝の印象ですね。現役の社員だから仕方ないですが(笑)」と諦め顔だった。
一方で、これだけ露骨でツッコミどころ満載な記事は、プレジデントのジャーナリズム精神がなしえた「ほめ殺し作戦」としか思えないという見方もある。みなさんはどう感じただろうか。
あわせてよみたい:すき家現役社員が告発! 改善案は「反省ショー」だ
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