• 日経ビジネスがIT全否定の「昭和な企業」特集 50代読者に「溜飲を下げてもらう」企画なのか

    大量に送られてくるCCメールに、無駄に分厚いパワーポイント資料。ITツールで仕事の効率がアップしているのか疑問に思うことは多々あるが、そんな中、日経ビジネス(2月17日号)の特集「昭和な会社が強い スマホ・パソコンを捨てる」が話題を呼んでいる。

    表紙は、昔懐かしい黒電話。冒頭から「本当に『あの頃』より効率は上がったのか」とし、ITを使わずとも高い収益性を上げている「昭和な会社」を紹介している。

    スマホが蔓延すると「会社がおかしくなる」

    最初に登場したのは、スマホをやめた社員に5000円支給する制度を始めた岐阜県の部品メーカー、岩田製作所だ。昨年7月に導入後、90人いる社員のうち23人が申請した。旧来のガラケーを使うのは問題ないが、それも通話とメールだけで、ゲームなどは禁止だ。

    スマホが普及してから、休憩時間もゲームやネットをする社員ばかりになり、「これ以上、職場にスマホが蔓延すると会社がおかしくなる」と危惧した社長が思いついたという。

    埼玉県でBMWを販売している自動車ディーラー、和幸モトーレンでは全ての購入客を3か月に1回訪問。不在時には似顔絵入りの手紙を郵便受けに入れて、訪問を印象づける「ドブ板営業」を行なっている。最近は電話やメール、ダイレクトメールを使った営業が一般的だが、「昭和の営業」によって業績も好調なようだ。

    これまで、たびたびスマホやタブレットなどのIT特集を大々的に打ち出してきた同誌の傾向からすると、かなり反動的、懐古的な内容だ。ネットには「マネジメントの参考になる」と好意的な声も少しあったものの、

    「どうかしてる。言いたいことはわかるけど、時間は戻りまへんがな」
    「これを100%真に受ける上司がいたら大変だ」

    と、ネガティブな反応がほとんどだ。

    特集の後には「タブレット」の広告も

    記事中にはITの必要性を説く部分もあるが、捉え方は「意欲の低い社員にはなくてはならぬ仕組み」というもの。今どきの若者のために「しようがないから導入してやる」というような揶揄する論調も感じられる。

    なぜこんな特集が組まれたのだろうか。媒体資料によると、日経ビジネスの購読者の平均年齢は50.6歳。80年代なかばに就職し、90年代以降のIT化に適応できない人もいる世代だ。20代後半の男性編集者は、特集の意図についてこう分析する。

    「今どき、わざわざ紙のビジネス誌を手に取るのは、ITに弱いオジサンだけですよ。そうした層向けに、ITを駆使する若者を批判する記事を提供して溜飲を下げてもらう、というのが狙いでしょうね」

    誌面にもチグハグさが現れている。記事では在宅勤務などを可能にする「ネットワーク化」で社員が「サボりやすくなる」と揶揄していたが、すぐ次のページに、タブレットで外出先からも会議に出席できるネットワークサービスの広告が掲載されていた。

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