• 「デキる社員」と「ダメ社員」の習慣(1)「不満」を言うか「やりがい」を見出すかですべてが変わる

     私は、新入社員の頃は、よく…というより毎日、怒られていたものです。

     直属の上司が厳しくて、計算ミスがあると「なんだこれ。ふざけるな!」

     電話応対でモタつくと「何やってんだ!」

     提出資料が揃わないと「仕事をナメるな!気合入れてやれ!」

     と、何かというと怒られていました。

     やる気はあって頑張ってるのに、こうも怒られてばかりではやり切れません。

     「この上司は、私のことが嫌いなんだ…」と、私は暗澹たる気分になって、毎日午前中は「怒られる時間」と諦めて過ごしてました。何度「辞めよう!」と心に決めたかわかりません。毎日不満を抱きながら出社してました。


    上司の叱咤は期待の表れだと気付いた!

     二年目に入り、私は、はじめて後輩を迎えました。明るく元気で素直な男子です。厳しすぎる上司にうんざりしていた私は、後輩に対しては常に親身に接し、「わからないことはある?」「困ったら何でも相談しろよ」とマイルドな対応を心がけました。

     後輩も成長意欲が高くて、熱心に頑張りました。当初は優しく接していた私でしたが、その姿に安心もあったんでしょう。だんだんと、彼への要求水準は厳しくなりました。

     計算ミスがあると「なんだこれ。ふざけるな!」

     電話応対でモタつくと「何やってんだ!」

     提出資料が揃わないと「仕事をナメるな!気合入れてやれ!」

     おや、私がこの後輩に言っているセリフ、どこかで聴いたような…。

     そうなんです。上司が私に対して言っていたことと、まったく同じ。その時、初めて気づきました。私がこの後輩に期待しているように、「上司も、私に対して大いに期待していた」ということを。

     「コイツは伸びる!」と信じているからこそ、厳しく要求する。「可愛いヤツほど厳しくなる」もんなんです。

     そして「これくらいこなせるだろう」と思っているからこそ、できなかった時に「お前のチカラはこんなもんじゃないだろう!」と叱責する。

     すべては、「期待」なんです。しかし、私は不満ばかりで、その期待に充分応えられていなかったのです。


    見方を変えれば「やりがい」が見つかる、すべては自分次第

     猛烈に反省した私は、「依頼してくれた人の期待に応える」ことを大切にするようになりました。

     「その資料は誰が読むのか?」

     「どう使われるのか?」

     そんなことを意識し配慮して社内の資料を作成しまし。その資料に対し、あの厳しかった上司が「おお、これはいいね!」と喜んでくれた時の嬉しさは、いまだに忘れられません。私の仕事の原体験です。

     そんなことがあって以降、私にとって「できれば避けたい、不満の原因」は、「乗り越えるべきカベであり、成長の糧」へと認識が変わりました。

     やってること自体は変わらないんですが、捉えかたが変わったんです。そして、このような気づきになりました。

     世の中には、すごく「いい会社」も、すごく「悪い会社」もない。

     同様に、「楽しい仕事」も「辛い仕事」もない。

     それを「いい」「悪い」または、「楽しい」「辛い」と感じる自分がいるだけだということに。すべては自分の捉えかた次第なんですね。

     ムチャ振りする上司、口うるさい先輩…あなたに嫌われる可能性があるのに、厳しいことを言ってくる人たちは、あなたに期待し、成長を祈ってくれているのです。

     あなたは、その期待に最大限で応えましょう。そうすれば、厳しいと思っていた上司や先輩やお客さんは、あなたを応援してくれる存在になるでしょう。

     そして、それは「仕事」だけでなく「会社」だって同じです。それ自体は何も変わらない。あなたがどう捉えるかだけなのです。

     同じ時間を過ごすなら、少しだけ見かたを変えてはどうでしょうか。もしかしたら、意外と身近で「やりがい」が見つかるかもしれませんよ。

    (新田龍・人事コンサルタント)

     

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