「デキる社員」と「ダメ社員」の習慣(2)ダメ社員は「なるはや」 デキる社員は期限を決める 2012年8月24日 仕事のエコノミクス ツイート 念のために説明しておくと、「なるはや」とは、ビジネス上でよく使われる省略語の1つです。 「なるべく早くしてね」の短縮形で、相手の早い対応を促すときに使います。類義語は「ASAPで」(As soon as possibleの頭文字)です。 私はダメ社員時代、「オトナ語」というんでしょうか、この手のビジネス限定省略語を使いこなすことで、デキる社員気分を味わっていました。 「資料、なるはやで対応お願い。午後イチにブレストしてコンセンサスとるからさぁ」 「メール投げてフィックスしてたあの件、ちょっとペンディングなんだよね…」 さて、問題は、「なるはや」です。この言葉に限らず、普段あまり意識せずに「受け手がなんとでも解釈できる、あいまいな依頼」をしてることって意外と多いですよね。 私自身のことを思い返しても、誰かに依頼する際、配慮のない説明のせいで迷惑をかけてしまったことが多々ありました。たとえば、こんな感じです。 「この資料をコピーして、■■株式会社の○○課長宛に送っといて。なるはやで頼むわ」 もしかすると「こんな感じの依頼だったら、いつも意識せずにやってるな~」と感じている読者もいるかもしれません。 そんなあなたは実に危険です! この例文だと、依頼を受けた相手の「捉えかた」は、数百通り以上になるでしょう。 ●コピーして送るのは、「コピーしたほう」? それとも「資料の原本」?●送り先は、どの課の○○さん?●「なるはや」でやるのは、「コピーすること」? それとも「送付すること」?●そもそも「なるはや」とは、「1時間以内」?「今日中」? それとも「今週中」? ビジネス上のコミュニケーションで、あいまいな部分を残してしまうのはよくありません。 あなたの思う「なるはや」は何時間以内なのでしょうか。依頼された相手の時間感覚は、おそらくあなたと違うでしょう。 もし、「いつも期待通りの成果が出てないなあ」と思っているのであれば、相手の仕事が遅いのではなくて、あなたの依頼の仕方、伝え方に問題があるのかもしれません。 ◇ 日にち、時間を細かく設定することでビジネスは上手くいく 今の私なら、こんな感じに依頼します。 「お願いが二つある。一つめは、この資料をコピーして、原本を私に返してほしい。二つめは、コピーを■■株式会社人事部の○○課長宛に送ってほしい。その際は資料を折らずに、クリアファイルに入れて。ふたつとも、今日の18時までに完了させてくれるかな」 このように、「何を」「誰に対して」「どのように」対処すればいいのか。 そして、「いつまで」は、より明確に、「何月何日の何時まで」と区切ることが必要です。 これは何かを人に依頼する場合に限らず、自分自身の予定調整の際にも有効な配慮になります。 例えば、打ち合わせ可能な時間を「10時~12時」と伝えたとしましょう。 これだけでは、相手は「12時までに終了しなくてはいけないのか」「12時開始でも大丈夫なのか」の判断がつかない場合があります。 私なら「10時から12時終了まで」とか、「10時~12時(開始時間)」などと表記しています。 同様に、「少しなら大丈夫」といったとしても、その「少し」とは「2分」なのか「2時間」なのか、相手との認識に差があります。そのため、「20分ならお話できます」と明確に区切るようにします。その方がわかりやすいためです。 ビジネスに「だいたいこんな感じで」はありえません。それは「適宜」ではなく「適当」なのです。 あなたは、もしかしたら「あんまし厳しく期限を切ると、威圧的になるかも…」と配慮しているつもりかもしれませんが、あいまいな言葉がミスコミュニケーションになってしまっては本末転倒です。そこはビジネスですから、キッチリと期限を切りましょう。 一方、あなたがあいまいな依頼を受けてしまったら、お互いの感覚違いによるミスが起きないように具体的な期限を設定してもらいましょう。 もしかしたら、相手も「なるはやで」がクセになってるだけで、「そんな、なるはやでなくてもいいか」と考え直すかもしれません。 「期限のない予定」「締切のない仕事」は、存在しないのと同じです。お互いの時間間隔を合わせながら、余計なストレスなく仕事したいですよね。 (新田龍・人事コンサルタント)
「デキる社員」と「ダメ社員」の習慣(2)ダメ社員は「なるはや」 デキる社員は期限を決める
念のために説明しておくと、「なるはや」とは、ビジネス上でよく使われる省略語の1つです。
「なるべく早くしてね」の短縮形で、相手の早い対応を促すときに使います。類義語は「ASAPで」(As soon as possibleの頭文字)です。
私はダメ社員時代、「オトナ語」というんでしょうか、この手のビジネス限定省略語を使いこなすことで、デキる社員気分を味わっていました。
「資料、なるはやで対応お願い。午後イチにブレストしてコンセンサスとるからさぁ」
「メール投げてフィックスしてたあの件、ちょっとペンディングなんだよね…」
さて、問題は、「なるはや」です。この言葉に限らず、普段あまり意識せずに「受け手がなんとでも解釈できる、あいまいな依頼」をしてることって意外と多いですよね。
私自身のことを思い返しても、誰かに依頼する際、配慮のない説明のせいで迷惑をかけてしまったことが多々ありました。たとえば、こんな感じです。
「この資料をコピーして、■■株式会社の○○課長宛に送っといて。なるはやで頼むわ」
もしかすると「こんな感じの依頼だったら、いつも意識せずにやってるな~」と感じている読者もいるかもしれません。
そんなあなたは実に危険です! この例文だと、依頼を受けた相手の「捉えかた」は、数百通り以上になるでしょう。
●コピーして送るのは、「コピーしたほう」? それとも「資料の原本」?
●送り先は、どの課の○○さん?
●「なるはや」でやるのは、「コピーすること」? それとも「送付すること」?
●そもそも「なるはや」とは、「1時間以内」?「今日中」? それとも「今週中」?
ビジネス上のコミュニケーションで、あいまいな部分を残してしまうのはよくありません。
あなたの思う「なるはや」は何時間以内なのでしょうか。依頼された相手の時間感覚は、おそらくあなたと違うでしょう。
もし、「いつも期待通りの成果が出てないなあ」と思っているのであれば、相手の仕事が遅いのではなくて、あなたの依頼の仕方、伝え方に問題があるのかもしれません。
◇
日にち、時間を細かく設定することでビジネスは上手くいく
今の私なら、こんな感じに依頼します。
「お願いが二つある。一つめは、この資料をコピーして、原本を私に返してほしい。二つめは、コピーを■■株式会社人事部の○○課長宛に送ってほしい。その際は資料を折らずに、クリアファイルに入れて。ふたつとも、今日の18時までに完了させてくれるかな」
このように、「何を」「誰に対して」「どのように」対処すればいいのか。
そして、「いつまで」は、より明確に、「何月何日の何時まで」と区切ることが必要です。
これは何かを人に依頼する場合に限らず、自分自身の予定調整の際にも有効な配慮になります。
例えば、打ち合わせ可能な時間を「10時~12時」と伝えたとしましょう。
これだけでは、相手は「12時までに終了しなくてはいけないのか」「12時開始でも大丈夫なのか」の判断がつかない場合があります。
私なら「10時から12時終了まで」とか、「10時~12時(開始時間)」などと表記しています。
同様に、「少しなら大丈夫」といったとしても、その「少し」とは「2分」なのか「2時間」なのか、相手との認識に差があります。そのため、「20分ならお話できます」と明確に区切るようにします。その方がわかりやすいためです。
ビジネスに「だいたいこんな感じで」はありえません。それは「適宜」ではなく「適当」なのです。
あなたは、もしかしたら「あんまし厳しく期限を切ると、威圧的になるかも…」と配慮しているつもりかもしれませんが、あいまいな言葉がミスコミュニケーションになってしまっては本末転倒です。そこはビジネスですから、キッチリと期限を切りましょう。
一方、あなたがあいまいな依頼を受けてしまったら、お互いの感覚違いによるミスが起きないように具体的な期限を設定してもらいましょう。
もしかしたら、相手も「なるはやで」がクセになってるだけで、「そんな、なるはやでなくてもいいか」と考え直すかもしれません。
「期限のない予定」「締切のない仕事」は、存在しないのと同じです。お互いの時間間隔を合わせながら、余計なストレスなく仕事したいですよね。
(新田龍・人事コンサルタント)