• 「デキる社員」と「ダメ社員」の習慣(4)ダメ社員は「忙しい!」を連発し、デキる社員はヒマをアピールする

     サラリーマン時代は常に忙しい日々でした。

     最初に勤めた会社では、朝6時から仕事が始まり、昼食も夕食もデスクで弁当をかきこむように食べ、夜中の2時くらいまで仕事をしていました。

     通勤時間がもったいないのでオフィスで寝袋、なんて働き方をしてたこともあります。

     しかも、恐ろしいもので、「忙しい、忙しい」と常につぶやき、周囲に「オレは忙しいんだぜオーラ」をふりまくことで、なんとなく自分が「あらゆる仕事を任される、できる男」のような、完全な勘違いをするようになっていました。

     そして、たまに友人に会ったりすると、当然のように忙しさ自慢&寝てない自慢ばかりしていたものです。

     「いや~忙しいよ~!一日20時間労働だもんね~。あ~、寝てないわ~。今日も2時間しか寝てないわ~」

     聞かされた友人にとっては、実にウザい話ですよね。

     なぜ当時はそれに気づかなかったのか。しまいには、社内の人、しかも上司にまで忙しさをアピールするまでになってしまいました。

     調べものを依頼してきた常務に対して

     「スミマセン…。今すごく忙しいんで、コレが終わってからでいいですか?」

     なんて言い放ったことなど、今、思い返すと汗顔の至りです。

     平社員より常務のほうが忙しいのは決まってるのに「忙しいアピール」→「それくらい仕事してる」→「周囲も評価してくれるはずだ」と思いこんでいました。

     気がついたら、最後には次のようになっていました。

     「忙しいんだから、ちょっとくらい遅れても仕方ないよね」

     →納期までに仕事を絶対終わらせる、という意識が薄いうえ、ギリギリになってから取り掛かるため、クオリティも低くなる。

     「忙しくてさ、ちょっと対応が後手になっちゃったんだよね~」

     →優先順位を考えずに片っぱしから仕事を入れるため、スケジュール通りに進まず、トラブルにつながる。

     「この忙しいのにさ、現場は『そんなのは聴いてない!』とか『なんでもっと早く言わないんだ!』とか言ってくるんだぜ~」

     →必要最低限の「報・連・相」や、関連各所への事前調整ができておらず、仕事が進んでから混乱が拡大する。

     私は忙しい状態に満足し、さらに忙しいことを「都合のよい言い訳」にするばかりで「そんな状態から脱却しよう」とか「何か改善しよう」と考えることさえしなかったのです。

     まさに思考停止状態。こういう働き方は「仕事をしてる」とはいいません。単に「作業をやっつけてる」だけです。

     そんなバタバタの状態でやっつけた仕事で、ついに大失敗をしてしまいました。そして、仕事の進め方を見直さざるを得なくなりました。


    仕事で重要なのは「前倒し」「優先順位付け」「確認」

     ようやく冷静になり、できる先輩たちを観察していると、皆さん忙しいはずなのに、すごくクールというか、常に冷静でした。

     そこでようやくわかったのです。

     仕事ができるから冷静なのではなく、「冷静だから余裕をもって仕事ができる」ということに。

     私自身、今は十分コントロールできるようになりました。「忙しい!」と叫んでた頃の逆をやればいいので、簡単です。

     すなわち、「前倒し」「優先順位付け」、そして「確認」です。

     納期よりかなり前から作業に取りかかれば、修正しながら進めていけます。

     そして、トラブルなど緊急事態にも余裕をもって対応できますから、クオリティの高い仕事ができます。

     また、優先順位を考え、他の人や他の部署、他の会社を巻き込むような時間のかかることから先に取り組めば、自分以外の原因で待たされることなくスムースに進められます。

     そして、その都度で、関連各所に確認をとりながら進めれば、あとで大規模な修正をしなければいけないなどの余計な時間と手間を省くことができるのです。いずれも、ちょっとしたひと手間で効果は絶大です。

     仕事がデキる人にとって、「忙しい」と言うことは、「無能の証明」です。それは、予定管理も優先順位付けも確認もできない、ということだからです。ぜひ今日からはやり方を変えて、ヒマをつくってアピールしましょう。

     (新田龍・人事コンサルタント)

     

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