「デキる社員」と「ダメ社員」の習慣(5)ダメ社員は他人を責め、デキる社員は自分を責める 2012年9月14日 仕事のエコノミクス ツイート 何かうまくいかないことがあったとき、ダメ社員は「自分以外の、何か別の物事のせい」にすることが、とても得意です。 私もまさにそのタイプでした。 なかなか目標数字を達成できなかった時は「お客さんの社内会議で話が覆ってしまって」「ちょっと時期尚早だった」「こないだの台風で」などなど、考えつく限りのボキャブラリーを駆使して言い訳していました。 結局は「環境と相手が悪い」のが原因としていたのです。この言い訳のために費やした才能とエネルギーを仕事に向けてたら、さぞいい成果につながったことでしょう。 うまくいかない原因を他に求めることを「他責」といいます。これは商談に限らず、人生全般において見受けられます。 「大学出じゃないから…」 「上位校出身じゃないから…」 「資格がないから…」 「英語使えないから…」 「三流企業だから…」 「既婚だから…」 「独身だから…」 もう、何でもかんでも、「できない」ことの理由になってしまうのです。 これは、心の内で単に「やらない」「やりたくない」だけなのだけど、そういうと角が立つから、オブラートに包んだつもりで言ってるわけです。もしくは、そう思い込んでいるのです。 もちろん、私がまさにそうでしたから、気持ちはよくわかります。 一方、デキる社員は「自責」で考えます。 「自責」とは、「起こってることすべてを『自分の責任』として捉える」ということです。 「目標数字を達成できなかったのは、お客さんじゃなくて自分の責任」 「モテないのは、親がこんな顔に産んだからじゃなくて、自分の責任」 自分ではない、何か他のことに責任転嫁しているうちは、問題を解決することは絶対できません。 「問題の根源は自分がコントロールできない他のところにある」という考えだからです。そうすると、最終的な結果は「運に任せる」しかなくなるわけです。 しかし、問題の原因を「自分の責任」と、捉えれば、「じゃあ、この問題に対して自分は何ができるだろう?」と考えられるようになります。 この場合、「他責」に比べて、少なくとも自分でコントロールできる範囲は広がります。もしかしたら、解決に至る道筋が見えてくるかもしれません。 このように、「自責」で考えられるようになると、「何ができるだろう?」「どうしたら成果につながるだろう?」と考えるクセがつくので、現状に対して改善の余地がどんどん生まれるわけです。 ◇ 「自責」と「問題の根源」で考えることが重要 「伸びる社員」と「ダメ社員」の分岐点は、ほんの少しの習慣の違いなのです。 では、ちょっと例題をやってみましょうか。 ここに、経営がうまくいってないお客さんがいます。 このままだと会社が倒産するかもしれません。ただ、あなたの会社で扱っている商材を導入してもらえれば、経営状況は好転間違いなしです。 だから、あなたは、このお客さんに提案をしているのですが、なかなか「OK」と言ってくれない、という状況です。ではこんな時、あなたはどう考えれば良いのでしょうか。 「なんで、このお客さんは危機感がないんだろう?」 これは、「他責」です。 「どうしたら、このお客さんは危機感をもってくれるだろう?」 これは一見解決へと向かっているようですが、「お客さん」が主語になっている以上、まだ「他責」です。 「自責」だと、こうなります。 「なぜ、私はお客さんに危機感を持たせられないんだろう?」 「どうしたら、私はお客さんに危機感を持たせられるだろう?」 「自責」については、世間一般のアドバイスを見ると、「自分がすべての責任を負え!」というものばかりが目立ちます。 「腹をくくる」、ということで、個人的には素晴らしいとは感じます。 でも、中には考えすぎてしまって、「お客さんが危機感を持たないのは私の責任だ!私は無力だ」と自信をなくしてしまう人、責任を重たく感じすぎてしまう人が出てきてしまうこともあります。 そんな時は、「自責」と併用して「“事”責」、すなわち「問題の根源」を仮定して考えていくのが良いでしょう。 先ほどの例なら、 「何が、このお客さんに危機感を持たせないようにしているんだろう?」 「何があれば、このお客さんに危機感を持たせられるだろう?」 となります。 このように考えれば、過大なストレスを抱えることもなくなるでしょう。 仕事も人生も、自分以外の何者かに身を委ねることなく、自分で決めることは重要です。 私たちは、豊かな「想像力」と「創造力」を持っています。その力を無駄使いするのはもったいないことです。ぜひ「自責」と「事責」のバランスで切り開いてください。 (新田龍・人事コンサルタント)
「デキる社員」と「ダメ社員」の習慣(5)ダメ社員は他人を責め、デキる社員は自分を責める
何かうまくいかないことがあったとき、ダメ社員は「自分以外の、何か別の物事のせい」にすることが、とても得意です。
私もまさにそのタイプでした。
なかなか目標数字を達成できなかった時は「お客さんの社内会議で話が覆ってしまって」「ちょっと時期尚早だった」「こないだの台風で」などなど、考えつく限りのボキャブラリーを駆使して言い訳していました。
結局は「環境と相手が悪い」のが原因としていたのです。この言い訳のために費やした才能とエネルギーを仕事に向けてたら、さぞいい成果につながったことでしょう。
うまくいかない原因を他に求めることを「他責」といいます。これは商談に限らず、人生全般において見受けられます。
「大学出じゃないから…」
「上位校出身じゃないから…」
「資格がないから…」
「英語使えないから…」
「三流企業だから…」
「既婚だから…」
「独身だから…」
もう、何でもかんでも、「できない」ことの理由になってしまうのです。
これは、心の内で単に「やらない」「やりたくない」だけなのだけど、そういうと角が立つから、オブラートに包んだつもりで言ってるわけです。もしくは、そう思い込んでいるのです。
もちろん、私がまさにそうでしたから、気持ちはよくわかります。
一方、デキる社員は「自責」で考えます。
「自責」とは、「起こってることすべてを『自分の責任』として捉える」ということです。
「目標数字を達成できなかったのは、お客さんじゃなくて自分の責任」
「モテないのは、親がこんな顔に産んだからじゃなくて、自分の責任」
自分ではない、何か他のことに責任転嫁しているうちは、問題を解決することは絶対できません。
「問題の根源は自分がコントロールできない他のところにある」という考えだからです。そうすると、最終的な結果は「運に任せる」しかなくなるわけです。
しかし、問題の原因を「自分の責任」と、捉えれば、「じゃあ、この問題に対して自分は何ができるだろう?」と考えられるようになります。
この場合、「他責」に比べて、少なくとも自分でコントロールできる範囲は広がります。もしかしたら、解決に至る道筋が見えてくるかもしれません。
このように、「自責」で考えられるようになると、「何ができるだろう?」「どうしたら成果につながるだろう?」と考えるクセがつくので、現状に対して改善の余地がどんどん生まれるわけです。
◇
「自責」と「問題の根源」で考えることが重要
「伸びる社員」と「ダメ社員」の分岐点は、ほんの少しの習慣の違いなのです。
では、ちょっと例題をやってみましょうか。
ここに、経営がうまくいってないお客さんがいます。
このままだと会社が倒産するかもしれません。ただ、あなたの会社で扱っている商材を導入してもらえれば、経営状況は好転間違いなしです。
だから、あなたは、このお客さんに提案をしているのですが、なかなか「OK」と言ってくれない、という状況です。ではこんな時、あなたはどう考えれば良いのでしょうか。
「なんで、このお客さんは危機感がないんだろう?」
これは、「他責」です。
「どうしたら、このお客さんは危機感をもってくれるだろう?」
これは一見解決へと向かっているようですが、「お客さん」が主語になっている以上、まだ「他責」です。
「自責」だと、こうなります。
「なぜ、私はお客さんに危機感を持たせられないんだろう?」
「どうしたら、私はお客さんに危機感を持たせられるだろう?」
「自責」については、世間一般のアドバイスを見ると、「自分がすべての責任を負え!」というものばかりが目立ちます。
「腹をくくる」、ということで、個人的には素晴らしいとは感じます。
でも、中には考えすぎてしまって、「お客さんが危機感を持たないのは私の責任だ!私は無力だ」と自信をなくしてしまう人、責任を重たく感じすぎてしまう人が出てきてしまうこともあります。
そんな時は、「自責」と併用して「“事”責」、すなわち「問題の根源」を仮定して考えていくのが良いでしょう。
先ほどの例なら、
「何が、このお客さんに危機感を持たせないようにしているんだろう?」
「何があれば、このお客さんに危機感を持たせられるだろう?」
となります。
このように考えれば、過大なストレスを抱えることもなくなるでしょう。
仕事も人生も、自分以外の何者かに身を委ねることなく、自分で決めることは重要です。
私たちは、豊かな「想像力」と「創造力」を持っています。その力を無駄使いするのはもったいないことです。ぜひ「自責」と「事責」のバランスで切り開いてください。
(新田龍・人事コンサルタント)