「デキる社員」と「ダメ社員」の習慣(8)流暢に話すダメ社員、質問だけのデキる社員 2012年10月5日 仕事のエコノミクス ツイート ダメ社員時代の私は、「コミュニケーション力がある」=「話が上手くて話題が豊富」、「プレゼンテーション力がある」=「流暢によどみなく話せる」ということだと信じて疑っていませんでした。 だから、ひたすら「立て板に水のように」話せるように、マニュアルを完璧に暗記し、業務知識をつけ、ネタを研究し、ひたすらしゃべり倒せるように準備を重ねていました。 そして、商談の場で、相手が迷ったり、悩んだりした時などには、「ここぞ!」とばかりに豊富にストックしたネタを披露し、「契約まであと一押し!」を演出しようとしていました。例えば、こんな感じです。 私「先日提案させて頂いた例の件、ご検討の結果はいかがでしたでしょうか?」 お客さん「うーん、そうだねぇ…。ちょっとまだ検討中でねぇ」 私「なるほど、そうですか。感触的にはどうでしょう、難しそうですか?」 お客さん「うーん、まあいろいろあってねぇ。難しいところだねぇ」 私「ご心配には及びません!当社サービスの場合、(以下、延々と解説)」お客さん「はあ…」 こんな会話で結局、私なりの「流暢なプレゼンテーション」をしたのですが、はなかなか成約に至りませんでした。 「こんなに情報を提供してるのに、おかしい…」とようやく気づき、何かの参考になればと思って、デキる先輩のトークを勉強することにしたのです。 その先輩のトークを聞くと、不思議なことに、デキる人ほどあまり話さないように感じました。ましてや、ゴリ押しなんて一切しませんでした。 「○○についてはどうですか?」と聞くことが多くて、どちらかというと「営業トークしに行く」というよりは「質問しに行く」という印象でした。 そこで、私はようやく気づいたのです。 それは、「いくら情報を豊富に提供し、うまく伝えしたとしても、相手の気持ちを汲まず、相手が必要としている情報が含まれていなければ、自分のトークには何の価値もない」ということでした。 つまり、コミュニケーションの要点は、「うまく話す」とか「ネタが豊富」ということではないのです。それも大事な要素なのですが、もっと大事なことがあります。 それは、「相手にやる気になってもらい、自分の望み通りの行動をとってもらう」ということなのです。 ◇ コミュニケーション、プレゼンの要点はコレだ! いくらネタを豊富に披露し、流暢で素晴らしいプレゼンテーションを行ったとしても、結果的に相手がこちらの思い通りの行動をとってくれなければまったく意味がないわけです。 ただ、この定義だと「人を手玉に取る」かのような誤解を招きかねません。ですから、こう言い換えましょう。 コミュニケーション、プレゼンテーションの要点とは 「相手とより良い人間関係を築いて、気持ちよく行動してもらい、結果的にお互いハッピーになろう、というホスピタリティを持って接すること」 ということなのです。 単に話が上手、下手といったスキルのことだけじゃないんです。 例えば、明らかに相手の反応が良くなくて、まったく、らちが明かないように感じる場面があります。 しかし、要点を押さえて、核心を突いた質問ができれば、効果的に話を進めることができます。先ほどの例で検証してみましょう。 私「先日提案させて頂いた例の件、ご検討の結果はいかがでしたでしょうか?」 お客さん「うーん、そうだねぇ…。ちょっとまだ検討中でねぇ」 私「なるほど、ご検討中なんですね。では、あとどんな条件がクリアになれば、ご判断の材料が揃いますか。そのために私どもで、何をさせて頂ければよいですか」 お客さん「■■と●●かな。あとはどうも迷っちゃって、決めきれないんだよね」 私「なるほど。今までお話を伺ったところですと、今、懸念されている点については、■■と●●がクリアになればいいのですね。では具体的に、それぞれのポイントについて説明してよろしいでしょうか」 お客さん「ぜひお願いしますよ」 (ひととおり説明の後…) 私「●●について、まだ気になる点はおありですか?」「すぐに決められることではありませんよね。じっくりご検討ください」 こんな感じになります。 確かに、お客さんにあいまいな態度を取られてしまうのは、ストレスでしょう。 でも、そんな時こそ、相手の気持ちを汲んで対応すれば、信頼を獲得するチャンスにもなるのです。 ちょっとした一言で、相手を大事に考えている気持ちを伝えれば、その後の関係も良好に推移していくことが期待できます。 「相手は満足しきっていない」という前提で丁寧にヒアリングする姿勢を持てば、本音も出やすくなります。 そして、そのベースを基に説明ができれば、双方が納得した上での意義深い商談や話し合いとなるのです。 (新田龍・人事コンサルタント) <おわり>
「デキる社員」と「ダメ社員」の習慣(8)流暢に話すダメ社員、質問だけのデキる社員
ダメ社員時代の私は、「コミュニケーション力がある」=「話が上手くて話題が豊富」、「プレゼンテーション力がある」=「流暢によどみなく話せる」ということだと信じて疑っていませんでした。
だから、ひたすら「立て板に水のように」話せるように、マニュアルを完璧に暗記し、業務知識をつけ、ネタを研究し、ひたすらしゃべり倒せるように準備を重ねていました。
そして、商談の場で、相手が迷ったり、悩んだりした時などには、「ここぞ!」とばかりに豊富にストックしたネタを披露し、「契約まであと一押し!」を演出しようとしていました。例えば、こんな感じです。
私
「先日提案させて頂いた例の件、ご検討の結果はいかがでしたでしょうか?」
お客さん
「うーん、そうだねぇ…。ちょっとまだ検討中でねぇ」
私
「なるほど、そうですか。感触的にはどうでしょう、難しそうですか?」
お客さん
「うーん、まあいろいろあってねぇ。難しいところだねぇ」
私
「ご心配には及びません!当社サービスの場合、(以下、延々と解説)」
お客さん
「はあ…」
こんな会話で結局、私なりの「流暢なプレゼンテーション」をしたのですが、はなかなか成約に至りませんでした。
「こんなに情報を提供してるのに、おかしい…」とようやく気づき、何かの参考になればと思って、デキる先輩のトークを勉強することにしたのです。
その先輩のトークを聞くと、不思議なことに、デキる人ほどあまり話さないように感じました。ましてや、ゴリ押しなんて一切しませんでした。
「○○についてはどうですか?」と聞くことが多くて、どちらかというと「営業トークしに行く」というよりは「質問しに行く」という印象でした。
そこで、私はようやく気づいたのです。
それは、「いくら情報を豊富に提供し、うまく伝えしたとしても、相手の気持ちを汲まず、相手が必要としている情報が含まれていなければ、自分のトークには何の価値もない」ということでした。
つまり、コミュニケーションの要点は、「うまく話す」とか「ネタが豊富」ということではないのです。それも大事な要素なのですが、もっと大事なことがあります。
それは、「相手にやる気になってもらい、自分の望み通りの行動をとってもらう」ということなのです。
◇
コミュニケーション、プレゼンの要点はコレだ!
いくらネタを豊富に披露し、流暢で素晴らしいプレゼンテーションを行ったとしても、結果的に相手がこちらの思い通りの行動をとってくれなければまったく意味がないわけです。
ただ、この定義だと「人を手玉に取る」かのような誤解を招きかねません。ですから、こう言い換えましょう。
コミュニケーション、プレゼンテーションの要点とは
「相手とより良い人間関係を築いて、気持ちよく行動してもらい、結果的にお互いハッピーになろう、というホスピタリティを持って接すること」
ということなのです。
単に話が上手、下手といったスキルのことだけじゃないんです。
例えば、明らかに相手の反応が良くなくて、まったく、らちが明かないように感じる場面があります。
しかし、要点を押さえて、核心を突いた質問ができれば、効果的に話を進めることができます。先ほどの例で検証してみましょう。
私
「先日提案させて頂いた例の件、ご検討の結果はいかがでしたでしょうか?」
お客さん
「うーん、そうだねぇ…。ちょっとまだ検討中でねぇ」
私
「なるほど、ご検討中なんですね。では、あとどんな条件がクリアになれば、ご判断の材料が揃いますか。そのために私どもで、何をさせて頂ければよいですか」
お客さん
「■■と●●かな。あとはどうも迷っちゃって、決めきれないんだよね」
私
「なるほど。今までお話を伺ったところですと、今、懸念されている点については、■■と●●がクリアになればいいのですね。では具体的に、それぞれのポイントについて説明してよろしいでしょうか」
お客さん
「ぜひお願いしますよ」
(ひととおり説明の後…)
私
「●●について、まだ気になる点はおありですか?」
「すぐに決められることではありませんよね。じっくりご検討ください」
こんな感じになります。
確かに、お客さんにあいまいな態度を取られてしまうのは、ストレスでしょう。
でも、そんな時こそ、相手の気持ちを汲んで対応すれば、信頼を獲得するチャンスにもなるのです。
ちょっとした一言で、相手を大事に考えている気持ちを伝えれば、その後の関係も良好に推移していくことが期待できます。
「相手は満足しきっていない」という前提で丁寧にヒアリングする姿勢を持てば、本音も出やすくなります。
そして、そのベースを基に説明ができれば、双方が納得した上での意義深い商談や話し合いとなるのです。
(新田龍・人事コンサルタント)
<おわり>