• “ブラック企業”は、こう見抜け!(5) 会社訪問編

     就職活動中の人は会社説明会やOB・OG訪問、面接など、応募した企業のオフィスに入社前に足を運ぶ機会が何度かあるだろう。

     企業説明会やセミナーは、多くの人に応募してもらうため、かなり演出が行われる。そのため、応募した会社が本当は“ブラック企業”であるのか、そうでないのかを見抜くのは難しい。

     しかし、オフィスは違う。会社の内部のため、セミナーのような演出はできない。そして、そこには「その会社の日常」があふれている。つまり、その会社の“素顔”が垣間見られるというわけだ。

     だからこそ、オフィスに足を運ぶ「会社訪問」は、自分自身が働く環境や長い時間を過ごす場として心地よいものかを確かめる貴重な機会になるといえるだろう。そこで今回は会社訪問で、ブラック企業を見抜く方法を紹介していこう。


    社内の標語やスローガンには要注意

     会社訪問の際に、チェックするポイントは以下の5つ。最初の項目はこれだ。
     

     ポイント(1) メールや電話での案内が不親切

     このことは顧客からの支持を失っている可能性を示している。相手が顧客であろうと、選考受験者であろうと、企業にとっては同じ“お客様”には変わりない。あなた自身への扱いに誠意が感じられない会社は、おカネを払ってくれている顧客に対しても知らないうちに不信感を持たれるような行動をしている可能性があるのだ。

     「メールの返信が遅い」
     「メールの文章が不自然」
     「案内がわかりにくい」
     「電話に出るのが遅い」
     「電話応対の印象が良くない」

     このような感覚を抱いたら、「顧客に対しても同じような対応をしてるかも」と注意しておこう。次のポイントはオフィス周りについてだ。
     

     ポイント(2) 受け付けやオフィス、トイレが汚い

     共有部分の清掃は外部業者が行うことがほとんどだろうが、オフィス内の状況はその会社の精神性を強く反映する。このポイントからは社員のモラルが低いかどうかを読み取ることができる。

     乱雑なままで平気な社員が多いということは、細かいところに配慮が足りず、「訪れる人がどんな印象を抱くか」という相手の視点から考えられないことを表している。

     外部に対し、その程度の配慮しかできないということは、当然、社内の労務をどう捉えているか、容易に推測できるだろう。また、乱雑なままの状況は、「本当に必要な情報が取り出しにくい」ということでもある。情報を探すのに時間が割かれる環境は業務の非効率にもつながる。
     

     ポイント(3) 標語やスローガン、棒グラフを所狭しと貼っている

     3つめはこれだ。目標達成へのプレッシャーが強いことを示している。常に大勢の中で結果を判断されることにプレッシャーを感じる人は避けたほうが良いだろう。

     一般的に標語やスローガンを貼っている会社は少なくない。ただ、それだけでブラック企業というわけではない。注意すべきなのは、標語やスローガンの内容だ。

     「足で稼げ!!」
     「気合いだ!!やる気だ!!」
     「訪問件数○件目標!!」

     こういうような言葉が書かれていたら要注意だ。おそらくこういう「気合い」を重視する会社は、行動量のみに価値を置いている。そして、営業戦略がなく、社員個々の行動分析ができていない可能性が高い。

     この場合、営業統括者や社長は、営業・販売について精神的、感覚的な判断しかできない。そうなると、営業や販売が上手くいかなかった場合、「会社の仕組み」ではなく「営業マンの能力」が問題と言い出しかねない。これでは社員は報われないだろう。


    豪華な社長室はコンプレックスの裏返し

     4つめのポイントは、社長室についてだ。
     

     ポイント(4) 社長室がやたら豪華

     これは社長が自信の無いことの裏返しと推測される。社長室といえども、仕事場には変わりがない。それなのに、必要以上に豪華な調度品や骨董品、趣味の品が置かれているのは、社長が会社を私物化している可能性を示している。

     著名人と一緒に写っている写真や色紙なども要注意だ。いずれも、社長がそうした人たちと付き合いがある人物ということを「常に自分で確認」して「周囲に見せつける」ものでしかない。

     根拠がある自信を持ち、仕事に真摯(しんし)に向き合っている人ならば必要のないものであり、社長のコンプレックスなどの裏返しといえるだろう。
     

     ポイント(5) デスクでランチをとっている人が大勢いる

     デスクでランチをとるのは、1人や2人程度なら、オフィスでよくある光景だが、それが日常的に多数の人で見られる場合は注意が必要だ。「ゆっくり1時間も休みを取れないくらい忙しい」「休みをとることが許されない」というようなハードワークが常態化している社風かもしれないからだ。
     

     ポイント(6) 社員の印象が悪い・違和感がある

     これは、社風が悪いか、社員が抑圧されている可能性を示している。

     「挨拶をしない」
     「言葉使いがなっていない」
     「態度が悪い」
     「私語1つなく、ピリピリした雰囲気」
     「生気がなく、ドンヨリした雰囲気」
     「社長や上司が話しかけた際、社員が萎縮している」
     「社員が何かに怯えている印象」

     このような兆候を見た際には要注意だ。「この会社は何かしらの問題を抱えている」と考えておくべきだろう。そのほかにも、一見してわかる以下のようなポイントもある。

     ●明らかに1部屋しかないスペースなのに、5社以上くらいの看板がかかっている
     ●社員の怒号や掛け声が聞こえてくる
     ●分煙が徹底していない
     ●深夜や休日も明かりがついている

     こうした項目も会社訪問の時には確認できればいいだろう。

    (新田龍・ブラック企業アナリスト)

     

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