「アバクロ」だけじゃない 企業が「美人」を採用する理由 2013年8月29日 仕事のエコノミクス ツイート 日本でも人気の米カジュアル衣料ブランド「アバクロンビー&フィッチ」。AFP通信などによると同社の採用基準に対して、フランスの人権団体が調査を開始するという。 その理由は販売員をあたかもモデルのように扱い、見た目を重視した「差別的基準に従っている」というもの。つまり、外見を基準に販売員を雇うのが「雇用差別」に当たるのでは、というのだ。 社内男性の「嫁候補」として採用する会社も 人の容姿の判断は主観的なものなので、アバクロが本当に美人やイケメンを採用していたことを証明するのは簡単ではないが、おそらくそういう要素もあったのだろう。 とはいえ、もしそうしていたからといって「何が悪いの?」というのが、日本人の一般的な感覚ではないか。おしゃれなファッションは、容姿のよい販売員さんから買いたいと思う人もいる。 Yahooニュースの調査でも「アバクロの『美形店員採用』は雇用差別?」という質問に「雇用差別ではない」と答えた人が80.0%にのぼり、「雇用差別」という意見は15.0%にとどまる。 回答者からは「見た目もスキルのうち」「アパレルはモデルのよさが売上につながるので、企業側の雇用基準に合わなければ受からないのも当然」というコメントが寄せられている。フランスにおいては、販売員の容姿は成果と無関係と思われているのだろうか。 日本にも「美人採用」と噂の会社が存在する。たとえば大手航空会社のキャビンアテンダントは、才色兼備で採用しているとしか思えない。半導体メーカーのローム(京都市)の女性社員も、美人が多いことで有名だ。事実、この会社では「優秀な男性技術者」を定着させるために、社内結婚を奨励していたことがあるそうだ。 キャリコネの口コミにも、「(ロームは)かなり多くの人が社内結婚している。社内コンパの数は他企業と比べて圧倒的に多いのでは」という書き込みがあった。同社の女性社員が登場して京都の神社仏閣を紹介する「ローマンティック」と呼ばれる冊子を毎年発行しているそうだ。 「社内男性の嫁候補として、美人を採用している企業はけっこう多いですよ」 あるヘッドハンターがつぶやく。大手通信会社や金融業界など出会いのない技術職、仕事に没頭する専門職が多い企業ほど、そうした採用を行う傾向にあるという。 「胸が大きい子を」と言われることも 新規営業の「ドアノック」に美人を雇う例も多いそうだ。ある調達担当者はこう嘆く。 「こんな可愛い子が営業に来るなら、とコーヒーマシンの契約をしたら、その後はガタイの大きな保守の男性しか来なくなった」 美人担当者との接触機会を作るために、見積書や発注書を出す男性もいる。特に自動販売機やウォーターサーバーなど、差別化しにくい商材を持つ業種に多いようだ。 前出のヘッドハンターも、「とにかく若くて愛想が良くて可愛い子をお願いしたいです、と人事から言われることはありますよ。それで成績が伸びるのですから当然でしょうね」と明かす。 まれに「顔が良くなくても胸が大きな子を」なんていう露骨なオファーをされることも。胸のせいかどうかは分からないが、あるIT企業からのリクエストで転職したその女性社員は、予想以上の成果を上げているという。 そうした会社も、いつも「美人採用」をしているわけではない。あるタイミングを境に、美人採用を止める企業もあるというのだ。 「それは、社内でセクハラ問題があったときです。告発された企業は、一時的に採用基準が『真逆』に振れることがあります。ただそれは一時的で、また『美人採用』に戻る企業も多いですけどね」 【その他の仕事のエコノミクスの記事はこちら】
「アバクロ」だけじゃない 企業が「美人」を採用する理由
日本でも人気の米カジュアル衣料ブランド「アバクロンビー&フィッチ」。AFP通信などによると同社の採用基準に対して、フランスの人権団体が調査を開始するという。
その理由は販売員をあたかもモデルのように扱い、見た目を重視した「差別的基準に従っている」というもの。つまり、外見を基準に販売員を雇うのが「雇用差別」に当たるのでは、というのだ。
社内男性の「嫁候補」として採用する会社も
人の容姿の判断は主観的なものなので、アバクロが本当に美人やイケメンを採用していたことを証明するのは簡単ではないが、おそらくそういう要素もあったのだろう。
とはいえ、もしそうしていたからといって「何が悪いの?」というのが、日本人の一般的な感覚ではないか。おしゃれなファッションは、容姿のよい販売員さんから買いたいと思う人もいる。
Yahooニュースの調査でも「アバクロの『美形店員採用』は雇用差別?」という質問に「雇用差別ではない」と答えた人が80.0%にのぼり、「雇用差別」という意見は15.0%にとどまる。
回答者からは「見た目もスキルのうち」「アパレルはモデルのよさが売上につながるので、企業側の雇用基準に合わなければ受からないのも当然」というコメントが寄せられている。フランスにおいては、販売員の容姿は成果と無関係と思われているのだろうか。
日本にも「美人採用」と噂の会社が存在する。たとえば大手航空会社のキャビンアテンダントは、才色兼備で採用しているとしか思えない。半導体メーカーのローム(京都市)の女性社員も、美人が多いことで有名だ。事実、この会社では「優秀な男性技術者」を定着させるために、社内結婚を奨励していたことがあるそうだ。
キャリコネの口コミにも、「(ロームは)かなり多くの人が社内結婚している。社内コンパの数は他企業と比べて圧倒的に多いのでは」という書き込みがあった。同社の女性社員が登場して京都の神社仏閣を紹介する「ローマンティック」と呼ばれる冊子を毎年発行しているそうだ。
あるヘッドハンターがつぶやく。大手通信会社や金融業界など出会いのない技術職、仕事に没頭する専門職が多い企業ほど、そうした採用を行う傾向にあるという。
「胸が大きい子を」と言われることも
新規営業の「ドアノック」に美人を雇う例も多いそうだ。ある調達担当者はこう嘆く。
美人担当者との接触機会を作るために、見積書や発注書を出す男性もいる。特に自動販売機やウォーターサーバーなど、差別化しにくい商材を持つ業種に多いようだ。
前出のヘッドハンターも、「とにかく若くて愛想が良くて可愛い子をお願いしたいです、と人事から言われることはありますよ。それで成績が伸びるのですから当然でしょうね」と明かす。
まれに「顔が良くなくても胸が大きな子を」なんていう露骨なオファーをされることも。胸のせいかどうかは分からないが、あるIT企業からのリクエストで転職したその女性社員は、予想以上の成果を上げているという。
そうした会社も、いつも「美人採用」をしているわけではない。あるタイミングを境に、美人採用を止める企業もあるというのだ。
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