• バブル世代はお役御免! 先見性ある会社は東京五輪前に「世代交代」すべし

    2020年の夏季五輪が東京に決まり、街は大騒ぎだ。「バブル崩壊以降、20数年ぶりのいい話」なんて評価もある。これで日本の景気がよくなって生活も楽になり、未来はバラ色と夢見ている人も多いだろう。

    東京が五輪招致に成功したこと自体は、文句なく祝福していいことだ。大会も成功して欲しい。しかし先見性のある優れた企業経営者たちは浮かれることなく、今ごろは五輪に伴う影響を先々まで見通した上で次の一手を考えているに違いない。

     10年後には「水増し分」が減り経済が落ち込むのは自明

    週明け9日の東京株式市場は、全面高で始まった。ホテルやスポーツ用品、建設、不動産の関連株は急騰。五輪との連想から、無関係な小売りの「オリンピック」株まで上昇した。

    近視眼的な経営者は、これで自分の目が黒いうちは業績が上向くとほくそ笑んでいるかもしれない。しかし五輪開催までに、どの業界にどの程度の好影響が及ぶかは不透明だ。そして何より五輪が終了すれば、「水増し分」の減少による経済の落ち込みが予想される。

    いまから五輪関連株を狙い、その業界への入社を考える就活生は、近視眼的なミーハー以外の何者でもない。力のある労働者ならば転職も可能だろうが、その会社にしばらくぶら下がるつもりの人にはオススメできない。

    例えば、いまスポーツ用品の会社に入社したとしよう。先輩たちは「一緒に五輪を頑張ろう」と明るく迎えてくれる。五輪直前は、目が回るほど忙しい。そして本番の大会の余韻を得て、しばらくは特需の恩恵を得る可能性もある。

    しかしそれも数年経てば、余剰人員の整理が始まる。世界的な祭典終了に伴う「需要の落ち込み」は確実なのだ。それがちょうど10年後に起こることである。23歳で入社した人は、まだ33歳。東京五輪後に高度成長を果たした昭和30年代の「発展途上国・日本」とは、状況がまるで違うことを肝に銘じたい。

     「2度目の五輪」と張り切る50代など論外

    先見性のある経営者は、2023年あたりに焦点を当てているはず。特需で儲けつつ、それを弾みに将来に飛躍していければなおよいと考えているだろう。一方、単なるお祭り好きなら、その会社のピークは2020年か、せいぜい翌年といったところだ。

    その直後に再度アクセルを踏める体制に、会社を整えておけるかどうか。重要なのは、2020年の段階で経営陣にそれだけの余力を残すことである。精力的に働ける50歳未満の幹部スタッフを揃えるとしたら、いまから40歳未満を育成しなければならない。

    現在30代の彼らは、バブルを知らない世代だ。要するにバブルを味わったような社員たちは、いまのうちに体よくお払い箱にすべきなのである。30代後半から40代前半の人材を将来の幹部として確保し、来る五輪特需とその後の冷え込みに備えなければ会社は存続できない。

    もちろん「人生2度目の東京五輪」とやらで張り切っている50代などは論外で、即座に身を引いてもらった方がいい。就活生や転職者の会社選びも、いまから若返りを目指しているところを高く評価すべきだ。

    さもなくば2020年までの間に、バブル世代に会社をやりたい放題荒らされることになる。そして五輪後に予定どおり業績が低迷すれば、「責任を取って後任に道を譲る」なんてことになりかねない。それは引責辞任ではなく、単なるやり逃げというものだ。最後にババを引かされないように気をつけたいものである。

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