• マー君の「連投」に苦言続々 「日本のブラック企業体質の表れだ」

    プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスが日本シリーズを制し、本拠地の宮城・仙台を中心に野球ファンが歓喜の輪が広がっている。その一方で、エースの「マー君」こと田中将大投手の起用法が物議を醸している。

    田中投手は11月3日、日本シリーズ第7戦で楽天が3点リードする中、9回初めから登板。2死一、三塁というピンチを招くも、巨人の代打・矢野謙次選手を142キロのスプリットで三振に打ち取り、15球で胴上げ投手を手にした。

    自己犠牲を美化するのは「神風特攻隊のメンタリティ」

    球場には田中コールが巻き起こったが、田中投手は前日の第6戦で160球を投げている。疲労や肩への負担を考慮すると、連日で投げるのは望ましいはずはない。シリーズで1試合に160球投げた投手は過去12人いたが、翌日に登板するのは田中投手が初めてだ。

    たしかにファンの盛り上がりぶりを見れば、田中投手で最後を締めたくなる気持ちもわからなくもない。しかし日本シリーズという大事な試合で、トップクラスの選手が大胆な連投をしたということに対しては賛否両論が出ている。

    「神の連投」などとスポーツ紙が書き立て、ファンからも「マー君連投すごいね!」「故障するかもしれないというリスクを背負って…。彼の野球に取り組む姿勢は凄い、見習わないと…」と称賛の声もある。

    一方で、米テキサス・レンジャースのダルビッシュ有投手は、ツイッターでファンから田中投手の連投について聞かれ、

    「間違いなく身体には良くないですね。肩、肘の炎症はまだとれてませんので」

    とコメントした。疲労が溜まった状態で剛速球や変化球を投げると、負担がより大きくなるのは容易に予想される。

    田中投手は今季終了後のポスティングシステム(入札制度)で、米大リーグへ移籍するのではないかとも言われている。ニューヨーク・タイムズの記事よると、メジャーのスカウトマンからも「彼の肩が心配だ」といった声が挙がっているという。

    一方で、田中投手が無理を押して登板する様子を「日本社会特有の風景」と見る人もいる。ツイッターでも一部の野球ファンから

    「将来ある若者が潰れるのを見てジジババが感動。神風特攻隊のメンタリティ」
    「予想通り連投が美談化されてますね。こりゃブラック企業がなくならない訳だ」

     といった声があがる。

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     「来季は楽天にいないのが分かってて」やったのか

    また、楽天の星野仙一監督は試合後に「考えられない継投だけど、田中がどうしても行くと。最後は田中がふさわしいということで託した」とコメントしていた。

    これについても「ブラック企業の言い分にしか聞こえない。『どうしてもあいつが働きたいって』…」「来季は楽天にいないのが分かっててやりやがったな」という見方もあった。

    ブラック企業での勤務経験のある会社員の男性(30歳)は、

    「仕事のできるエースに何かと負担が集中するのは、ブラック企業そのままですね」

    と苦笑する。人材に余裕のない企業では、経営者が一部の社員を使いまくり、結果的に心身を壊させてしまうこともある。それが投手陣の層が薄く、田中投手や新人ながら15勝を挙げた則本昂大投手の2人に頼りがちな楽天と同じだというのだ。

    また、ネット上の野球ファンからは「もしあそこで矢野に打たれていたらと思うとゾッとする。メジャーどころの騒ぎじゃない」という声もあった。

    確かに「勝てば官軍」なのかも知れないが、やはり無理な連投はよくない。今季絶好調の田中投手が、2死一、三塁のピンチを招いたのも疲労のせいではないか、と思えてくる。ともあれ、田中投手にはゆっくりと休んでもらいたいものだ。

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