• 中途が入るとブラックになる! 「ベンチャーあるある」の恐ろしさ

    はてな匿名ダイアリーに寄せられた「ベンチャー企業によくある話」が話題になっている。会社がある程度大きくなってくると、創業メンバーと新しく入ってきた社員との間で「労働観が違いすぎて困る」というものだ。

    記事のタイトルは「ベンチャー企業にあるあるにハマった。」というもの。8月に投稿され、3か月経過した今も、多数のコメントが寄せられている。

    「意識の違い」で社員が定着しない

    投稿者は創業4年のベンチャー企業の代表。従業員数は10人で、年商4億円にまでなった。だが、自分を含む創業メンバー4人と中途入社の社員との「意識の違いがヤバイ」と語る。

    創業時は若さと情熱に突き動かされ「毎日が文化祭」状態で、1日20時間働いていた。人間関係も良好だったので、創業メンバーは1人も欠けることはなかった。

    しかし、中途採用を始めてから「完璧なブラック企業」となってしまっているのだという。

    理由は、創業メンバーが「自分と同じ働き方」を社員に求めてしまうからだ。1人あたりの労働量を減らそうとしているものの、感覚の方がついてこない。「俺ができたんだから社員もできるはずだ」という理屈がまかり通っているのだという。

    創業時は1人1人の裁量が大きく、就業形態も自由だったので20時間働いても平気だった。これに対し、中途社員はある程度完成されたシステムの中で「上司」に監視されながら働かなければならない。

    投稿者も「裁量がない状態で10時間働くのはフリーハンドで20時間働くよりキツい」と理解しているが、その感覚は創業メンバーに伝わらない。結果、社員が定着せず、現在も仕事の8割を創業メンバーがしているということだ。

    「創業時の半分ぐらいの働き」で許容できるか

    ベンチャー企業の経営が安定し始め、組織が大きくなろうとするときに、こうした軋轢はよく生まれる。社長や役員が中途の社員に、「起業時と同じような感覚で働くことを求める」というのも確かによく聞く話だ。はてなでは、

    「起業と経営の違いなんだろうな」
    「素人経営にプロの社員がどんどん愛想つかしてるって状態」 

    というコメントがついた。さらに創業メンバーは、会社が儲かればリターンの割合も大きいが、中途の社員がそうした報酬にありつけることは稀だ。モチベーションの違いも当然かもしれない。この点についてキャリコネ編集部が、社会保険労務士の藤井恵介氏に聞いたところ、

    「創業メンバーと社員の意識のギャップが埋まるということは中々ないですね。無理に合わせようとすると、双方とも不幸になります」

    とのことだった。そもそも、創業メンバーと同じ感覚で働くことができるのなら、会社に就職するのではなく、すでに自分で会社を起こしているだろう。そういうことを理解しつつ、創業者側は「創業時の半分ぐらい働いてくれればいい」という程度の方がうまく行くそうだ。

    「そのうえで、賞与を出したり役職を与えたり社員研修をしたりと、何かしらモチベーションが上がる施策を打つことが大事かと思います。どれが効くかは社員によって違いますが」

    創業から5年から経っても残っている企業は15%だと言われる。起業は大変だが、会社が安定してきても、経営を続けるにはまた違う大変さがあるようだ。

    あわせてよみたい:ベンチャーの挫折のリアル 

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